和の美術めぐり 2008-2011

(2005-2007 は こちら)

 

2010年度  ベスト 3 

今年は23回 和の美術めぐりをしました

その中で印象深かったものをあげました

1) 国宝 土偶展

2) 長谷川等伯展

3) 上村松園展

 
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101205 小林礫斎 手のひらの中の美
たばこと塩の博物館

明治から戦前にかけて驚くべくミニチュア作品を制作した小林礫斎のちっちゃなちっちゃな物の展覧会。孫ふたりを誘って出かけました。

タンスやお茶道具、団扇や人形、碁盤、算盤、硯箱豆本や軸など本物そっくりのものが沢山並んでいます。

ミニチュアといっても玩具ではありません立派な芸術品。材料も塗りも画も一級のもので作られています。

象牙で作られた2センチほどのタンスは引き出しも開けられます。碁石は那智黒で作られています。お茶道具では1センチほどの茶碗や棗、ひしゃくも3センチほどで実物そっくり。三友棚の材質も忠実に。

孫たちもビックリしています。独楽はなんと5ミリ、でもちゃんとまわるそうです。瓢箪は3センチ、その傍に3ミリ角のサイコロが、ちゃんと目があります。米粒や何と胡麻に描かれた絵もありました。

豆本では古今和歌集や百人一首、絵も字もすばらしいです。

とにかくこんな小さなものを作った小林礫斎は天才と思いました。

是非お勧めの展覧会です。

 
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101024 現代の茶
智美術館

この美術館は現代陶芸家の自由な発想で作られた作品の中から毎年賞を出しています。

今回は茶道具を中心とした展覧会。

全体を見て現代の陶芸家の作品は、大振りで力強く男性的です。土をたっぷり使って重量感のあるものが多いです。

私が注目したのは楽吉左衛門の《灰釉焼締花入》、柳原睦夫の足が高い水指《浮き水指》、徳澤守俊の《焼締朝鮮唐津水指》、小川待子の《白金彩碗》、金森有邦の《伊部花器》.

それに茶道具ではありませんが、今回の優秀賞に選ばれた←秋山陽の《無題MV-104》・・・これは火山の爆発を思わせる土肌で、陶土の塊に何か重いものをストンと落としたと言うか、陥没したかのようなダイナミックな作品です。

これらの茶道具は、狭い畳の茶室ではそぐわない感じで、モダンな空間で映える作品だと思いました。

茶室のしつらえもありましたが、立礼棚で、軸も斬新な書、花入れもあっと驚く大きな球状のものでした。侘びさびの世界とはちょっと距離ができたかな?と思われるものでした。

 
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100926 古賀春江の全貌
神奈川県立近代美術館葉山

《海》  

《そこに在る》

古賀春江という画家はどういう画家だったかが分かる展覧会でした。38歳という短い生涯でこれほど画風をいろいろに変えた画家もあまりいないのではと思います。

初期は写実的で安心感のあるきれいな絵です。ところが人物画などセザンヌ風になり、次にはピカソのキュビスムや強い色使いの表現主義的な画風に、またダリ風のシュルレアリスムなどになります。

そして最後には幼稚園児のような稚拙な画風に、クレーのような詩的な夢の世界のような絵に変わります。

このようにころころ画風が変わるので《カメレオンの変貌》といわれたそうです。

詩も書く文学青年でもあったようですが、その詩もちょっと難解。

どんな画風でも器用に描いてしまう才能があっただけに 自分の個性を確立できずにいた画家ではないかしらとも思いました。

葉山までのドライブ、帰り、横須賀横浜道から第3京浜に入る狩場JCのあたりでいつも戸惑います。

 
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100919 茶事をめぐって現代工芸の視点

東京国立近代美術館工芸館

工芸館

工芸館は赤レンガの趣のある建物です。現代の工芸家たちによる創作茶道具の展示。

全体的に大振りで、ずっしりと重量感のある、ごつごつとした感じの 力強い男性的な道具が多かったです。

そういう茶道具を取り合わせて茶室のしつらえをいくつか作っていました。

ちょっといいなと思ったのは福本潮子の藍染の布で真ん中に白く滝のような光のような模様のものを軸にしたもので幻想的でした。

よく見るとしつらえの畳の縁から小さな雑草が生えています・・・須田悦弘の実物そっくりのだまし?アートです。

また、2畳ほどの蚊帳を吊って中に結界と黒の茶碗が置かれているしつらえがありました。これも福本潮子作「霞の茶室」。中に入ったらきっと閉鎖的で何か落ち着いた雰囲気なのでしょう。

水指もふたの取っ手のないもの、ごつごつと岩のような重そうな茶碗は実際にはお茶を点てにくく、また飲みにくそうな感じで、「用の美」ならぬ「非用の美」。アーチストが感性と技量に任せて作ったものも多かったです。

それが 今回の展覧会の趣旨なので、斬新な工芸作品ばかりでしたが、利休さんの時代も国焼きや竹等を取り入れたり、当時としては斬新な感覚のものを使ったことを思うと、このような作品も時代を経れば案外受け入れられて、「用の美」の新しい茶道具になるかもしれません。男性の茶道には受け入れられそうです。

新しいものに対するアレルギーは良くないかもしれません。

 
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100919 皇室の文庫(ふみくら)

三の丸尚蔵館

人気で行列が・・

龍馬の裏書

今年のNHK大河ドラマは「龍馬伝」。福山龍馬に私はファンです。

その龍馬が薩長同盟の裏書きをしたことが先週のドラマでした。怪我をした手をお龍に支えられながら朱筆で裏書していました。その本物が今展示されているというので見に行ってきました。朝早く出かけたのにものすごく混んでいました。龍馬人気ですね。

裏書の中身は以下のとおり。のびのびとしたいい字でした。

表に御記入しなされ候六条は小、西両氏および老兄龍等も御同席にて談論せし所にて、毛も相違これなく候。将来といへども決して変わり候事これなきは、神明の知る所に御座候。
 丙寅二月五日  坂本龍

このほか竹取物語絵巻、日本書紀、古今集、新古今集、百人一首なども展示されていました。

 
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100912 小泉淳作展
日本橋高島屋

 

蕪椿図

東大寺1260余年にわたる歴史の中で、初めて襖絵が制作されました。5年がかりで描いたのは鎌倉の建長寺と京都の建仁寺に天井画を揮毫した日本画家 小泉淳作氏。

本坊襖絵の《蓮池》は大きく、いきいきとした蓮の花が沢山色彩豊かに描かれています。写実派ならではの丁寧な描写。

また、桜の間には《しだれ桜》《吉野桜》が花いっぱい見事に咲いています。小泉画伯は桜の絵を今までに描いたことがなかったとのこと・・・何千もの花びら一つ一つを描くのに大変であったとビデオで言っておられました。何しろこの襖絵を描かれたのが80才になってからですから もっともなこととその根気に敬服しました。

聖武天皇と光明皇后の肖像画は、実際にモデルに衣装を着てもらい髪形も結い上げて描かれたそうです。唐の時代の美人画のようでした。

小泉画伯は墨絵を50歳半ばから描かれましたが、この墨絵シリーズもたいしたものです。

 
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100907 上村松園展
 東京国立近代美術館

《焔》 《舞準備》

《長夜》

上村松園の絵は気品あふれる美人画で、見てても気持ちが和むものです。

今回まとまって100点(素描画も含めて)も展示されており、見ごたえのあるものでした。初日に行きましたが、鑑賞者は女性が圧倒的に多かったようです。

17才のときの画から展示が始まっていますが、もうすでに技術が完成しているように感じます。若いときの作品はいきいきしていて私は好きです。

着物の柄、帯の柄が本当に細かく美しく目を見張ります。色彩も華やかで、浮世絵の影響を強く受けています。すだれ越しの透けた姿、薄物(紗)の着物の透けた感じ・・・透けたものを描く技術は素晴らしいです。

《焔》←、《花かたみ》のような女の情念を表した絵もあります。

同行した主人は「美人画もこう沢山見ると飽きるな」と。

穏やかな展覧会でした。

 
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100823 三菱が夢見た美術館

岩崎家と三菱ゆかりのコレクション

三菱一号館美術館

今年のNHK大河ドラマは「龍馬伝」。その中に出てくる岩崎弥太郎・・・ドラマの中ではひどい貧乏人。その岩崎家が土佐藩の海運業をまかされたおかげで、現在の三菱の基礎を作るまでになったのです。やはり龍馬のおかげ?

三菱関係の企業が所持していたり、個人所有のものなど  めったにはお目にかかれない絵画を見ることができました。

岸田劉生「童女像」「瓶と静物」、黒田清輝「春の名残」「摘み草」はとてもきれいです。

今回は静嘉堂文庫からも沢山きていて、門外不出であった国宝《曜変天目》や、仁清の《色絵吉野山茶壷》《付藻茄子》も出ていて、思いがけず再見できました。

日本画、洋画、茶碗、彫刻、屏風などいろいろバライエティに富んだ展覧会でした。

 
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100810 妖怪・化け猫展
平木UKIYOE美術館

夏は幽霊の季節?

