海に棲む生物だけがEPAをもっています。EPAはもともと、プランクトンやオキアミなど海に棲息する生物の体内でつくられ、ヒトをはじめとする哺乳動物では合成されません。同じ脂肪酸でも、アラキドン酸は陸の食べ物に、EPAは海の食物に由来しているのです。海ではプランクトンを魚たちが食べ、その魚をアザラシやオットセイがたべるといった食物連鎖によって、あらゆる生き物にEPAがとり込まれます。この結果、アザラシなどはかなりの量のEPAを貯えています。イヌイットが大量のEPAを体内に有しているのも、アザラシや魚を主食としているためでした。
EPAを長期間とり続けると、その血液成分(赤血球、血小板)や体全体の細胞にとり込まれます。その結果、血液を固まりにくくさせたり、血管をしなやかに保つほか、高脂血症を改善する働きをもっていることが、世界中の研究者により確認されました。
血液をサラサラにするなど、EPAの多彩な作用が誤った生活習慣からおこる動脈硬化性疾患を遅らせる可能性があるとして注目されています。
近年、食生活の欧米化により日本人のEPAの摂取量は年々減少し、ストレスなども加わって、動脈硬化や心筋梗塞が増加しています。EPAは、私たち現代人にとってまさに母なる海からの贈り物といえるでしょう。
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