農薬の毒性・健康被害にもどる
t09803#農水省、農薬不活性成分の公表拒否−企業が不利益を被るからと#00-01
 昨年6月、当グループは農水大臣宛に「農薬不活性成分に関する質問と要望」書を提出しました(要望書)。
 本誌で何度も繰り返しているように、農薬は環境ホルモンとして一番多く疑われています。環境庁はSPEED 98で農薬活性成分(有効成分)を43種類あげています。しかし、一般に使用される農薬製剤は活性成分だけではありません。むしろ、活性成分以外の溶剤、乳化剤、填料、展着剤、警戒剤、着色剤、共力剤などの補助成分(不活性成分)の方が量的に多いのです。殺虫剤では有効成分は数%で残りの90%以上が補助成分というのが普通です。
 この補助成分の中に環境ホルモンが含まれている可能性があります。しかし、今まで農水省は一度も補助成分の中身を明らかにしたことはありません。これは重大な問題であるため、当グループはあらゆる機会をとらえて補助成分を公表するよう求めてきました。上記の質問と要望書もそのうちの一つです。
 農水省は私たちの度重なる催促にもかかわらず、6ヶ月も引き伸ばして昨年12月16日にようやく回答すると連絡してきました。この問題に関心を持ちつづけている谷本たかし参議院議員と共に農水省植物防疫課農薬対策室の森崎室長と曽根補佐に会い、回答を聞きました。質問は、@今までに登録された農薬製剤に含まれる不活性成分のリストを明らかにすること。A農民等の農薬被曝量の調査と健康調査を行うようにの二点です。
 回答は報告するのが恥ずかしいくらい中身のないもので、不活性成分のリストの公表を頑強に拒否しました。その理由は、補助成分は製剤製法のノウハウなので知的財産の一部である。原体は特許で守られているが製剤には特許はない。専門家が見れば特定のものを作ることが可能なので企業の財産権を侵すことになる。公表すれば公務員の守秘義務違反になるということです。
 私たちは、特定の農薬の補助成分を公表しろといっているのではなく、全体の農薬の補助成分のリストを教えてほしいといっているのであって、知的財産権の侵害にならない。第一、国民の健康と企業の財産とどちらを重視するのかなど説明しましたが、森崎農薬対策室長と曽根補佐は、業務上知り得た秘密を公表することはできないの一点張りでした。
 秘密とは何か、誰が決めるのかという問に農水省は「企業が決めるのと社会常識だ」などと回答し、全く、勝手に都合のよいように決めていることがわかりました。また、この回答をする前に、メーカーにどこまで話していいかを問合わせたところ、「他社の利益になるようなことはやめていただきたい」と言われたとのことです。つまり、何も言うなということを忠実に守っているわけです。それにしても、まず、メーカーに問合わせるとは、農水省の体質を如実に現していると言えます。
 徹底的に企業の立場に立った農水省から情報公開させるのは難しいと判断して、反農薬東京グループはPRTR法を管轄する環境庁に、農薬の補助成分について問合わせをしています。
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作成:2000-01-30