浮世絵の中にある幽霊・妖怪をテーマにした展覧会。

江戸時代の妖怪には、化け猫・かっぱ・狐・狸・般若・轆轤首・がま蛙・龍・鬼・土蜘蛛などがいます。

妖怪のほか、怨霊 幽霊・・・これはこの世に恨みや未練を残して死んだ人、女性などです。

人間は目に見えないけれども、心の中にこういう怖い存在を描いて、自分の中の悪い心にブレーキをかけているのかもしれません。

”幽霊の正体見たり枯れ尾花”・・・怖いと思えば枯れ尾花も幽霊に見える・・・何かやましい心があるとそうなるのかも…クワバラ クワバラ・・・・・。

 
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100806 BASARA展
スパイラル・ガーデン表参道

「BASARA}・・・バサラ・・・婆娑羅  と聞くと、茶道をしている私は佐々木道誉のバサラの闘茶をイメージします。

バサラとは 粋で華美な服装や奢侈な振る舞いを好む南北朝時代の美意識。

あまり興味がなかった展覧会でしたが、主人が「興味を失ったときから老化が始まる」のことばに脅されて暑い中一緒に行くことになりました。

蒔絵をボディに施したバイク、その側に昔の奇抜な形の兜が。ヘルメットです。

池田学の《興亡記》・・・時空を超えた大きな木のようなお城、まるでバベルの塔のよう・・チャンバラをしている側を電車が走っているなど不思議な絵。

刺青の体の写真。

また昔の根付のついたタバコ入れと、ストラップもにぎやかな現代のデコレーションされた携帯。

とにかくどぎつくらい派手な作品、奇抜な作品が展示されていました。

 
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100801 有元利夫展
東京都庭園美術館

38歳で夭折した画家の没後25年記念の展覧会。

ほとんどの画がロングスカートをはいた人物が一人描かれていて、その人物たるや首が太く、肩や二の腕がやたら太い、その割りに頭、手や足が極端に小さく、ちょっとバランスが悪い。

スカートははいていますが、顔を良く見ると女性なのか男性なのか定かではない。表情もない。

絵の題は音楽に関係したものが多い。例えば《厳格なカノン》←《ロンド》《ヴィヴァルディの「春」・「夏」「秋」「冬」》《室内楽》《七つの音》など・・。

しかし、絵の題名と音楽がどうも私には響かなかった。

でも個性的な有元の絵は私の脳にしっかりと入った。

 
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100604 山本丘人展
高島屋ホール

「満月夜」

生誕110年記念の展覧会。

松岡映丘に師事し、日本画を学んで描いてきたところ、いろいろと日本画壇の弊害を目の当たりにし、新風を起こしました。弊害として日本画は写実で平坦で精神性がない。情実で賞などが決まるなどをあげています。


ですから新風を起こしてからの画風はガラッと変わります。

自然をディフォルメして力強く峻厳な筆致で描いています。私はこの時期の絵が 山本丘人の個性が出ている絵だと気に入っています。

最後はまた 叙情的な心象風景画に変わっていきます。絵の中に犬・人・そして車まで出てきます。そしてなぜか後姿の女の人がよく現れます。

画家は色々と画風を変えていくのですね。

 
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100604 細川護熙展
三越ギャラリー

細川護熙氏が政界を辞めて久しいですが、陶芸、書に打ち込んでおられることは有名です。今回はパリでの展覧会と同じ作品展です。

抹茶茶碗をはじめ陶仏、大きな壷、皿などが数多く展示されていました。

黒楽など古っぽく つやを消し、長次郎の茶碗を感じるものでした。井戸茶碗など高麗茶碗を模したものが多かったです。ちょっと見ると本物と見まごうものもあります。いわゆる陶芸家が個性的な茶碗を造るのに対し、細川氏は旧来の名碗を手本に造っておられます。

また書は、やさしい味のある書体でした。白い紙に下に薄墨や淡彩を施し、その上に書を書くというアイディアは斬新。内容も白楽天・道元・良寛などのステキなものでした。

お殿様の道楽くらいに思っていた展覧会でしたが、ほとんどプロの領域と感心しました。

今日首相を辞任された鳩山さんも ○年後にはこのような個展を開いたりされるかも・・・・。

 
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100403 生誕120年奥村土牛展
山種美術館

《醍醐》 《茶室》

《鳴門》

山種美術館が広尾に引越しをしてから初めて訪れました。

奥村土牛は38歳で院展初入賞という遅咲きの画家。

牛の絵が得意で、《聖牛》は白い母子の牛が描かれています。大徳寺の真珠庵を描いた←《茶室》は印象的でした。

有名な←《鳴門》は海の色も動きも見事な渦潮の絵。鳴門は奥様の郷里で、船から渦潮を覗き込んでデッサンする土牛の帯を奥様が掴みながら描かれたというほほえましいエピソードが示されていました。

花や風景の絵も沢山ありましたが、その中ではやはり 今回の展覧会チラシに載っている←《醍醐》の桜の絵が素晴らしいです。この絵がなんと80代の作品。

そういえば70代80代の作品が多く、大器晩成の画家ということを実感します

 
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100320 歌川 国芳展
府中市美術館

奇と笑いの木版画 国芳の展覧会です。

江戸後期に活躍した国芳は歴史画・錦絵・物語画など描きましたが、おりしも質実剛健・倹約令が出ていた時代。遊女絵、役者絵等が禁止されていました。


そこで国芳は規制に触れないテーマを次々考え、そこで登場したのが妖怪、猫や鳥、魚などを人間になぞらえて登場させます。そしてそれが斬新で面白く人気が出ました。

←《相馬の古内裏》・・・題は難しいですが、大きな骸骨を妖怪として描いており、インパクトがある絵です。

浮世絵は「絵解き」がかなり高尚で難しいです。ですからちょっととっつきにくいですね。中国の物語や、日本の古典、歴史、しゃれ、ユーモアが分からないと国芳の画は難しく、主人の解説を聞きながらでも大変疲れた展覧会でした。

 
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100316 安田靫彦展
川崎市民ミュージアム

安田靫彦は歴史画を描くアカデミズムの画家です。

川崎市民ミュージアムは安田靫彦の写生、下絵を多く持っています。一枚の画を完成させるために、画家は何枚も下絵を描きます。

鳥、虫、花もいろいろな角度から写生、また人物画では手や顔・洋服等を部分的に何枚も描きます。いかにも真面目なアカデミズムの画家と感じます。

画に添えられた安田靫彦の書もとても味わいのある字でわたしは好きです。

画のテーマは中国の影響を受けているものが多いですが、卑弥呼、日本武尊、良寛、楠公、大観の画もあります。下絵は地味で未完成品なので、その完成図を是非見たいと思います。

 
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100303 浮世絵の死角
 板橋区立美術館
   八百屋お七と長兵衛

イタリア・ボローニャの二人のコレクターが秘蔵する浮世絵が展示されています。

広重、国芳の他はあまり知られていない浮世絵絵師のものが大半です。しかし、奇麗な色のものも多いです。浮世絵は摺りによって色がまちまち・・。

そして役者絵が多かったです。

今回の変わった展示物は玩具絵があることです。着せ替え人形ふうのものや、双六など。

主人に誘われて行った展覧会でしたが、ちょっと浮世絵ファンでもマニアックな人向けの展覧会かな?私には難しく疲れました。

 
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100226 長谷川等伯

没後400年記念特別展

 東京国立博物館平成館

 

国宝《松林図屏風》で有名な画家、長谷川等伯は能登七尾に生れた桃山時代の画家です。今年は没400年でその記念の大展覧会。

等伯といえば《千利休像》(←)、大徳寺山門の天井画・柱画が浮かんできます。

信仰心篤く、能登にいた時代は、細かく丁寧に描く絵仏師でした。後に京都で描いた《仏涅槃図》は高さ11m、幅6mの圧巻大絵画。 

京都に出てからは肖像画、花鳥画をダイナミックに色彩華やかに描くようになります。将軍お抱えの絵師であった狩野永徳と張り合うようにアピールして描きます。

アピールの一例として、大徳寺三玄院で、和尚さんが留守の間に、唐紙に一気呵成に襖画を見事に描いてしまいました。(←)やはり、真央・ヨナのように、ライバルがいるとお互いが張り合って技術が向上するのでしょう。

次第に水墨画に傾倒、中国の故事を題材にしたものや、山水画を描くようになり、最終的にあの有名な国宝《松林図屏風》にたどりついたのです。

 

 
 
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100129 東京国立博物館常設展
東京国立博物館
 

国宝室では今月は雪舟の《秋冬山水図》が展示されていました。

茶の美術室では《有楽大井戸》←、これは喜佐衛門の大井戸茶碗より、色も萩色に近く、優しい感じ。

また、《洛中洛外図屏風》舟木本←も見ることができました。これについては予めミュージアムシアターで細かく画像で見て説明も聞いているので、全体の様子が良く分かりました。

何しろこの屏風、2500人もの人物が描かれていて細かい絵なので、単眼鏡で見てもあまりはっきりは見えません。シアターでの画像で大きく見たので満足。

大阪冬の陣直前の京都の町・・・庶民はそんなこととは関係なく芝居を楽しんだり茶屋で飲食したり、祭をしたり、買い物したり楽しそうです。

 
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100129 国宝 土偶展
東京国立博物館

土偶は大昔の素朴なもの・・ということであまり期待しないで出かけました。しかし全国からこれだけの数の土偶を一堂に集めた今回の展覧会は圧巻。見てよかったとつくづく思います。

土偶はすべて女性を形作ったもの。安産や多産を祈願してのものだそうです。国宝は下記の3点。重文は7点。

「縄文のビーナス」「中空土偶」「合掌土偶」

私のお気に入りは←「仮面土偶」、体の模様や、太ももの力強さ、三角形の仮面など素晴らしい。

土偶は現代の我々が見ても素晴らしい彫刻、現代アートといっても納得できるほど・・。これがなんと今から4000年位も昔の人の作品とは!

