環境汚染にもどる
t02101#埋設農薬の安全処理を申し入れ−鳥取のグループ#94-01
 22年前、鳥取県内45カ所に農薬が埋設された(農水省通達)。当時では安全に問題はないとして、県が指導する処分方法によって各農協が実施した。しかし、一部の処分地で、農薬が表土にまで浸出していることなどが、地元市民団体の調べでわかり、処分地付近を汚染している可能性がもたれている。
 県東部のある町の処分地では、大阪大学植村研究室の調べで、地表の土壌から農耕地程度の農薬が検出されている。地元の市民団体は昨年12月、県に無害処理を早急に行うよう申し入れた。これに対し、県農林水産部は、「今後は全箇所掘り返したい。しかし、建物の下になっている場所もあり、処分方法を専門家に諮り、結論を待ちたい、検討委員会は1月に発足させたい」としている。これに対し市民団体は「専門家と言っても、農薬をどう評価するかによって、安全に処分できるかどうかも別れる。県が依頼する専門家が決まった段階で、検討委各委員の農薬に対する姿勢を、独自に調べていきたい。」としている。
 年明けにスタートするはずの検討委員会は、1月13日現在、発足していない。いまのところ県内の各市町村、各農協では、独自の処分や緊急対策は行っていない。
★禁止農薬、全国で埋設
1971年、BHC、DDT、ドリン剤など8種類の農薬を、当時の農林省が禁止を通達している。廃棄推定量は全国で約1万トン。その処分方法はほとんど明らかになっていない。朝日新聞の調べでは、「ビニ−ルを敷いて埋めた」(宮城県)、「コンクリート埋設したが、量や場所は不明」(長野県など)、「予算を出していないので、場所などは把握していない」(東京都)、「当時の資料が無いのでわからない」(神奈川県)などとなっている。また、多くの府県で「不安を招く」「保安上の問題」を理由として、詳しい埋設場所を明らかにしていないという。県内の市民団体によると、全国的に埋設処分されたのが22年前と年数を経ているため、県は埋設された全箇所を一応把握しているものの、正確な埋設地点、埋設方法については、当時関係した農協職員に案内されない限り、ほとんど分からない。また、当時の関係者はかなりの高齢者が多く、こうした方々の証言なしには処分農薬の実態はわからない。今を逃せば、埋設場所の特定は困難になる。埋設箇所を聞き出すポイントは、当時の農協営農担当職員を捜し出し、不明の時は当時の同僚職員を紹介してもらう。鳥取県では現在の農協付近に処分されているところが多かったが、全国では農協が広域合併されいるケースも多いため、当時の各単協(現在の支所)を回ることも必要だ。同時に、情報提供された関係者には、農薬の毒性について正確な情報を伝え、問題を共有しあいながら解決していくことが大切、と話している。(新巻圭)
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作成:1998-04-01