■生活習慣病 アルコール性肝炎
 

アルコール性肝炎

【発生原理】


アルコール性肝臓疾患

   アルコール(エタノール)によって引き起こされる臨床的な症候群、

   および肝臓の病理学的な変化。

発生原理

  主な要素はアルコール摂取量、患者の栄養状態、遺伝的、代謝的特性である。

全てのアルコール過剰摂取者が重篤な肝臓障害を起こすわけではないが、一般にアルコール乱用の飲酒量と期間と、肝臓の疾患の進行度には比例関係がみられる。10gのアルコール量は、40度のウィスキーの30mL、12%ワイン100mL、または5%ビール250mLに相当する。女性では20gのアルコール、男性では60gを毎日、何年か摂取すると肝障害を起こす。例えば、150〜200gのアルコールを10〜12日間摂取すると、それ以外は健康な男性があったとしても脂肪肝ができる。アルコール性肝炎の場合は、患者が80gのアルコールを毎日、ほぼ10年摂取することによるが、肝硬変発症の平均閾値は160gを毎日、8〜10年以上である。摂取期間が重要である。

 カロリーの無い食事の摂取、食欲減退、腸や膵臓に対するアルコール毒性による吸収不良などの結果、アルコールによる栄養不良が進行する。栄養不良のみでは肝硬変に至らないが、1つ、またはそれ以上の栄養的要因が欠けることによってアルコールによる影響を促進する。

 アルコールは肝臓毒素で、その代謝は大きな肝細胞障害を起こす。アルコールによる肝疾患は個人による感受性が著しく多様であり(アルコール中毒者の10〜15%しか肝硬変にならない)、女性の方が(身体が小さいということを考慮にいれても)感受性が高く、このことは他の要因もまた重要であることを示唆している。1つには、女性は胃粘膜においてアルコール脱水素酵素が少なく、代謝が低下するのかもしれない。アルコール性肝疾患は家族的にまとまってみられることが多い。そこで、遺伝的因子もアルコール代謝に関係してることが推測される:ある人はアルコール酸化の異常がある。ある種のHLA組織適合性も、アルコールによる肝疾患と関係している。免疫状態がアルコールに対する感受性を決定するのに役立つとは考えにくいが、免疫学的機序(特にサイトカインを介するもの)は炎症反応と肝障害において重要である。

 


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