プリミティブアートは、岡本太郎や、ピカソにも影響を与えたと言われますが、人間のアート感覚が昔も今もそんなに変わっていないと思いました。

 
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100123 江戸の彩

珠玉の浮世絵コレクション

太田記念美術館

真崎の月見

開館30周年記念特別展とのことで、名品中の名品が出ています。

浮世絵といえば版画というイメージですが、肉筆画の浮世絵は色彩が鮮やかですばらしいですね。

浮世絵というのは江戸後期では歴史画や風景画も出てきますが、初期は当世風の遊郭の美人・芝居の美男子役者等を描いたものが多く庶民に人気があったのは納得がいきます。

今でも芸能界のスターが人気を博しているように・・・。

師宣、春信、清長、北斎、広重、春章、写楽などの有名な絵師の浮世絵の他、これらの弟子達の作品が展示されています。

お気に入りは←鳥居清長の《真崎の月見》

浮世絵のよさがこのごろちょっと分かってきました。

 

 
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100121 村山槐多展
松涛美術館

22歳で夭折した画家です。結核をわずらっていたところにスペイン風邪のため若くしてなくなったのです。

力強いタッチで、荒々しく何かを訴える個性的な絵です。

画家であり、文学青年。詩や、小説を書いています。詩はなかなか難解ですが、若いエネルギーを感じるものです。

同級生の色白でハンサムな男子にラブレターを書いたりしたことも。しかし後では、女性との恋愛に悩むなど普通の男子でした。

私の気に入りの画は←《湖水と女》、ダヴィンチの《モナリザ》を意識して描いた絵。

たった22年で後世に残る大仕事をした槐多はやはり天才なのでしょう。

 
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100117 柴田是真の漆・絵
三井記念美術館

ポスター

富士田子浦蒔絵額

幕末から明治にかけて活躍した漆芸家でもあり画家でもある是真(ぜしん)の里帰り展覧会です。

和紙に漆で描く漆絵というのも見てみたく出かけました。

初めは、漆の印籠・皿・煙草入れ・重箱・硯箱などの工芸品が展示されています。照明が暗いのでひどく見にくいのだ残念でした。

是真独特の波の模様のある《柳に水車文重箱》(←上段)は素晴らしいものでした。

漆絵は紙に丁寧に細かく描かれていますが、うっかりすると普通の日本画かと思いますが、やはり黒がひときわ目立ちます。粘りのある漆で描くのはとても技術がいるようです。絵の中に螺鈿を細かく貼り付けたものもありました。

10センチ四方位の画帖には小さな絵がいろいろ描かれていて、わたしのお気に入り。

茶入や砂張菓子器が展示されていましたが、これは”だまし”で、陶器・金属と思いきや竹胎や紙胎に漆でいかにも陶器らしくまた金属らしく色付けしたもの。いたずら心もある是真です。

 
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2009年度  ベスト 3 

今年は19回 和の美術めぐりをしました

その中で印象深かったものをあげました

1) 国宝 阿修羅展

2) 皇室名宝展

3) 日本美術館名品展

   
091023 新・根津美術館特別展
根津美術館

  

 

根津美術館が新しく建替えられたのを記念しての展覧会です。新しい建物にも興味があって出かけました。

竹垣と竹のアプローチは和風でとてもよい雰囲気です。建物は隅研吾氏の設計。大屋根は和風、それに広いガラス窓を配した和洋折衷のもの。

又ドイツ人のデザイナーによる美術館の”ロゴマーク”↑もモダンなものになりました。

今回の目玉は、国宝《那智瀧図》。しかしこの作品は退色がひどく、暗い会場で目を凝らさなければ細かいところは見えません。同行の主人は図の上に描かれている月を見逃したと悔しがっていました。

蔵三の《牡丹猫図》←は牡丹を見ている・・と思いきや小さく描かれている蝶を見ている猫。やはり花より団子・・・。

茶道具では仁清《銹絵柿図水指》←が私のお気に入り。

この記念特別展は来年9月まで8回にわたってするそうです。 

 
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091016 皇室名宝展(一期)
東京国立博物館平成館

北斎《西瓜図》

上村松園《雪月花》

天皇陛下即位20年を記念しての展覧会です。第一期では近世から近代にかけての絵画・名品の展示です。

狩野永徳《唐獅子図屏風》の左隻は永徳の右隻←をまねて約100年後の江戸時代に狩野常信が描いたものです。時代のズレを感じさせないほどの出来栄えと思いました。

若冲の《動植采絵》の30幅が、一堂に並んでいたのも圧巻です。 

工芸品も数々出ていましたが、中でも私が感心したのは濤川惣助の《七宝月夜深林図額》です。よくよく見ても墨絵にしか見えず、七宝の作品とは信じられないものでした。

金曜日というのに大変な混雑ぶりで、《小栗判官絵巻》など行列して見ました。

北斎の《西瓜図》は前にも見ていますが、何回見ても素晴らしいと思います。包丁にしるされた北斗七星も見逃せません。北斎は北斗七星に執心で、ここから《北斎》と名乗ったという話を同行の主人から聞きました。

上村松園《雪月花》←は枕草子、源氏物語、伊勢物語を題材にしているとのこと、きれいな大和絵です。

 
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091004 夢と追憶の江戸展(前期)
三井記念美術館
 

高橋誠一郎浮世絵コレクションの名品展です。

慶応義塾の塾長代理でもあった高橋氏は、没後主要なコレクションを慶応義塾に移譲しました。慶応義塾が創立150年を迎えたことを記念して今回の名品展が行われたのです。

菱川師宣、鈴木春信、歌麿、写楽、北斎、広重から明治期に至るまでのそうそうたる浮世絵師のものが並んでいます。展示方法が壁にかかっているのではなくガラスケースに角度をつけて見やすく展示されていました。

浮世絵は同じ絵でも摺りによって色彩が違ってきます。初期のもののほうがきれいな色が出ます。今回の浮世絵は色彩がきれいなものが多かったように思います。

わたしは鈴木春信の幼さのある可愛い丸顔の人物や、鳥居清長の八頭身の美人画がすきです。

浮世絵は単に美人画としてではなく、いろいろな意味を含んでいるものもあり、細かく周りの調度品や、日用品等にも目を向けると「そういうことなのだ」とわかることもあります。

浮世絵は奥深い世界です。

 
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090803 美しきアジアの玉手箱
サントリー美術館

シアトル美術館所蔵の日本美術里帰り展です。

明治時代 如何に多くの工芸品、絵画、書、陶器など日本の美術の優品が海外に流出したかを再認識させられました。

中でも印象的だったものは六曲一双の《烏図》屏風←。金地に黒いカラスが百匹弱が描かれています。空間の間をうまく取って、いろいろな動きのカラスが躍動感ある姿で描かれています。

近くで見ると嘴からは舌も、羽も黒いながらちゃんと細かく羽の一節一節が・・・。足も力強く正しく写実されています。

あと、本阿弥光悦・俵屋宗達合作の《鹿下絵和歌巻》←を長い巻物で見られたことがよかったです。

これは益田鈍翁が切断してしまった巻物です。切離して軸装したものは日本のいろいろな美術館にありますが、シアトルには長いままの部分があるのです。左図はこの巻物の最後の部分で、鹿がこんなに群生していたのです。

今回は日本に散らばっている断巻も含めて一巻が通しで見られます。やはり巻物は通して見るのが一番。

和歌も月など秋を詠んだものが多いことも通しで見たからこそ分かったことです。

このほか、韓国、中国の美術品もいろいろ展示されていました。

 
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090607 日本の美と出会う
高島屋東京店

細見美術館所蔵品の展覧会です。

宗達・光琳の「京琳派」と、抱一・其一の「江戸琳派」の花鳥画がずらっと展示されている中、よかったのは光琳の《柳図香包》←、抱一の《白蓮図》、其一の《糸瓜に朝顔図》。

