農薬の毒性・健康被害にもどる クロルピクリン資料:毒ガス兵器そのものが農薬として使用されている。被害は周辺住民に多い
t31504#<クロルピクリン>カナダでは使用にライセンスが必要 EUでは12年6月から販売停止〜食品安全委員会への文書に関する厚労省の回答#17-11
【関連記事】記事t31303、記事t31404
【参考サイト】食品安全委員会:開催実績、第654回(17/06/20)にある資料1-2(別添1):クロルピクリン
記事t31303で、ようやく土壌くん蒸剤クロルピクリン(以下、クロピク)のリスク評価が始まるとの記事を掲載しました。69年間使い続け、毎年、事故が一番多いクロピクのリスク評価が一度もされたことがないということ自体、異常だと言えましょう。ADI(一日摂取許容量)すら決まっていないのです。
また、今回、厚労省が食品安全委員会に提出したクロピクに関する文書に問題があることがわかりました。厚労省審査基準課に質問を出し、回答がきましたので紹介します。質問は要約してありますが、【回答】とあるのは、厚労省基準審査課からの回答の全文です。
反農薬東京グループ:厚労省への質問と回答(17/10/05)
【質問1】厚労省は、平成29年6月15日に、食品安全委員会へ「食品健康影響評価について」
と題する文書を提出したが、クロピクの諸外国の規制状況の詳細について
【回答】
・米国では、クロルピクリンは農薬登録されていますが、基準値は設定されていません。
なお、米国では、一般論として基準値が設定されていない場合は、運用上0.01〜0.1ppmで
適否を判断すると承知しています。
・カナダでは、クロルピクリンは農薬登録されており、ばれいしょ、キャベツ、トマトを含む
多くの食品に対して0.025ppmの基準値が設定されています。
使用は証明書かライセンスを所有している者のみができること、薬剤は宿舎、畜舎、
仕事場とは別の場所で保管すること等の規制がされています。
・EUでは、クロルピクリンは2012年6月23日までに販売等が停止されています。
使用禁止の経緯については承知していませんが、現在でも、基準値については、
定量下限値として、ばれいしょ、きゅうり、キャベツはいずれも0.005ppm、他の
食品は0.005ppm〜0.05ppmとなっています。
・豪州では、クロルピクリンは穀類に対し、0.1ppmの基準値が設定されています。
また、使用者を登録制とすること、くん蒸を施した場所には立ち入りを制限するよう
表示を行うこと、
薬剤は、子供、動物、食品等から隔離し施錠した場所に保管すること等の規制がされています。
・ニュージーランドでは、クロルピクリンは農薬登録されていますが、基準値は設定され
ていません。なお、ニュージーランドでは基準値が設定されていない場合は、一律基準の
0.1ppmで規制されています。
【質問2】食安委提出の別添資料には「用途 殺菌剤」とあるが、この表現では正しくないのではないか。
何故、殺菌剤に限定したのか、理由を教えてほしい。
【回答】
クロルピクリンは、殺虫及び除草の用途もあります。今回、農林水産省からの要請において、
殺菌剤として申請されてきたため、殺菌剤と記載しています。
【質問3】日本における登録状況の一つとして、「使用方法 散布」とあるが、
クロルピクリンは非常に揮発性が高く、刺激性も強い。
こういう農薬を散布するなどあり得ないが、何故、「散布」としたのか、理由を教えてほしい。
【回答】
クロルピクリンは、土壌くん蒸で使用されており、資料中、使用方法を「散布」としていたことは
誤りでした。なお、食品安全委員会においては、当省から土壌くん蒸剤として使用される
旨説明しています。この資料については、正しい記載に修正することと致しました。
【質問4】食品安全委員会農薬専門委員会には、健康影響評価のための資料として、
具体的にどのような資料が渡されるのか、教えてほしい。また、その中で、2010年以後
実施された毒性試験や残留試験などのデータは、どれかも、お願いする。
【回答】
食品安全委員会に対しては、食品健康影響評価資料として農林水産省から提供を受けた急性毒性試験及び
慢性毒性試験等の資料を提供しておりますが、具体的な内容や作成時期については、
申請企業より提出されたものであり、企業機密も含まれていることから、申請企業への
確認する必要があります。従いまして現時点では提示することはできません。
【質問5】クロルピクリンが最初に登録されてから69年がたっている。
何故、今まで 人の健康影響や環境への影響評価がなされず、食品への残留基準を設定して
こなかったのか、また、今回、評価をすることにしたのは、なぜか、これらの理由を教えてほしい。
【回答】
クロルピクリンは食品中に残留しないことから基準値を設定しておらず、ポジティブリスト
制度の施行以降は一律基準で規制していましたが、平成28年12月、農林水産省から、
クロルピクリンの適用拡大に伴う基準値設定の要請があったことから、食品安全委員会に
食品健康影響評価を依頼しました。
【コメント】
残留分析もろくにやってないのに残留しないと結論付けているのは非科学的です。また、すぐ全面禁止ができないなら、最低、カナダのように使用者にライセンスが必要とすべきです。クロピクの危険性を使用者は十分認識すべきです。
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作成:2017-12-27、更新;2018-02-14