農薬の毒性・健康被害にもどる

t31402#加須市(埼玉県)の小学校で授業中に農薬散布生徒6人が病院へ搬送される〜住宅地通知は完全に無視#17-10
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【参考サイト】農水省・環境省:文部科学省あての平成29年度農薬危害防止運動の実施について
               住宅地等における農薬使用について
       文部科学省:学校環境衛生管理マニュアル「学校環境衛生基準」の理論と実践
             平成29年度農薬危害防止運動の実施について(依頼)

 9月14日、午前10時15分頃、埼玉県加須市の不動岡小学校で、体育の授業中の4年生(10歳)6名が、のどの痛み、咳、手のしびれなどを訴えて病院に搬送されました。女児1名は咳が止まらず、手のしびれもあったとの報道がなされました。
 体育館で授業をしているのに有機リン系のディプテレックス乳剤を散布したのが原因です。こういう事故が起こるのを防ぐために住宅地通知があるのですが、全く無視されていたわけです。
 当グループの会員たちは、直ちに独自に情報を集め、学校や教育委員会、農水省に抗議をしています。まさに、このような事態を恐れていたからです。
 授業中に農薬散布をするという野蛮な行為に驚いて、私たちも農水省、埼玉県、加須市にそれぞれ質問を出しました。
 農水省農薬対策室は、詳しいことは県に聞けとした上、「学校のみならず住宅地周辺、公共施設等における病害虫防除において、同様の事故・被害が発生しないよう、本件の発生経緯、原因らの情報を収集した上で、環境省と連携し、すべての都道府県に対しこれらの情報を共有するとともに、通知「住宅地等における農薬使用について」の周知、遵守の指導を行います。」と毎度の回答をしてきました。
 しかし、肝心の市からは、経緯や発生原因究明については、報道されたとおりで、「加須市のHPに掲載しているから見るように」との返事がありました、

 しかし、HPには、具体的な事実は何も記載されておらず、充分な、当事者としての自覚も、再発防止の決意も感じられない回答でした。そこで、改めて抗議と再質問を行いました。ようやく回答がきたのが10月13日。以下に主な内容を示します。
■加須市教委への質問と回答
【参考サイト】加須市:Top Page 不動岡小学校
       加須市教育委員会:不動岡小学校における樹木の消毒に係る事故について

    反農薬東京グループからの、農水省、環境省、埼玉県、加須市への質問
       加須市不動岡小学校における農薬被曝事故について加須市への再質問

 <害虫の発生状況は誰が調査したのか>
  【回答】学校及び委託業者が9月4日に確認。アメリカシロシトリ、モンクロシャチホコの
   幼虫がサクラの木、チャドクガの幼虫がサザンカに発生。

 <農薬散布を依頼したのは誰か>
  【回答】業務委託者:加須市長/契約方法:随意契約(他の学校などを含めた契約)

 <農薬散布業者名と当該散布の仕様書>
  【回答】散布業者:株式会社 大樹園/仕様書:別紙2添付(次頁参照)

 <使用した農薬>
  【回答】登録番号:第3233号(現在登録のある唯一の製剤で、DEP50%含有)
      /使用目的:害虫駆除/使用方法:殺虫剤 ディプテレックス乳剤 300L(希釈倍率1,000倍)

 <使用農薬を決めたのは誰か>
  【回答】委託業者

 <散布時間、散布場所と体育館の距離、気象状況など>
  【回答】散布作業時間 午前9時頃〜午前10時頃/散布場所と体育館の距離 3m程度/
   天気 晴れ 気温 26.4℃

 <児童や保護者、教師への周知>
  【回答】9月7日(木)職員打合せで、教頭より14日(木)午前9:00から樹木消毒を行うので、
   児童に午前中は外に出ないこと、午後も樹木や葉に触れないように指示をした。
   また、散布当日は職員室内に掲示して周知した。14日 午前9:00に教頭が放送で、
   これから樹木消毒を行うので、窓を閉めるように指示した。教頭が校舎前から目視で、
   教務主任が校舎、体育館を巡回して窓閉めを確認した。
   保護者への周知については、行ってない。

 <加須市は小中学校・保育園等で定期的に農薬散布をしているのか>
【回答】学校及び委託業者で適切な散布時期を見定めて、履行期間内に2回の散布業務

 <再発防止は散布禁止ではないか>
  【回答】加須市における農薬の適正使用に関する取組方針を策定する中で検討する。
■住宅地通知について
 <教育委員会は、いつ、どのような形で、「住宅地通知」を遵守するよう学校等に周知したか>
  【回答】学校や教育委員会等、学校での農薬散布に関係する部署は、住宅地通知を知っていた。
   教育委員会として、市立各小・中学校へ平成29年5月31日に周知した。

 <文科省の通知はいつ知らせたか>
  【回答】平成29年5月31日に周知した。

 <今年度に農薬散布を実施した学校数>
  【回答】市内全ての小学校22 校、中学校8 校、幼稚園13 園で実施しており、今年度の
   業務委託は完了している。今年度これから計画している学校等はない。
■仕様書について
 加須市の農薬散布に関する委託仕様書の主な部分を紹介します。
 <業務内容>
  (1)樹木の害虫を駆除するため履行期間内に2回の薬剤散布を行う。
  (2)薬剤の使用は次の通り。@登録された農薬を使用。A農薬関連法規、メーカーの定める
    安全基準、使用方法を遵守。
  (3)散布作業は次の通り行う。
    @アメリカシロヒトリ、モンクロシャチホコ、チャドクガ等の幼虫の巣、
     または寄生が確認された場合薬剤を散布して害虫を駆除する。
    A学校と協議しながら薬剤散布の時期、日程を調整する。
    B作業者は保護具を着用。
    C周辺住民に事前周知する。
    D散布後効果を確認。
    E薬剤散布後害虫を駆除できない場合、請負者の責任で再度実施。
    Fこの場合の費用は協議して決める。
★知っていながら無視したのか
 市は、住宅地通知を知っていたと回答していますが、会員が直接教頭に電話で確かめたところ「初めて聞いた」という回答だったと伝えています。そして、知っていながら無視したとなれば、よけい罪が重いと言えます。保護者に知らせることなど思いもしなかったのでしょう。翌日は全員登校してきたので大した事故ではないといわんばかりです。しかし、今までの例から見ても、子ども達が神経毒性の強いこの有機リン系農薬被ばくで後々まで悪影響を受けることは絶対ないとは言い切れません。
 仕様書は、物理的防除は一切抜きで、最初から2回の「薬剤散布」を指示しています。「薬剤散布」「消毒」と言いぬけることで、その危険性をごまかせるとでも思っているのでしょうか。

 2017/10/25:農水省・環境省は住宅地等における農薬使用についての再周知・指導について(環水大土発第171025号、29消安第3974号)を発出しました

■<会員からのメール>(−本文略−)
★不動岡小学校で起きた事故は日本中どこででもありうる

★不動岡小学校に電話を入れました

★子どもの未来を守るために
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作成:2017-12-27