あと、若冲の絵や屏風がありましたが、中でも「糸瓜群虫図》はいろいろな虫が描かれていてそれを探すのも面白かったです。墨で描かれた屏風では鳥が飛んでいる一瞬の動きが感じられる見事な描写でした。

そのほか北斎の肉筆画《五美人図》←や、絵画以外では、志野茶碗《弁慶》や織部の沓型茶碗や、お釜も沢山でていました。

 
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090531 片岡球子展
高島屋東京店

2008年103歳で亡くなった片岡球子の追悼展です。

球子は”ゲテモノ絵描き”といわれたように、奇抜で力強く、色彩はけばけばしい絵で、確かに、山シリーズ、面構えシリーズ等、球子の強烈な個性があふれています。

画面いっぱい大きく歴史上の将軍、禅僧、役者、絵師などを描いた面構えの人物の着物にも注目しました。柄・色ざしは、細かく、うるさいくらい華やかです。

富士山シリーズでは、富士山とともに必ず華やかな花が裾野に描かれています。この花々は、球子が富士山を描かせてもらったお礼に富士山に晴れ着を贈るという意味のようです。なかなか粋な発想。

78歳からは、外で写生ができなくなったので、裸婦を描き始めます。

90歳で描いた《雪舟》は半分に雪舟の画を模写、もう半分に雪舟の面構えが・・・。ナカナカの大作で、ここではけばけばしい色彩は減り、渋い感じの絵です。

絵に対する情熱があふれ、最後までやりとおしたものすごい女流画家です。

 
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090515 静嘉堂文庫美術館
筆墨の美ー水墨画展

三彩鴨水滴

私は水墨画にはまだ興味が沸かないのですが、主人に連れ立って出かけることになりました。

中国絵画では、私の唯一知っている画家、牧渓の「羅漢図」←がありました。蛇が膝に這い登ってきているいる羅漢。13世紀のものなので絵全体が茶色になっていてよーく見ないと見えません。

山水画が沢山ありましたが、かならず雄大な山河の景色の中に人物が小さく描かれていて、楼閣・家の人物は小さいながらも何をしているかがわかります。本を読んでいたり、書を書いていたり、笛を楽しんでいたり、箒で掃除していたり・・・。

山水画は山が上へ上へと連なって雄大な自然を表し、そのふもとに小さな人家が描かれていて、人間は大自然の中の本当に小さな存在であることを、知らしめているような気がしました。

こういう中国の絵画を手本に、日本の画家は勉強し、そして日本の個性を発揮した日本絵画へと進んでいきます。

日本絵画では光琳、池大雅、抱一、渡辺崋山、玉堂・・・等がありました。

水墨画とともに文房具←も展示されていました。文房具を熱心に観ている方が・・・・ナントその方は鑑定で有名な”中島誠之助氏”でした。ちゃんと勉強されているのですね。

 
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090505 国立東京博物館
平成21年新指定 国宝・重要文化財
長次郎《二彩獅子》

国宝 阿修羅展を見たついでに、本館も回りました。

国宝室には今回は《普賢菩薩像》

その近くの部屋に今年国宝や重文に指定された品々が展示されていました。

その中で私が興味があったのは←長次郎の《二彩獅子》。いわずと知れた長次郎の瓦職人時代の 躍動感のある力強い作品。今回重文に指定されました。

あと茶道関係では、光悦の赤楽茶碗《乙御前》で、これも重文になりました。

 
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090505 国立博物館平成館

国宝 阿修羅展

国宝 阿修羅像に再会しました。

前に興福寺で拝見した時に比べて、暗い中 スポットライトに照らし出された今回の阿修羅像は、仏像というよりも芸術品といった感じです。

くすんで白っぽく感じていた色彩も今回はライトのせいで明るく金色も感じられました。

それにしても腕が細く華奢なお体。3面のお顔もじっくりと拝見。衣のデザインも履いておられるサンダルも洒落ていることが、今回分かりました。

あと、四天王像や背の高い薬王菩薩、八部衆、十大弟子なども見ましたが、とにかく混雑していて、細かい展示品は観られませんでした。

 

 
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090505 東京藝大美術館
尼門跡院の世界展

皇族の女性が門跡となる習慣が明治時代まで続けられていました。

尼となった皇女は、寺の儀式を執り行うかたわら、書、画、香、茶、人形造り等の文芸活動にも力を注ぎ、素晴らしい作品を残されています。

私が特に素晴らしいと思ったものは、「散華」という直径5cm位の丸い紙に、草花・人物等を細かく描いてあるもの←です。儀式の時にぱらぱらと撒いていくもの。

古歌懐紙の仮名もすばらしく、うっとりしてしまいます。

また、源氏カルタ、百人一首、絵合わせカルタ、双六なども優美な素晴らしい画と文字があり、尼といってもさすが元皇女、たいそう雅な世界であったことが分かります。

皇女の儀式として、「2歳・・色の着物が着られるようになる、5歳・・髪をのばし始める、9歳・・紐落としといって、帯をつけるようになる」といったことが決められていたことも興味深かったです。

 
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090429 東京都美術館
日本の美術館名品展

フランソワ・ポンポン「シロクマ」

 

全国の美術館から、洋画・日本画、彫刻、版画の名品を集めた展覧会です。特にテーマのない展覧会なのですが、東京にいなが各地にある名品を鑑賞することができました。

各美術館選りすぐりのものを出品しているので、見応えのあるものでした。洋画ではモネ、ルノアール、ピカソの秀作等。アンソールの《キリストの誘惑》は大作で印象的でした。

あとフランソワ・ポンポンの、←大理石彫刻の《シロクマ》は小品ながら可愛かったです。

日本画では、ポスターの←藤田嗣治《私の夢》、黒田清輝《ポプラの黄葉》、高島屋十郎の《ロウソク》・・・それに病で右腕を切断しながらも左手で書かれた三橋節子《余呉の天女》にはジーンと来ました。

今回、脇田和という画家の《鳥に話す》と、近藤浩一路《雨季》という作品も なぜか心に残りました。

 
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090425 石川県七尾美術館
長谷川等伯展

国宝《松林図屏風》で有名な画家、長谷川等伯は能登七尾に生れた桃山時代の画家です。

冨山に滞在中、偶然TVニュースでこの展覧会を案内していたのを見て、金沢経由で帰京するはずだったのを七尾まで行くことにしました。

茶道をしている私には、等伯といえば《千利休像》、大徳寺山門の天井画・柱画が浮かんできます。

来年は没400年とのことで、京都・東京でもだいたい的に等伯展が企画されているそうですが、はるばる七尾に来て鑑賞できたことは、よかったです。

気に入った画は《松に烏、柳に白鷺図屏風》・・・松の木の枝に巣を作った つがいの烏、ひな3匹の表情も可愛い画。

《萩芒図屏風》・・・風の流れを感じます。

《龍虎図屏風》・・・虎の顔はユーモラス、龍は顔がドアップで迫力あります。

 
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090424 砺波市美術館
堂本印象と東丘社展

”となみチューリップフェア”が行われている公園内にある美術館で、堂本画伯の展覧会を見ることができました。

堂本印象は初期には純粋な日本画です。《木華開耶媛このはなひらくひめ》←、《兔春野に遊ぶ》など優しい感じの日本画です。

しかし、途中で作風が抽象絵画へとガラッと変わります。その変わり方には驚きます。しかし、色彩が奇麗で、丁寧な抽象画です。

堂本印象の画塾「東丘社」の画家の作品も沢山出ていました。

 
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090421 富山県立美術館

色彩は踊る

巨匠たちのパレットと作品展

パレットは画家の大事な道具。パレットを見ることで、その画家の個性を垣間見る事ができるのではという展覧会。画家の画とパレットが並んで展示されていました。

外国画家ではピカソ、ダリ、マティスのものがあります。後は日本人画家のものです。

絵具を色別にきちんと並べている安井曽太郎は、きっと几帳面なのでしょう。

暗い色調の画を描く画家のものは地味な色の絵具がのっています。

厚塗りの画を描く画家のパレットは絵具がうずたかく盛り上がるように付いています。

山岳画家の足立源一郎のパレットには、やはり雪山が描かれています←。

宮本三郎のパレットには、カラフルな絵具を花飾りの帽子に見立てて、女性の横顔が描かれていました。

赤と緑のインパクトある《阿修羅》の画を描いた奥谷博氏のパレットには羽子板画が緻密に描かれていて、印象的でした。

パレットの大きさもA4サイズくらいのものから新聞紙を広げたサイズのものがありました。

 
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090411 専修大学図書館
月岡芳年展

 

