食品汚染・残留農薬にもどる

t30803#グリホサートの残留基準緩和が議論されている〜小麦は6倍の30ppmに#17-04
【関連記事】記事t28401記事t29701
【参考サイト】厚労省;3月22日の農薬・動物用医薬品部会資料にあるグリホサートの部会報告書

 3月22日に開催され厚労省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会で、除草剤のグリホサート(主な商品名ラウンドアップ)の残留基準を最大40ppmに設定する案が検討されました。この農薬は、IARC(国際がん研究機関)が、2015年3月、発がん性分類を2A(5段階のうち2番目に強く、ヒトに対して恐らく発がん性がある)にランクアップしたものです(記事t28401参照)。その評価をめぐっては、メーカーのモンサント社と環境保護団体の間で論争がつづいており、海外では、使用規制をめざす地域もでています。

★出荷量は5417トン+非農薬除草剤  グリホサートはアメリカのモンサント社が開発した除草剤で、グリホサート耐性の 遺伝子組換え作物(大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿など)の種子と抱き合わせて、世界の市場を席巻しています。
 日本では、グリホサートはいくつかの塩の製剤として出荷されており、その原体量は下表のように年間約5000トンですが、農薬登録のない非植栽用除草剤としての販売もあります。また製剤に添加されている界面活性剤の中には、有効成分より毒性の強いものもあります。
   年度  出荷量(トン)   年度  出荷量       2015年種類別出荷量は
   2010    4138.457     2013    4897.502     カリウム塩:2978.14
   2011    4290.943     2014    4985.796     イソプロピルアミン塩:2165.36
   2012    4534.172     2015    5156.793       ナトリウム塩:1.579トン
★グリホサートの残留実態は
【参考サイト】厚労省:平成19〜23年度 食品中の残留農薬等検査結果についてにある
           平成19〜23年度食品中の残留農薬等検査結果
                2007年2008年2009年2010年2011年
                2012年度の食品中の残留農薬調査結果について概要
        農水省:個別危害要因への対応(健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質)の頁にある
             米麦の残留農薬等の調査結果(国産及び輸入米麦の年度別調査結果あり)

【厚労省の残留農薬調査】厚労省は地方自治体や検疫所の残留データをまとめて報告をだしています。「平成2007〜11年度食品中の残留農薬等検査結果について」が一番直近のもので、下表にグリホサート調査結果を示しましたが、すべての作物についてデータがあるわけではありません。検出されたのはすべて輸入農産物品で、最大値は小豆類又はその他の豆類で、最高は12ppmでした。なお、大豆は、2009年の輸入1検体の調査(不検出)があるだけです。
  年度 検体数 検出数 検出率 検出範囲      年度 検体数 検出数 検出率 検出範囲
  2008 114   80   70%  0.07-4.7ppm*  2011 148   56  38%  0.01-2.8*  *小豆類
  2009 216   108  50  0.01-3.9*           192    73  38    0.01-12 (その他豆類)
  2010 148   44  30  0.01-2.7*     2012 247    131  53   0.01-6.3
【農水省の調査】米麦の残留農薬等の調査結果が国産と国別輸入品に分けて、報告されています。輸入小麦のグリホサートについて、2011〜2016年のデータを次頁の表にまとめました。輸出国別のグリホサートの検出率は、カナダが一番高く97-100%、ついでアメリカが88-94%、2011年に59%だったオーストラリアは、15%に減っています。
 検出値は2012年後期以後公表されていませんが、残留基準5ppmを超えるものはなかったとしています。小麦は、日本では起耕前か、圃場周辺の除草に使われるため、残留値はもっと低いです。それなのに、残留データが明らかでない国際基準30ppmにしようとしているのです。このような高い基準は恐らく、収穫前に小麦の枯殺・乾燥促進を目的に使用されているためではないかと思われます。
 発がん性が問題となっているのに、このような使用を許してはなりません。さらに、後述のように、小麦以外でも残留基準の大幅アップが図られていることにも要注意です。
 
  産出国       年度 
                2011年    2012   2013   2014   2015   2016**
  アメリカ
   検体数      139        147        103       123      131      54
   検出数      130        137         91       116      122      51
   検出率       94        93          88        94       93      94
   検出範囲  0.01-2.09  0.01-1.13*     -     -        -       -
  オーストラリア 
   検体数       61        45          47        41       48      20
   検出数       36        23           7         8        8       3
   検出率       59        51          15        20       17      15
   検出範囲 0.01-0.15  0.01-1.13*      -     -        -        -
  カナダ    
   検体数       60        54          69        76       80      36
   検出数       59        54          67        74       79      36
   検出率       98       100          97        97       99     100
   検出範囲 0.04-2.14  0.09-4.34*      -     -         -       -  
              *   2012年前期のみ、 ** 2016年は前期のみ
  ★日本人の尿中にもグリホサート検出
【参考サイト】グリーンピース・ジャパン10日間オーガニック生活でわかった3つのこと最終報告書

 海外では、グリホサートやその代謝物AMPA(アミノメチルホスホン酸)が人の尿や母乳中にも、検出され問題になりました。記事t30503で紹介しましたが、日本でも、昨年夏のグリーンピース・ジャパンの報告(2家族7人を対象に、慣行栽培の食品を食べた場合と、有機栽培の食品を食べた場合で、尿中の農薬の濃度を調査)で、慣行食の場合、グリホサートが全員から0.10〜1.09μg/L検出(AMPAは6人に最大2.02μg/L)されましたが、有機食では、検出されたのは1人だけでした。

★さらに残留基準の緩和が目論まれる
 1999年の残留基準緩和の際、遺伝子組換え作物の輸入を前提に大豆(6→20ppm)、トウモロコシ(0.1→1ppm)、綿実(0.5→10ppm)らが設定され、現在に至っていますが、これを、下表のようにさらに30、40ppmに緩和する案が検討されています。巻頭記事のように、2017年度の農薬危害防止運動に関する反農薬東京グループの要望と質問にも【5】として、グリホサートをとりあげましたが、今後の、残留基準パブコメに備え、厚労省の姿勢をただしていく必要があります。
  食品名    現基準→基準案      食品名    現基準→基準案     食品名    現基準→基準案
  米           0.1 → 0.1ppm    大豆         20   → 20      ひまわりの種子0.1→ 40
  小麦         5   → 30      その他の穀類20   → 30      ごまの種子    0.2→ 40  
  大麦        20   → 30      小豆類       2   → 10      べにばなの種子0.1→ 40  
  ライ麦       0.2 → 30      えんどう     5   →  5      綿実         10  → 40  
  とうもろこし 1   →  5      その他の豆類 2   →  5      なたね       10 → 30   
  そば         0.2 → 30      てんさい     0.2 → 15      その他のオイルシード0.1→ 40  

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作成:2017-05-01