ダイオキシンにもどる
t10906#パンフ「埋められた枯葉剤の除去を求めて−もうひとつのダイオキシン問題」から#00-12
 埋設枯葉剤除去対策協議会・宮崎は、このほど、約30年前、林野庁の指示で土中埋設された除草剤2,4,5-Tの除去を求める運動の経過をまとめた表記パンフを発行しました。てんとう虫情報87号でも、「埋設処理した2,4,5-Tのその後」と題して、高知県や岩手県の例を紹介しましたが、ここでは、宮崎県で、98年4月に結成された同協議会の2,4,5-Tの除去を求める運動を紹介したいと思います。

★宮崎県での埋設実態
 林野庁は、84年に全林野労組の手により2,4,5-T除草剤の埋設問題が表面化して以来、「現状のまま埋設しておくことが最善の方法」との立場をとっており、埋設量の最も多かった高知県窪川町と鹿児島県上屋久町の2個所を追跡調査の定点に指定し、5年毎に2,4,5-Tとダイオキシンの分析することにしていました(後者はその後、定点調査を解除。その他の埋設個所は年2回の目視による点検のみ)。

 宮崎県では、71年11月の林野庁の通達に基づき処理された2,4,5-T系除草剤の数量は粒剤1913kg、乳剤20kgで、9個所に埋設されているということですが、立ち入り禁止のロープで囲っている程度で、いわば放置状態になっていました。ちなみに、84年の全林野宮崎県地区協議会の調査で、枯葉剤散布に従事した職員で既に死亡した10人のうち、肝臓ガン3人、肝機能障害3人、肺ガン1人であることが明かにされ、2,4,5-Tとの因果関係が疑われていました。

 99年3月末、協議会・宮崎のメンバーが現地調査しましたが、4個所で通達指示に違反したり、傾斜地の囲いの一部が崩落している場所がみつかり、風雨により一層の崩落が起これば、2,4,5-Tが河川に流出して、市町村の水源を汚染する恐れがあることがわかりました。

★協議会・宮崎が2,4,5-Tの撤去を申し入れ
 99年4月、協議会・宮崎は、ダイオキシンの毒性が84年当時よりも危険性の高いものであるとの認識が強まってきたことを踏まえ、林野庁九州森林管理局に
@国有林に埋設処分した枯葉剤は、埋設地から掘り出し除去すること。
A掘り出した枯葉剤は、分解処理まで集中して安全管理に努めること。
B有機塩素系化合物分解処理プラントの早期実用化を働きかけること。

を申し入れました。また、宮崎県に対しては、九州森林管理局に、埋設処分された2,4,5-Tの回収・除去措置を命じるように求めました。
 しかし、現在にいたるまで、林野庁による除去は実施されておらず、県も除去を命ずる権限はないとしています。
 協議会・宮崎は、運動を深化させ、2,4,5-T除草剤を除去を実現させるべく、本年11月にパンフを出版したということです。

 全国各地には、宮崎の場合と同様2,4,5-Tを埋設した個所が残っているだけでなく、ほぼ同時期に埋設処理され、その量もずっと多かったDDT、BHCがなどが環境汚染の時限爆弾として、爆発の機会を狙っており、早急な対策が必要とされることを忘れてはなりません。

   【パンフ出版元連絡先】〒880-0021 宮崎市清水1-14-20
     埋設枯葉剤除去対策協議機会・宮崎
      TEL/FAX 0985−29−2548
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作成:2001-01-25