月岡芳年は江戸後期から明治にかけて活躍した浮世絵画家です。ちょっとグロテスクな「血みどろ絵」が有名です。

しかし、美人画や、役者絵、歴史画も沢山描いており、シリーズ物が多いです。

「月百姿」は、歴史の百の場面を月をテーマに描かれています。今回は原本は4枚の絵でしたが、パネルで100すべてが展示されていました。とにかく100ですからこの画家のエネルギーのすごさに驚きます。

美人画では「・・・をしたい」シリーズ。《遊歩したい》は、その美人は洋装です。やはり明治時代ですね。

この展覧会は専修大学生田校舎の図書館の1室で催されました。山の上にあるこの大学の校舎はすばらしいです、まるで外国のよう。ゆとりがあって、吹き抜けあり、エレベーター・エスカレーターあり、エアコンあり、学生が自由に寛いだり、歓談したりできる竹の中庭を望む広いスペースあり、自由にPCができる広い部屋あり・・・と。休講案内も空港の発着案内ように大きなTV画面で知らせるようです。今の学生さんはこんな整ったところで勉学に励んでいるのかとビックリしてしまいました。

 
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090222 出光美術館
小杉方庵と大観展

芭蕉翁・良寛和尚

私には馴染みのない画家でしたが、美術鑑賞を深めている主人に誘われて出かけました。

明治初期、油彩の洋画家からスタートした方庵はパリに留学。そこで池大雅の「便宜帖」を見て以来、日本画の素晴らしに触発され日本画家に転向しました。

逆に洋画に新境地を求めていた日本画家、大観と意気投合。二人は日本画・洋画の区別なく研究する「絵画自由研究書」をつくります。

方庵の絵は色調・内容共に”ほんわかとした絵”です。

私が気に入ったものは《芭蕉翁・良寛和尚》で、有名な

「かすみ立つ長き春日を子供らと手まりつきつつ今日もくらさむ」

の歌が添えられています。

あと《金太郎》は大きな絵で、優しそうな眼をしている熊の背に乗っている金太郎。

大観の絵では《竹雨》《飛泉》の水墨画。

一人の画家の展覧会はその画家の人となりが分かりよいです。

 
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090215 山種美術館
松岡映丘とその一門展

松岡映丘《山科の宿》

杉山寧《朝顔》

平安時代のやまと絵を復興させた松岡映丘の没70年を記念した展覧会。

松岡映丘は多くの優秀な弟子を育てました。例えば、橋本明治、杉山寧、山本丘人、鏑木清方、山口逢春、高山辰雄などです。

これらの弟子は初期は松岡映丘のやまと絵を描いていたものの徐々に自分なりの個性を発揮していきます。

わたしの気に入った画は杉山寧の《朝顔》です。蕾がなんともリアルで素晴らしい絵です。

また、松岡映丘の師の、橋本雅邦の《岩上遊鷹》は、鷹が岩に鋭い爪をくいこませて身を低くし鋭い眼光でこれから飛び立とうとする迫力ある絵です。色彩はなく墨絵なのですが爪、嘴の硬さ、羽の柔らかさが描き分けられていて、気に入りました。

この山種美術館は今年夏前には六本木に引っ越すそうです。

 
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090211 東京博物館平成館
妙心寺展

狩野山雪《老梅図

海北友松《花卉図》

徐拙《瓢鮎図》

妙心寺と一口にいっても40もの塔頭が集合した寺です。

ポスターにある迫力ある虎の襖絵を楽しみに観に見に行ったところ、それは前期展示で終わってしまっていて残念でした。後期はそのかわりに《花卉図屏風》(海北友松)。これも大輪のボタンがびっしり描かれて見事でした。

狩野山雪の《老梅図屏風》は力強い梅の枝ぶりに圧倒されます。

妙心寺屏風は普通の屏風より丈が高く、豪快です。金箔タップリの華やかな屏風・・・。

あとは 妙心寺ゆかりの僧の肖像画、書が多く、又妙心寺を創設させた花園天皇の書もありました。

そこで思いがけず、昨年茶友から頂いた花園天皇宸翰置文の軸のオリジナルが展示されていて感激。

国宝 如拙《瓢鮎図》は、瓢箪の中にに鯰をどうしたら入れられるか悩んでいる男の絵です。絵の上にはそれについてを詠んだ歌が幾首も書かれています。

書には法語、印可帖、消息、尺とく、置文、遺げ、綸旨などいろいろあることも勉強になりました。

昭和天皇のお書きになった《無相》も立派でした。

 
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090125 東京都美術館
生活と芸術・アーツ&クラフト展

モリス「「いちご泥棒」「柘榴」

大山崎山荘再現

「ウイリアム・モリスから民芸まで」と言う副題が付いているので、和の美術のこの欄に載せることにしました。

19世紀後半イギリスで興ったデザイン運動がヨーロッパに広がり、やがてそれが日本で柳宗悦の民芸運動を花開かせることになったと言う、生活用品のアーツの展覧会です。

モリスの壁紙の図案は色彩も模様も上品で穏やか、とてもセンスがいいものです。この図案のグッズがいろいろミュージアムショップで売られており、思わず買いたくなりました。

椅子、テーブル、棚、箪笥、タペストリー、時計、燭台、食器などいろいろな品目で、デザインの優れたものが展示されていました。

中でも印象に残ったのはスコット作のピアノ。模様がほどこされている観音開きの戸のついたピアノです。戸を閉めると箪笥かと思うようで、開くと鍵盤があるのです。

日本の民芸作品は、バーナードリーチ、浜田省吾、河井寛次郎、楠本憲吉などの皿や、壷、花瓶が展示されています。わたしはこの民芸調の陶器はあまり好きではありません。

しかし大山崎山荘の再現室の和洋折衷の設えは、落ち着いて素敵だと気に入りました。茶道道具ではあまり民芸運動の作品は好まれません。それゆえ柳宗悦は茶道に対してきびしい考えをもたれたのでしょうが・・・。

 
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2008年度  ベスト 3 

今年は24回 和の美術めぐりをしました

その中で印象深かったものをあげました

1) 対決巨匠達の日本美術展

2) 三井家の茶箱茶籠展

3) 国宝薬師寺展

 

081223 逓信総合博物館
原田泰治「ふるさと心の風景」展

原田泰治の絵の世界は、谷内六郎を思い出させるもので、、素朴な描き方、題材は田舎の懐かしい風景や、昔を思い出す心象風景です。

アクリル絵具で描かれているせいか、色彩は鮮やかです。

垂直感覚がなく、建物がゆがんで傾いていたりしますが、石垣、瓦、草花、樹木、雪等の描き方が実に細かいです。静かな画面に、四季折々の季節感、そこに住む人々の のどかな生活が温かさを持って描かれています。人物の顔はのっぺらです。

原田泰治の世界をビデオで見ましたが、小さい時に小児麻痺にかかり、足が不自由だったので、両親が農作業をしている間、むしろに坐らされて自然を観察する目がやしなわれたと語っていました。原田泰治の人となりがよくわかりました。

古きよき時代の田舎、子供が庭先で遊んでいたり、子供をおんぶしているお母さんがいたり、賑やかさを感じる絵もあります。すっかり高齢化してしまった現代の田舎とは 別世界です。

とにかく心が和む風景を沢山見せてもらいました。

 
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081130 弥生美術館
ペン画の神様: 樺島勝一展

一等巡洋艦《足柄》

 

ぬり絵に挑戦

1920-30年代中心に活躍した画家です。多分私の父母位の年代の人がが子供のときに目にした絵なのではと思います。

樺島勝一は《少年倶楽部》などの挿絵を描いていて、軍艦や、帆船を写真かと思うほど細密に、そして波、海面の表現が神業です。

また、合掌造り等の写真を見て、ペンで細かく描写したものもあり、その超人さにはビックリしました。

ライオンや、トラ、象など動物図鑑もリアルに書いています。

このようなスーパーリアリズムの画がある一方、マンガも書いています。《正チャンの冒険》と題して正チャンという男の子(画像は←)となぜかリスが主人公。正チャンはボンボンの付いた毛糸の帽子をかぶっています。これが「正チャン帽」としてその頃大流行だったそう・・・。

樺島勝一は画家としてではなく、本、雑誌、新聞等の挿絵画家として生きた人でした。

 
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081127 山種美術館
琳派から日本画へ

 

 

 

冷たい雨の日、こんな日は家事もする気がしないので出かけました。

琳派、琳派と言いますが、琳派の定義が私の中では今まではっきりしませんでしたが、今回分かりました。

琳派は17世紀俵屋宗達に始まるもので、光悦、光琳、乾山へ継がれ江戸後期には抱一、其一に受け継がれました。その後もいろいろな画家に影響を与え、その特徴は以下の通り。

