食品汚染・残留農薬にもどる
t31507#目立つ国産野菜の残留違反の増加〜植物工場のリーフ野菜にも残留農薬検出#17-11
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今年は、農薬危害防止運動が開始された6月以降、残留農薬の違反らの事例が多く見られました。
★植物工場から出荷のベビ-リーフ類
【参考サイト】三菱ケミカル:Top Page、製品回収に関するお知らせ(17/10/27)
植物工場でのベビーリーフ栽培のご提案(17/04/01)
ベビーリーフ「キュアリーフ」国際味覚審査機構認定、葉物野菜で世界初の受賞 (17/10/03)
三菱ケミカル社(旧三菱化学)は、完全人工光型植物工場で生産しているベビーリーフ「キュアリーフ」を自主検査したところ、殺虫剤ピレトリンが17ppm(残留基準:1ppm)残留していたとして、10月25日から回収をはじめました。
リーフ野菜を生産したのは神奈川県小田原工場で、2015年5月に、神奈川県により「ME-BYO BRAND」の認定を受けています。
同社は、『LED照明の光で植物の光合成を促す完全人工光型で、光のほかにも温度、湿度、養分などの育成環境を最適な状態に制御することにより、気候に左右されることがなく、年間を通じて同じ品質の野菜を栽培することができます。また、収穫、混合、計量、包装などを全て自動化し、土を使わない水耕栽培で、かつ農薬を使用しないため、洗わなくても食べられます。』
また、当該リーフ野菜を以下の宣伝のもとイオン、相鉄ローゼン、ヤオマサ各店舗で販売していました。
『国際味覚審査機構において優秀味覚賞を受賞し、「キュアリーフ 葉酸」が最高クラスの三つ星に、「キュアリーフ ビタミン A」及び「キュアリーフ カリウム」がそれぞれ二つ星に認定されましたのでお知らせします。葉物野菜の優秀味覚賞の受賞は今回の「キュアリーフ」が世界初です。』
★ピレトリンが17ppmも残留していた
【参考サイト】神奈川県:未病産業の創出に向けた取組み(未病産業研究会、ME-BYO BRAND)、<ME-BYO BRAND>、
未病産業研究会設立趣意書
ME-BYO BRANDの認定の取消しについて(2018/01/31)
神奈川県は、1月31日、「ME-BYO BRAND」の認定を取り消しました。
植物工場は、一般に、外部から病害虫が侵入せず、無農薬で栽培しているとの印象がありますが、ところが、それが虚構であることがわかったのです。
三菱ケミカルでは、ピレトリンが残留した経緯を以下のように説明しています。
『当社植物工場内で、本年 6 月からピレトリンを主成分とする除虫用薬剤*1を用いて
いましたが、室内の除虫が目的であり農薬取締法に定める「農薬」に該当しないこと、
試験使用時に栽培から充填までの工程を経た製品でピレトリンが検出されなかったことから
出荷時の検査は不要と判断していました。今般、出荷サンプルを分析したところ 17ppm の
ピレトリンを検出し、改めて確認したところ、食品衛生法の対象物質(基準値 1ppm)
であることが判明しました。』
*1 蚊取り線香の原料である除虫菊から抽出された天然のジョチュウギクエキスを含有する薬剤です。
食品を製造販売するにもかかわらず、虫よけ剤と称する薬剤に農薬と同じ成分が使われていることを知らなかったのでしょうか。また、ほんとうに除虫菊から得た天然ピレトリンなら、分解がはやく、効果も短いので、野菜に17ppmも残留するとは考えづらく、よほど、高濃度のものが、気体又はほこりに吸着して、常時、栽培室内に、漂っていたのでしょうか。
