■生活習慣病 糖尿病薬物療法

 

薬物療法<インスリン注射薬療法>


 インスリン注射薬 2
インスリンの働き
インスリンは、膵臓(ランゲルハンス島)から分泌されるホルモンです。その生理作用は血糖を下げることにありますが、作用部位は大きく3つあります。

@肝臓での作用
  ・ブドウ糖をグリコーゲンに変えて、貯蔵する。
  ・肝臓でブドウ糖が作られ、血液中へ放出され
   るのを抑える。
  ・蛋白質、脂肪や核酸の合成を促進する。

A筋肉中での作用
  ・ブドウ糖の筋肉への取り込みを促進する。
  ・ブドウ糖をグリコーゲンに変えたり、エネルギ
   ー源としての利用を促進する
  ・蛋白質の合成を促進する。

B脂肪組織での作用
  ・ブドウ糖の脂肪組織への取り込みを促進
   する。
  ・脂肪の合成を促進する。

 これらの作用が、血糖を下げる方向に作用します。食事などにより血糖値が上がると、インスリンが膵臓から分泌され、上記の作用により血糖値を正常に保ちます。
インスリン
製剤の種類
速効型



NPH製剤




混合製剤(30R)








@超速効型インスリン製剤
 作用発現時間は注射後約10分、持続時間は3〜5時間です。みためは無色透明です。速効型よりも吸収時間を短縮することで発現時間の短縮に成功。従来の注射後実際に食事を摂るまでの時間を計算しにくい場面(外食時など)で有効。

A速効型インスリン製剤(R型)
 作用発現時間は注射後約30分で,持続時間は6〜8時間です。みためは無色透明です。

B中間型〈NPH製剤)インスリン製剤(N型)
 作用発現時間は注射後1時間半で,持続時間は約24時間です。みためは白色に濁っています。

C中間型(混合製剤)インスリン製剤
 これは,速効型と中間型インスリンを混合したもので,作用発現時間は注射後約30分で,持続時間は20〜24時間です。みためは白色に濁っています。

D持続型インスリン製剤
 作用発現時間は注射後約4時間で,持続時間は18〜28時間です。みためは白色に濁っています。

※@Aの速効系インスリン製剤以外は.作用時間を長くするために白く濁らせています。ですから.使用する前は必ず振って液を均−にしなければなりません。
インスリン療法
の実際
強化インスリン療法


2型糖尿病でのパターン






注射箇所は毎回ずらす
 1日の血糖値は,食事や行動によって変化しています。その変化する血糖値を適正にコントロールするには,インスリンを頻回に注射することが必要になります。
 特に,T型糖尿病のように膵臓からの分泌されるインスリン量が期待できない場合は,頻回注射の「強化インスリン療法」が進められます。
 一方,2型糖尿病のようにインスリンの補充を目的とした場合は,1日2回(朝・夕)が多いようです。しかし,これらは患者さんの年齢・合併痘の有無や程度,理解カ,生活パターンなどによって主治医が決定します。

 原則としてインスリンは,食事の15〜30分前にします。これは,インスリンの効き目が30分くらい経ってから現れるためと,食事による血糖上昇を考慮しているからです。

 インスリンは皮下注射が基本です。皮下注射されたインスリンは皮下脂肪組織中の毛細血管から血中に入り,目的の細胞で作用を発現します。

 
吸収の速さは注射部位(腹壁,上腕,大腿の順に速い)によって異なることになっています。また、注射箇所を毎回ずらすことにより,安定した吸収が得られます。

 


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