環境汚染にもどる

t30805#ユスリカの毒性データの情報公開要求すら開示拒否〜文書があるかないか答えるだけで、外部から圧力と#17-04
【関連記事】記事t30602(水産動植物の種差を考慮した試験)、記事t30804記事t31106
【参考サイト】農水省:情報公開・公文書管理の頁
           開示請求書様式

 ネオニコチノイド系殺虫剤として、アメリカのダウ・アグロサイエンス社の申請で、新たに登録されようとしているスルホキサフロルは残留農薬基準のパブコメ募集が終わり、いよいよ最終段階に入りました。
 しかし、まだクリアーされていない毒性試験と評価があります。
 農薬が登録されるには薬効、薬害、毒性、残留性が評価されなければなりません。毒性の一つの水系に関する登録保留基準は、決められた数値を超えると登録できないというもので、環境省の担当で二つあります。
 @水質基準(水質汚濁に係る農薬登録保留基準)
 A水産基準(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準)です。
 水産基準は、魚(コイ、又はヒメダカ)、甲殻類(オオミジンコ)、藻類(ムレミカヅキモ)の3種について急性影響濃度を決めることになっていました。ところが、甲殻類の試験生物であるオオミジンコは感受性が鈍く、十分な毒性評価ができません(記事t30602参照)。特にネオニコチノイド系農薬については、オオミジンコに比べてユスリカは1000倍くらい、トビケラは 1.7万〜10万倍影響を受けやすいことがわかっています。
 そのため、環境省は2016年3月に申請者に対してユスリカ試験成績を出すよう農水省を通じて依頼文書を出し、2017年1月31日に農水省から試験結果を受け取ったとしています。
 2月28日、スルホキサフロルのユスリカ試験成績を農水省に情報公開で求めました。ところが、農水省は、3月30日に不開示通知を送ってきました。
 この試験成績は環境省が農水省を通して登録申請者にユスリカの試験を義務付けて、一年以内に提出するよう求めたものです。環境省への質問で、その試験結果が環境省に届いていると回答があり、文書の存在は最初からわかっています。
 不開示の理由を外部からの圧力で登録の妨害を受けるなどというのも口から出まかせではないでしょうか。企業に対しては、どこまでもやさしく利益を守ってやる。今流行の忖度もかくやと思われます。

【追記】環境省は、6月19日、ユスリカ試験データをもとに、スルホキサフロルの水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準を39000μg/Lから30μg/Lに変更(資料)、7月18日締切で、パブコメ意見募集中です。


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作成:2017-06-29