ところで「ME-BYO BRAND」というのは、神奈川県が設立した未病産業研究会がモデル事業にとして認定した商品・サービスに与えられるブランド名です。未病というのは、自覚症状も健康診断数値も悪くないのに、どことなく体調が悪い状態をいい、同研究会の目的は、その改善のため、特定の疾患の予防・治療に止まらず、心身全体をより健康な状態に近づけることをめざす産業を創出することにあります。未病実現のためには、農薬その他の薬剤を使うことは、ご法度にはなっていないようで、このケースは、植物工場で栽培した野菜などを無条件で無農薬だと思うことは、要注意だとの教訓になります。
★ホウレンソウの違反3件
【参考サイト】長野県原村:自主回収発表
横浜市:鉾田市つくえ農園の違反公表
茨城県:鉾田市鉾田ゆうきの違反公表
・静岡市が、10月2日に実施した収去検査で、長野県原村の森山青果が出荷したホウレンソウに、殺虫剤インドキサカルブが0.37ppm(残留基準:一律基準0.01ppm)検出されました。
・横浜市の11月1日の収去検査で、茨城県鉾田市のつくえ農園で生産されたホウレンソウに、殺虫剤フェニトロチオンが、1.3ppm(残留基準:0.2ppm )検出されました。
・茨城県鉾田市の鉾田ゆうきは、11月1日、自主検査の結果、出荷したホウレンソウに、殺虫剤ルフェヌロンが、0.1ppm 検出(一律基準0.01ppm )検出されたとして、回収報告を県に提出しました。
★コーヒー飲料の包装に農薬付着
【参考サイト】小川珈琲:Top Page、回収情報
10月5日、京都市の小川珈琲は、同社販売の飲料「カフェオレ190ml」の包装資材に、黄橙色の変色がみつかり、除草剤成分トリフルラリンが検出されたことを発表しました。
飲料には検出されなかったとのことですが、製品の回収が実施されました。包装に付着した経緯は不明です。同社は、9月には、製品の原料原産地の誤表示しており、製品管理に問題があるようです。
★その他の事例
【参考サイト】奈良県:報道発表
神戸物産:Top Page、公表資料
島根県:報道発表
JA新函館農協:Top Page、公表資料
・奈良県での7月19日の収去検査で、「空芯菜(エンサイ)」にトルフェンピラドが0.1ppm(一律基準0.01ppm)検出されました。同県北葛城郡の農家が生産したもので、7月26日から、販売者のマルヒロフーズが回収しています。
・7月27日に、神戸市にある神戸物産が販売したポーランド産冷凍グリーンピースにチアクロプリドが基準を超えて検出されたことが明らかになり、回収されました。これは、東京都による検査で、残留値は不明です。
・7月末に、島根県出雲市が運営・管理する「イチジクの里」で、使用基準を上回る濃度の殺ダニ剤コロマイト(ミルベメクチン含有)が散布されたイチジクが販売され、農取法違反のため、出荷停止措置がとられました。県の普及指導員の誤った指導により、農薬取締法に定められた希釈倍率2000倍を1000倍希釈で散布したとのことです。残留分析の結果、不検出(残留基準0.2ppm)だったということで、8月5日に販売が再開されました。
・9月8日、北海道のJA新函館が出荷したキュウリに、ディルドリンが0.03ppm(残留基準0.02ppm)検出され、回収命令がだされました。北斗市の農家が生産したもので、1975年に登録失効し、販売禁止農薬指定のディルドリンがいまだ、分解されずに土壌中に残留し、キュウリなどに移行するからです。同農協では、2010年にも出荷したバレイショからディルドリンが0.006ppm検出(残留基準はND)検出されたことがあります。食用作物を汚染圃場で栽培しないようきちんと管理すべきですが、北海道庁が、NDであるジャガイモの残留基準の見直しを、国にもとめていることが気になります。
・10月16日、山形県は、寒河江市産の日本ナシに、フェニトロチオン0.4ppm(残留基準0.2ppm)が検出され、回収を命じました。生産者が、収穫21日前までに散布すべき製剤を散布後5日目に出荷したのが原因とされています。
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作成:2017-12-27、更新:2018-03-02