金泥、銀泥がふんだんに使われている。草花の形は写実でなく単純化されている。構図が大胆。色彩は華美。たらし込み技法が見られます。

重要文化財の 速水御舟《名樹散椿》も出ていました。椿の花は細かく写実されていますが枝、葉はシンプルに描かれていて、地面には椿の花びらが散っています。???椿はボタット花ごと落ちるのですが・・・。

琳派の画は象徴的なことはなく、深く考えず自然そのものを単純に鑑賞すればよいので、見終わった後は心が平安になります。

 
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081026 高島屋日本橋店
江戸・東京の茶の湯展

遠州流の棚

東京茶道会創立100年記念という冠がついているのですがこの会の存在を知りませんでした。江戸後期から明治にかけて出来た近代茶の湯の流派が合同で作った会のようです。

いわゆる江戸千家、大日本茶道学会、宗偏流、松尾流・・・など近代創流茶人の作品等が出品されていました。

面白かったのは各流派の立礼棚がずらっと展示されていたことです。裏千家からは座礼棚がでていました。

立礼棚といっても、いかにも和風っぽい漆の棚もありますし、ケヤキやムク材で作られ木地そのものを出した今風の棚などいろいろです。私はやはり後者の棚のほうが現代にはマッチしているよう感じました。

左にお釜、右に水指を置くのが主流ですが、大日本茶道学会の棚は右にお釜、左に水指の配置です。

会場には茶道史研究家で有名な熊倉功夫氏の姿もみられ、白髪の上品な奥様?とご一緒に周っていらっしゃいました。

今日は高島屋で行われている美智子妃殿下古希祝の《皇后さまと子どもたち》の写真展の最終日で、そちらのほうは超・長蛇の列。

こちらの展覧会も同じ階でしたが、ほどほどの入りでした。

 
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081011 東京美術倶楽部
禅・茶・花展ー正木美術館より

最終日の前日に、何とか駆け込みました。

ちょうど女性学芸員によるギャラリートークをしていたので、解説を聞きながら周りました。

鎌倉時代から桃山時代にかけての禅の水墨画、墨跡、茶道具が多く展示されていました。

正木美術館の創始者は一休の墨跡の文字からヒントを得て《滴凍軒》という茶室を持っています。この滴凍という意味は、・・・・一滴の水も硬い凍った氷を溶かすことができる。そして花開き春になる・・・・ということで、素敵な言葉とわたしは思いました。

銀閣寺東求堂の茶室風にしつらえてある床の隅になにやら草が・・・これは現代アーチストの須田悦弘の作品。左の写真の椿も彼の作品です。painted woodと書いてありましたから木製・・・とてもリアルでやわらかさも感じられるものでした。

あと、おまけで小野道風の「三体白氏詩巻」がでていました。楷書行書草書で漢詩が描かれているのですが、小野道風の楷書はこの作品が唯一のものだそうです。はっきり三体が区別される素敵な字でした。

 
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080921 高島屋
田村能里子展ー襖絵完成記念

今回のカタログ

本の裏表紙のところにサインを

天龍寺塔頭《宝厳院》本堂再建で、その襖絵を田村能里子が完成した記念展です。

洋画家である画家が、お寺の襖画をアクリル絵具で、モチーフも花鳥風月ならぬ、アジア風の人物絵を描き上げられたのですから、今までにない試みと言えます。

題は《風河燦燦 三三自在》

田村能里子はアジアをテーマにした壁画を数多く手がけてきた画家です。これも壁画感覚で描かれたといっておられます。

全体の色調はインパクトがある赤茶色。58面の襖に33人の若い女性と老人の男性が描かれていて、その服や被り物は皆シンプルな白一色、ローラーを使って透けるように軽やかに描かれています。赤茶、白、ブルーの3色だけで、派手な中にも落ち着きがあります。

ちょうど、この日の朝、NHK「新日曜美術館」で紹介されたせいもあってか、会場は混雑していました。

入口で主人とカタログを見ていると《村松友視さんと対談した記事もあります》と声が・・・。館内でビデオに出ていた声?と思って顔を上げるとなんと田村能里子氏ご本人ではありませんか。ビックリすると「チョット裏から出てきたのです」とおっしゃいます。周りにも気が付いた方がいてカタログにサインをとお願いされていたので、私たちも早速カタログを買って、サインをしていただきました。

←この写真の向こうの方が田村能里子さん。

わたしと同じ1944年生まれ・・・すごくお若く見える美しい素敵な方で、お洋服もセンスの良いしゃれたものをお召しになっていました。

わたしはすっかり田村能里子ファンになりました。

 
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080921 三越画廊
池田清明油絵展

 

池田清明画伯の展覧会へは、今までに3回ほどいきました。

今回も、二人のお嬢様をモデルにした新作の絵や静物画など優しい色合いの心和む画を鑑賞してきました。

いつも会場には画伯、奥様、お嬢様方がいらして、観に来た方と親しく気さくにお話をしていらっしゃいました。

主人と私も覚えていてくださったようで、お話しました。画家ご本人とモデルになった方と直にお話できるなんて嬉しいことです。

上の写真の画は次女(左の方)がモデルで、横の棚に抹茶茶碗と茶筅があるので、わたしが気に入り写真を撮らせて頂いたのです。

下のは長女がモデル。

池田画伯の画には温かい家族愛を感じます。きっと仲の良い素敵な幸せな家族でいらっしゃるのでしょう。

《人生は苦しいことが多いので、せめて画は楽しいものを描きたい》と言ったルノアールを髣髴させるような、幸せ感を観る人に与える池田画伯の画は大好きです。

”和製ルノアール”・・・と勝手にわたしは思っています。

 
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080809 サントリー美術館
小袖ー江戸のオートクチュール展

小袖は江戸時代の高級注文服。

女性はいつの世でもファッショナブルでありたいものです。上層階級の女性たちは、ファッションカタログ(ひな型)から気に入ったものを選んでオーダーメードしていたのです。

ひな形本が、何冊も展示されていて、花鳥、扇面、景色、宝尽くし等の絵模様が さながら屏風絵のように描かれています。もちろん白黒の絵ですが。

ひな形本を目をキラキラさせながら見て、「迷うわ」とか、「これもいいけどあれも・・」「これ似合うかしら」などと言いながら選んでいた女性たちの光景が目に浮かぶようです。

小袖は、派手な色合いのものが多く、模様も大柄でダイナミックであったり、文字が刺繍されていたり、江戸時代のアート感覚に感心します。

主人が冗談で「この中で1枚あげるといったらどれを選ぶ?」と。私が選んだのは一番おとなしい感じのものでしたが、これは展覧会では一番飾り映えのないものでした。

これらの小袖を着ていた女性はきっと、小袖に負けないくらい存在感のある派手なお顔であったことでしょう。

それにしてもサントリー美術館は寒い。冷房の効きすぎです。

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080730 東京国立博物館平成館
対決 巨匠達の日本美術展

 

芦雪「虎図襖」

光悦と長次郎

日本美術の代表的な画家・芸術家を二人一組にして、お互いの作品を比較対決させる?という企画展。

その組み合わせは師弟関係だったり、ライバル関係、私淑関係だったり・・・・。

個性の強い者同士の対決は面白いです。例えば、若冲と蕭白、長次郎と光悦、永徳と等伯・・・。

似たような性格の者同士の対決は見ていて混乱します。この画、どっちの作家だったかしらと。

応挙と芦雪のトラの図対決は、私は芦雪に軍配を挙げます。応挙のトラは金色をバックに色彩で描かれていて一見派手、毛の一本一本を丁寧に描いているのですが、勢い良く描かれた墨絵の芦雪のトラには迫力・躍動感があって、私こちらの方を支持。

長次郎の楽は茶にかなった茶碗。あまり作為を感じません。光悦のはちょっと作為が感じられ、やはり『綺麗寂び』気取り?

