農薬の毒性・健康被害にもどる
t09601#八王子農薬工場跡地周辺で高濃度の水銀−日本バイエルアグロケムの処理場からか?−#99-11
 八王子市の日本バイエルアグロケム(株)の農薬工場跡地で、98年4月に水銀に汚染された土壌を加熱処理して回収する作業が始まってから、周辺住民に健康被害が出ていることは、本誌90号(99年6月)でお知らせしました(記事t09006参照)。
  −中略−
 会社側の説明によれば、水銀汚染された土壌は約60,000m3で、半分以上の34,900m3が10ppm以下。2,500m3が1,000ppmを超えているということです。最高濃度は実に5,200ppmだということです。水俣での最高濃度が2,010ppmだったことを思えば、驚異的な汚染です。
 ちなみに、この工場で製造していた水銀剤は以下の通りです。5200ppmといえば、0.52%です。汚染された土そのものが昔作っていた水銀粉剤以上の水銀濃度ということになります。なぜ、このような汚染が起こったのか会社側は納得のいく説明をすべきです。
   剤型    商品名      水銀含有量(%)
    -------------------------------------------
   粉剤    セレサン石灰   0.16
                  0.25
                  0.3
   水和剤   セレサン水和剤  2.5
   液剤    ウスプルン    2.5
   と沫剤   セレサン石灰   1.5
★工場周辺が高濃度の水銀で汚染されていた
 水銀処理プラントの稼働後、2ヶ月くらいしてから周辺住民に金属味、舌の痛み、目の痛み、頭痛、口内炎、吐き気、倦怠感、呼吸困難、しびれなどの健康被害が出はじめました。住民は会社側、八王子市などに大気の調査、健康被害調査、土壌汚染の実態の情報公開などを求めましたが、はかばかしい回答はありませんでした。
 今年の10月、住民グループと反農薬東京グループは工場周辺の土壌を採取して、千葉大学の中川教授に分析してもらいました。その結果、最高3.15ppmという水銀が検出されました。工場から道路一つを隔てたマンションのベランダの土埃からも2.30ppmの水銀が検出されました。
 会社側は、汚染は工場敷地内だけで、敷地外には一切ないと言ってきましたが、それがでたらめだったことが明らかになったわけです。
     試料名                    総水銀量(ppm)
  ------------------------------------------------------------------
  @学校前(王人町 学校前の川の土手)          0.17 
  Aアパート前(並木町 工場隣)              2.33 
  B並木町 (並木町 工場周辺)              0.50 
  C工場の塀の下(並木町)                1.10 
  D踏切のそば(散田町 工場隣)             3.15 
  Eほこり(ガーゼ)(散田町の住宅の空気清浄機のほこり) 0.08 
  F粉じん(並木町 工場隣のマンションのベランダ)    2.30 
               <分析:中川良三教授(千葉大学)>
 東京都の汚染土壌処理基準は2ppmで、これを超えると粉塵の飛散を防止する等のため覆土を行うことになっています。たった7件のサンプルだけで2ppmを超えるところが3ヶ所もあるわけです。もっと、体系的に調査する必要があります。
 八王子市の住民グループと反農薬東京グループは、11月19日に工場の操業の停止、徹底した環境調査、健康被害調査、情報公開を求めて日本バイエルアグロケム、八王子市、東京都、環境庁に申し入れをしました。−中略−八王子現地では、12月11日に集会をもって広く住民に情報を伝えることにしています。
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作成:1999-11-28