北極海のグリーンランドに住むイヌイットは、アザラシや魚を主食として暮らしていました。極寒の地に農作物は育ちません。肉食中心なのに、イヌイットは心臓病で亡くなる人がきわめて少ないことが知られていました。とても不思議なことなので、デンマークの学者達が、グリーンランドのイヌイットの血液を詳しく調べたところ、魚やアザラシの脂肪に多く含まれる脂肪酸である、エイコサペンタエン酸(EPA)が多く含まれていることを発見しました。欧米人の血液に多く含まれているアラキドン酸(AA)とは、食べている脂肪の「質」がまったく違っていたのです。
さらに第二次世界大戦中のノルウエーのおはなし。戦時下のため家畜が減り、肉不足で魚の消費が大幅に増えましたが、その時期は心筋梗塞による死亡率が大きく減りました。EPAが動脈硬化性の病気を減らす可能性を示す一例といえましょう。
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