運慶と快慶は甲乙付けがたい逸品。円空と木喰も両方惹かれます。

仁清と乾山は師弟関係ですが、わたしは乾山のハジキ型の「槍梅香合」が思わず欲しくなりました。

等伯の「松林図屏風」は前期に終わり見られませんでしたが、「萩芒図屏風」はすばらしかったです。

 
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080718 永青文庫
白隠とその弟子たち展

白隠は八代将軍吉宗くらいの時代の臨済宗の禅僧。

禅宗のお坊さんは結構ユニークな発想の面白い人がいます。一休さんを始め、仙高ウん等・・。

白隠の禅画は迫力がありながら、ユーモア、皮肉等をあらわし、大胆な筆遣いの中にほのぼのとした温かみにある絵です。自画像の目はギョロッと凄みがありますが、布袋さまや観音さまの目は優しいです。画賛も捻ってユーモアがあります。

去年見た仙高ウんと共通するものをたくさん感じながら見ました。もっとも仙高ウんが白隠の影響を受けたのでしょうが。

白隠の弟子、遂翁、東嶺も白隠に習って絵を描きます。

遂翁の「地蔵菩薩」には、地蔵さまの足元に 救いを求める悪人がうようよいるのですが、その中に 何と法衣を着たお坊さん姿の悪人が・・・。 もしかしたら師の白隠なのでは??。 遂翁はいっとき、師とけんかし、仲たがいしたことがあったそうなのです。

永青文庫は、緑に囲まれたお蔵のような古い建物。 階段では ちょっとかび臭いような いかにも古びた臭いがしますが、落ち着きます。2階にはゆったり寛げる立派な応接間があり、そこで主人とゆっくり、置いてあるカタログを見てきました。

 
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080718 江戸博物館
北京故宮"書の名宝展”

黄庭堅《草書諸上座帖巻》

書の聖人、王羲之の蘭亭序はじめ、顔真卿、欧陽じゅん、黄庭堅、蔡襄、米ふつなど、中国唐、宋時代の書家の名宝が展示されています。

蘭亭序の本物は太宗皇帝のお墓に埋葬されてしまったので現存せず、今回のは唐の時代、馮承素(ふそうしょ)の忠実な模作品です。

しかし、模本も沢山あって今回のは搨書(とうしょ)の八柱第三本。私が書道で臨書したのは拓本の張界奴本。東博にあるのは拓本の定武本。

コピーの方法もいろいろあって、大変な苦労があるようです。

《之》《其》《所》の字が蘭亭序に何回か出てくるのですが、それぞれいろいろな書き方をしているという説明があり、見直してみると「ナルホド」と納得。

黄庭堅の「諸上座帖」は草書体の文字が流れるように大きさもまちまち細い太いもバランスよく、読むのは無理ですが、書のアートです。

姜立網の楷書の手本となるような、かっちりとした文字もあり、太筆で思わず練習したくなる文字でした。

書の展覧会は地味で、どう鑑賞するのか難しいです。字は読み解けなく、読めても内容をいちいち理解するのは至難の業。私はパット見て全体の美しさをアートとして鑑賞するしかありません。

平日でしたが、書をしていると思われるオジサマ・オバサマ達が熱心に見ていて、会場は結構混んでいました。

 
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080627 サントリー美術館
KAZARIー日本美の情熱

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館に行きました。ミッドタウンはちょっと外国に行ったようです。吹きぬけの大空間にスタイリッシュのお店がひしめいていて、外は緑豊かで、芝生もあります。

まずサントリー美術館でKAZARI展を見ました。

日本美術というと侘びさびの地味でしぶいというイメージが海外ではあったのを、日本にも華麗で奇抜、斬新な《かざり》の世界があることを誇示する展覧会です。

縄文の火焔型土器は派手なデザインで、《かざり》の源流とされていています。華やかな絵巻物、金をふんだんに使った屏風、蒔絵の漆器、奇抜な形の兜、櫛、かんざし、印籠、箱迫、小袖、伊万里焼陶器などは華麗で美しい日本の美です。

”侘びさびの美”と、”華麗な美”がバランスよく共存してきたことが分かり、日本の職人の技術は本当に素晴らしいものと誇らしく思いました。

 
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080615 三井記念美術館
三井家の茶箱と茶籠展

茶箱といえば今は寸法も大体決まっていますが、この展覧会では大きさ、材質、形が本当にいろいろなものを見ることができました。


材質は、籐や竹を組んだ籠、一閑張り、桐や桜皮などの木地、蒔絵を施したものなどです。
大きさはお弁当箱くらいの小さいものから、茶通箱くらいのもの、現在使っているものよりやや小さいもの、そして大きいものでは文箱、小箪笥ほどものもあります。
形も長方形が主流ですが、小判型、団扇型、丸型、箪笥型などです。


小さい茶箱には玩具のような小さな棗、茶入、茶碗があるのですが、そこは三井家のお宝、作者も一流、上質のもので大変凝っています。そしてそれに其々仕服までついています。

茶筅などはほんの5cmくらいのものもあり、茶筅筒は曲、木地、砂張等で凝った細工があるものもあります。茶巾筒は蓋のあるものもあります。


大きな茶箱にはお茶道具とともにお香の道具や、煎茶の道具も一緒に入っているものもありました。
蒔絵も見事で、木地の茶箱の蓋裏には円山応挙の墨絵がなにげなく描かれていたり、三井家ならではの趣味世界を鑑賞してきました。

 
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080530 ギャラリー間
水の茶室・鉄の茶室ー杉本貴志展

展覧会最終日の前の日に滑り込みで行ってきました。

空間デザイナーの杉本貴志が変わった茶室を建てました。

一つは鉄の茶室、鉄の廃材を利用して4畳半ほどの茶室にしています。ぐるりと四方が色々な透かし柄の鉄の壁面になっています。ちょっと鳥籠のようで、外からも中が見えます。床はゴザのような素材。

そこに鉄風炉と、鉄の水指が飾られていました。

もう一つは水の茶室。これは説明するのが難しいのですが、やはり4畳半ほどの広さの真っ暗な空間で、ぐるりと四方が上から水が一滴一滴何本ものピアノ線を伝って落ち、それにライトが当たって水の糸のように流れ壁を作っています。

そこにはガラス製の風炉、中に灯がある?ガラスの水指(水色)が真っ暗な中に浮いたように見えます。

私は水の茶室が落ち着いていい気分でした。多分暗く、絶えず水が滴り落ちるのが心地よく感じたのではと思います。しかしお点前をするのは大変かもしれませんが・・・。

 
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080328 東博 平成館
国宝 薬師寺展

満開の桜見物もかねて上野に行きました。

平成館では薬師寺から初めて日光菩薩と月光菩薩がそろって上京されているのです。薬師如来様はお一人残されてさぞ淋しいことでしょう。

大掛かりに展示会場が設営されていて、両菩薩さまを高いところからも拝見できるようになっています。上から拝見すると八頭身のスマートなお姿に見えるのですが、下から拝見すると結構肩、胸、腕等しっかりとした逞しいお姿です。優雅な手指に比べて足は大きくガッチリしています。

ブロンズ像なので、7,8世紀に作られたとは思えないほど完全なお姿でした。

インドまでの苦難な旅をして、経典を沢山持ち帰った玄奘三蔵の肖像画や、とても若い清らかなお顔の木坐像もありました。平山郁夫氏が、薬師寺に玄奘三蔵の辿った道を壁画にして完成した時、たまたま薬師寺を訪れたことを思い出しながら見ました。

庭園も開放されていていろいろな種類の桜を満喫しました。

 
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080315 高島屋8Fホール
千住 博展ーハルカナル アオイヒカリ

下記の三越の展覧会に行ったついでに、ちょっと話題の展覧会なので寄ってみました。

展覧会場は暗くしてあり、青い滝の絵ばかりがぐるりと飾られ、次の部屋も同じです。青い滝の仕掛けは 蛍光塗料を使って描かれていて、その絵を紫色の蛍光灯や青の照明が照らしていることです。

とにかく青い滝だけ。 暗いので人とぶつかりそうで怖いです。

夜に照明の当たったナイアガラの滝にいるような感じです。

会場には水琴窟の音が流れていましたが、どうせならナイアガラの水量タップリの音でも流せば良いのに・・と思いました。

 
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080315 三越ギャラリー
上村 淳之展

 

上村松園→松篁→淳之という、日本画家の3代目。

鳥の絵を描く画家というレッテルが貼られています。

実際にいろいろな種類の鳥を飼っていて、日々その世話をしながら それらの生態観察をされてそれが絵に結びついているようです。

写実的であって、ちょっと写実から離れています。何の鳥か特定できない鳥も・・・私が鳥の種類について詳しくないせいかもしれませんが・・。 画面には鳥がせいぜい数羽しかいなく、余白がタップリです。その空白表現に苦心されたようです。

品のある絵で、さすが祖母、父から受け継いだDNAを感じます。

モチーフが花鳥に限られているので、単調といえばそうなのですが 見ていて穏やかな絵なのでよかったです。

 
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080217 戸栗美術館
鍋島ー至宝の磁器

色絵三瓢文皿

渋谷区松涛という超高級住宅街にある戸栗美術館では開館20周年記念として、素敵な鍋島が沢山展示されています。

有田焼というと古伊万里、柿右衛門、色鍋島の3つに分類されます。

鍋島は17世紀末から18世紀初めにかけて、商業ルートで市販されることな、く幕府に献上するためだけに藩の威信をかけて作られた上質で品格のある焼物です。

ほかの有田焼のような大皿や、大壷はなく、直径20cmほどのお皿や小皿が中心です。色も金色は使わず、赤 黄 緑の3色で、細かい青海波等の地紋を背景に配し、瓢箪や、草花等が精緻に斬新に描かれています。ペルシャの幾何学的模様の影響も受けた作品もあります。

そして、お皿の裏にもぐるりと唐草や草花の模様が染付けで描かれていて、高台が意外と高さがあってそこにも雷紋や櫛紋、剣先紋が丁寧に描かれてあり、裏も鏡で見られるように展示されていました。

