原因がはっきりしない高血圧症は「本態性高血圧症」と呼ばれています。原因がはっきりしないというのは、さまざまな原因が絡みあって絞りこめないということです。高血圧症の人のうち、およそ90%はこの本態性高血圧症です。一般に、40代では10〜15%、60代になると40%以上の人が本態性高血圧症だとされています。
本態性高血圧症の場合、血圧が高くなるだけで、頭痛や肩こり、動悸、息切れといった、ごく軽い症状しかないため、本人が自覚しないことがよくあります。しかし、病気はひそかに進み、やがて臓器などに障害が及んで、めまいや目のかすみといった症状がはっきりしてきます。高血圧症が「サイレント・キラー」といわれるのは、このような理由のためです。血圧が高いほど、将来的に脳卒中や心臓病、腎臓病などの病気になる確率が高くなります。
したがって、現代医学では将来病気にならないことを第一の目標に、その人のからだの状態に応じて、食事療法や運動療法、薬物療法などの方法を組み合わせながら治療を行います。