街の農薬汚染にもどる


t31603#<西東京市の事例>植栽の無農薬管理は可能だ〜子どものいる場所で危険で無駄な農薬散布はすぐやめるべき #17-12
【関連記事】】記事t22603記事t22703記事t31602
【参考サイト】環境省:公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアルの頁
            マニュアル優良事例集vol.1vol.2
       東京都環境局:化学物質の子どもガイドラインの頁
           パンフレット 殺虫剤樹木散布編(2004年3月)、詳細版
       静岡県;「こどものための化学物質ガイドライン」作成殺虫剤散布編(2007/6月)

 今年9月14日、埼玉県加須市の不動岡小学校で、授業中に体育館周囲の樹木に、有機リン系農薬のディプテレックス乳剤を散布し、4年生の生徒6人が病院に搬送されるという事件がありました(記事t31402)。
 住宅地通知を知っていれば、授業中に学校で農薬散布するなど考えられないはずですが、大人たちの無知によって、感受性の高い子供たちが被害を受けたわけです。事件後の加須市からの回答によると、市内には小学校22校、中学校8校、幼稚園13園があるが、そのすべてで農薬散布をしたということです。

★埼玉県所沢市の散布状況
 埼玉県所沢市の16年度の小中学校での農薬散布状況を調べました。小学校は全部で32校ありますが、その中で農薬散布をしていたのは19校でした。約60%です。中学校は15校中9校(60%)が散布していました。保育園は20園中16園が昼寝中などに園庭の樹木にスミチオンを散布していたとのことです。
 もっとも、対象害虫には、スズメバチ、アシナガバチが含まれ、その場合は、10ml程度虫に散布したようです。
 問題なのは、チャドクガ、桜の毛虫などと記録されているものであり、これらは大量に校庭樹木に散布しています。それもフェニトロチオン(スミチオン)、イソキサチオンなどのように有機リン系の農薬が使用されていました。これらの散布は授業中に行われたようで、あわや不動岡小学校になりかかりそうな状況です。
 埼玉県で何故、住宅地通知が守られず、平気で小中学校で農薬散布がなされているのか、いや、果たして埼玉県だけなのか。これは注意して調査する必要があります。
 皆さんの地域の小中学校で、毛虫防除と称して安易に農薬散布をしていないか、まずは、調査してください。
 そして、漫然と定期散布をしていたり、事前周知をしないで農薬散布しているところがあったら、直ちに市町村に申し入れをしましょう。万一、要望に応えず、相変わらず農薬散布をしようとしている市町村があったら農水省農薬対策室(03-3501-3965)に電話をして、強力に指導するよう伝えてください。加須市の事件の後、農薬対策室は「一生懸命指導します」と約束したはずですから。
 また、農薬散布をしないと樹木が虫だらけになるなどと不勉強なことをいう市町村があったら、以下の事例を丁寧に知らせてあげてください。
 以下、学校等で一切の農薬散布をしない西東京市の事例を紹介します。

    *** 西東京市の無農薬管理事例 ***
西東京市は、市民団体の要望に応え、2004年に「害虫防除方法等基本方針」をつくり、市が管理する樹木への農薬や薬剤の使用を減らそうと努力してきました。2016年は対象施設425のうち、樹木農薬散布したのは1施設だけでした。この施設も以後農薬は使用しないと話しています。全国的にもここまで農薬散布を減らした自治体は他にないと思われます。屋内での害虫駆除の薬剤についてはまだゼロになっておらず問題は残りますが、西東京市の屋外での農薬使用についてまとめました。

★2004年以前の状況(保谷市)
 西東京市は2001年田無市と合併しています。合併前の保谷市が管理する施設での農薬散布は保谷市の調査によると、公園、福祉会館、児童館、公民館、庁舎、保育園、幼稚園、街路樹でディプテレックス(有機リン系農薬)を散布していました。
   1989年(H元年) 2072本
   1990年(H2年) 2603本
   1991年(H3年) 1695本
   1992年(H4年) 4828本
   1993年(H5年) 2497本
   1994年(H6年) 2189本
 1992年、子供が通っている学校で、農薬散布があったという報告を聞き、市内の市民団体が小中学校に教育委員会を通して、アンケート調査をしました。その結果、1992年の散布状況)は、 小学校 11校中 農薬散布10校、中学校 5校中  農薬散布4校、平日の授業中にスミチオンを散布という実態が明らかになりました。

★住宅地通知発出後の市民団体の動き
 2003年(H15)9月、農水省は「住宅地等における農薬使用について」という通知を出し、身の回りの農薬散布についてできるだけ控えるよう指導しました。この通知はその後2回改定され、環境省と農水省両局長通知になり、現在も生活環境での安易な農薬散布を戒めています。
 2003年11月、西東京市の4市民団体が通知を踏まえ、市に農薬散布に関する質問と要望を行いました。2004年(H16)1月、市で農薬散布をしている10課と市民団体の話し合い。6月、市議会の質問に、市は庁内で検討委員会を立ち上げ、病害虫の害虫防除の方針を作ることを約束しました。

★害虫防除方法等基本方針作成
 2004年9月 市は、基本方針を作成し発表しました。
内容:定期散布は行わない。殺虫剤を使わない方法。散布する場合の基準と殺虫剤の選定方法。殺虫剤の毒性と事故の際の応急措置。散布する場合の周知。苦情対応窓口。一般家庭が散布する場合。その必要性を再検討し、他の防除方法の検討。等。各施設にその年の報告を義務付けています。
   表 市へ報告のあった散布状況(2009から)
   年      対象施設数  農薬散布施設数  
   2009(H21)   413       0 
   2010(H22)   386       0 
   2011(H23)   468       1 
   2012 (H24)     調査不十分で不明
   2013 (H25)     調査なし
   2014 (H26)       407              0
   2015 (H27)       413              1 
   2016(H28)    425              1  

バックナンバー購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号とかいて、注文メールをください。一部300円は、てんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2018-01-30