検査が大変厳しく少しでも難点のあるものは即 破棄されたとのことで、とにかく最高の技術を駆使して作られた日本人の感性にあった完璧な焼物ということを実感し、絵柄をデザインをした人のセンスの良さに感心しました。

 
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080217 新国立美術館
横山大観ー新たなる伝説へ

《屈原》

大観没後50年記念の展覧会です。初期から晩年までの作風が一覧できます。

会場入ったところに《屈原》←の大きい画があります。これは中国の故事からの画ですが、モデルは大観が尊敬していた岡倉天心。

芸術大学の卒業作品は有名な《村童観猿翁》。猿まわしの猿を見ていいる子供たちの顔がちっとも可愛くなく、不気味な顔。それもそのはず同級生の顔をイメージして描いたそうです。

《迷児》は迷児の周りをキリスト、釈迦、老子、孔子が囲んでいるちょっと変わった作品。

《洛中洛外雨十題》の画はしっとりと湿った空気感と光の感じがとても印象的な私お気に入りの画。

40mもの大絵巻《生々流転》はよく根気が続いたものと思わせる50歳代の労作。

やはり大観は色彩のある画より水墨画が見事と私は思います。画の中に良く見ると豆粒ほどの人物や舟、建物、鳥などが描かれていたりします。

大酒飲みで、お酒のために画を描いていたとも言われる晩年だったそうですが、とにもかくにも近代日本画界での大御所。

 
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080211 静嘉堂文庫
茶碗の美

今回の展覧会でひとつ気が付いたことがあります。キャプションに何とお茶碗の重さ(グラム)が書いてあるのです。

曜変天目(稲葉)
276
油滴天目    
741
井戸茶碗(越後)
358
雨漏堅手(寄峰)
231
安南染付
316
御所丸
354
黒楽(紙屋黒)
297
黒楽(案外)
793
黒織部沓形
566

茶碗の大きさや色は目で見れば分かりますが、触れないので重さはわかりません。重さを表記することで手に持った時のずっしり感、軽さを想像させる新しい試みなのでしょうか?

国宝 曜変天目と高麗茶碗、和物茶碗の名物茶碗が展示されているということで出かけました。

曜変天目とは3年ぶりの再会です。前の時は窓から自然光の入るロビーでの展示でした。

今回は暗い展示室に置かれ、上からのライトできれいな星紋が輝くように見えました。何回見ても、どこに置かれてもこの茶碗の美しさは素晴らしいです。

日本にある3碗の曜変天目のなかでこの稲葉天目がナンバーワンです。これには地味な尼崎台が添っています。

油滴天目もありましたがこれは直径が19cmもある大きいものでこの油滴模様も見事です。それに添った大振りな堆朱台もあります。

あと、禾目、灰被、玳皮、柿などの天目茶碗がいくつか並んでいます。

次は高麗茶碗、まず井戸茶碗《越後》《金地院》・・これらは枇杷色で大振り、高台に梅華皮、たっぷりとした良いお茶碗です。

高麗いろいろある中での中で私のお気に入りは井戸、伊羅保、御所丸。

そして和物です。楽家歴代の作品が並んでいます。赤楽の赤は緋色だったり、朱色っぽかったりいろいろ。黒楽がやはり多く、一入作《案外》という黒楽は何と口径20cmほどの超大ぶり。

楽以外では遠州高取、萩、朝日、出雲がありました。

 
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080208 出光美術館
王朝の恋ー描かれた伊勢物語

水鏡

《伊勢物語》は「むかし男ありけり・・・」で始まり、在原業平に関係した物語であるということは知っていましたが、詳しくは知りませんでした。

今回、レクチャーがあるというので早めに出かけ、一通り見た後、学芸員の説明を聞きながら再度会場をめぐりました。夜にもかかわらず参加者は100人ほどという盛況ぶり。

今回の目玉の《伊勢物語絵巻》は鎌倉時代のものですが、現存するのは一巻だけです。

 色はかなり退色しているものの細かく見ると小さい虫や、動物、植物が見え隠れしています。詞書にも芦絵という隠し文字があって凝ったものです。

《伊勢物語》はいろいろな男の恋物語の短編小説ですが、江戸時代に俵屋宗達が色紙にこの話を題材に画を描いています。これが「宗達色紙」です。これが画帖としてあったそうですが、益田鈍翁が昭和20年に何とバラバラに分割してしまい、茶人に好まれて行方がいろいろになってしまいました。個人蔵も多く今回30点集めるのにも苦労されたようでした。

益田鈍翁は佐竹本三十六歌仙もばらばらにしてしまったり良くないです。茶人としてちょっとイメージが悪くなりました。

《伊勢物語》の「男」はいろいろなところで恋をしますが直情的で、積極的、単なる女漁りの感もあります。こういう男性像に反発して《源氏物語》がつくられたそうです。

そういえば光源氏は架空の人物ですが、優雅で悠長な恋、女にも優しく面倒見が良い理想の男性です。

男の書いた男の恋物語と、女の書いた男の恋物語。

この展覧会で《伊勢物語》と《源氏物語》が関連付けられることを初めて知りました。

 

 
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080115 足立美術館(島根)
日本画の中の美人たち展

掛軸が庭の景色

この美術館には前から行きたいと思っていました。「庭園もまた一幅の画である」という発想のもと、美術館の廊下はガラスがふんだんに使ってあり、額縁の窓、丸窓等から景色を眺められるようになっています。床の間が抜けていて外の景色が掛軸の絵のようになっていたりもします。

庭園は枯山水、白砂青松庭、苔庭、池庭と変化に富みしかも広いです。

今回の企画展は美人画。

上村松園の《娘美雪》、《雪牡丹》《待月》・・・うっとりする美人画。しかし単に美人を描いたのではなく持物、周囲の小物からどういう状況かを想像させる文学的な意味も。

伊藤小坡《一声》もホトトギスは画中にはありません。美人が手にしている古今和歌集の巻からホトトギスを想像させるという文学的素養も必要なもの。

伊東深水は《ささやき》《ペルシャ猫》など。

他にも美人が続々とでてきて、主人はご満悦、新春にはピッタリの企画です。

横山大観《無我》、これは東京博物館にある掛軸の《無我》とはちょっと違って、案外小さな絵(額装)でしかも地味な色彩。

とても良い企画の時に念願の美術館に来られてよかったです。

団体旅行で行ったのですが、2時間たっぷり名画と庭園を楽しみました。

 
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080115 田部美術館(島根)
四季の茶道具 立春のころ

 

 「鬼の念仏図」

 

山陰旅行で、松江の田部(たなべ)美術館を訪れました。松江と言えば三斎流の茶道を出雲に定着させた事で有名な松平不昧公です。不昧にちなんだ茶道具を集めた美術館とのことで期待して行きました。

初めの部屋は民芸調の布志名焼の雑器、そして楽山焼のもの・・これも徳利とか鉢、皿、燭台などが多く、お茶碗が3つほど。

次の部屋の”立春の取り合わせ”では、節分にちなんで鬼、お多福が軸や香合、茶碗の銘等に使われています。お軸の大津絵「鬼の念仏図」はギョッとするほど豪快。

最後の部屋は赤楽、黒楽、古唐津、志野、萩、備前等の茶碗や茶入、水指が・・。薄器など塗り物はありませんでした。

松江は和菓子の老舗も多く、東京で売られていない老舗で和菓子をお土産に買いました。

 
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080105 世田谷美術館

パラオ 二つの人生

鬼才:中島敦 と 日本のゴーギャン:土方久功 展

正月も一段落したので主人と出かけました。この展覧会の作家、画家たちはあまり馴染みがなかったのですが、「お正月だから奮発してお昼は美術館に併設されている『ル・ジャルダン』でフランス料理を食べようじゃないか」と言う言葉につられてウキウキと出かけました。

やはり何でも行って見てみないと分かりません。この展覧会、案外良かったのです。

中島は夭折した作家で当時日本の南洋政策のためパラオに派遣された人、土方はパラオで14年間も暮らした彫刻家であり画家です。パラオで出合った二人は意気投合、交友を深めていきました。

土方の木彫レリーフには感心しました。分厚い半畳ほどの立派な木板にパラオの人物や風景が丁寧に細密に浮彫りされています。また水彩画もパラオの人物等を描き、タヒチで描かれたゴーギャンの画を髣髴させます。ブロンズ彫刻もあり、大きさはせいぜい30cmくらいのものばかりですが、一番私が気に入ったのは”寝そべっている猫”です。

中島はよく日本の奥さんや子供にハガキや手紙を出していてそれも展示されていました。中には《涙が出てくる》とホームシックになったような言葉もあり夭折した人だけに心を打ちました。

ロビーでは新春コンサートがあり、《六段》《さくら》《春の海》などの琴とフルート、オーボエの演奏を楽しみました。

今日は美術、食事、音楽を十分楽しんだ新春の一日になりました。

 
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c 2005 宗恒茶道教室

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