街の農薬汚染にもどる
t11103#来年度はどうなる、金沢市の農薬散布#01-02
★30年続けられてきた町内会の農薬散布
 金沢市では、アメリカシロヒトリ防除を口実に他市と比べて桁違いに多い農薬が散布されてきました。一番多かった97年度には散布量270万g以上、かかった費用は1億3千万円。その後、年々減少してはいますが、今年度は7800万円の税金を使って200万g弱の農薬が撒かれました。
 このうち約8割(今年度は86%)は、町内会の一斉散布によるものです。この町内会の農薬散布は、市の補助で30年前に始められました。補助率は、以前は4/5でしたが、増え続ける補助金額を抑えるために数年前に3/4に引き下げられました。市は補助金を出して農薬散布をいわば推奨しているにもかかわらず、ずさんな散布実態や健康被害については一切調べもせずに放置してきました。
 連絡なしに散布されたり、無農薬の家庭菜園にかけられたりして担当課に抗議しても、「町会の事業なのだから町会長に言え」とか「撒いて欲しいという人もたくさんいる」というのが市の対応でした。昨年3月の市議会でも、「市民から“いつまでこんなことをやっているのか”と怒りの声が多い」として町会一斉の農薬散布中止を求めた質問に対して、「市民の方々からの要望が多くあり、中止することは考えておりません」というのが市の答弁でした。

★ところが今年度は
 ところが6月の散布シ−ズンに入ってから、本誌103号及び104号で報告されたように、使用農薬の希釈倍率を守っていなかったために農水省から指導されたり、町会に補助金を出して農薬散布をしている金沢市のような例はほとんどないことが分かったりして、市の対応が変わってきました。今までのやり方を見直すために「街路樹等害虫駆除の安全性に関する研究会」を発足させ、来年度からの害虫駆除のあり方を学識者に検討してもらうことになったのです。
 市民の訴えには聞く耳を持たなかった行政が、いわば外圧で動き出したわけです。そこで、この見直し作業をお上まかせ・外圧頼みにせずに、なんとかして市民の声を反映させようと、「農薬散布を止めたい金沢市民の会」がスタ−トしました。私たちはまず、実態調査のためのアンケ−トに取り組みました。実態調査に基づいて、問題点の指摘と提言を市民の立場からまとめて「研究会」に提出しようと考えたのです。
 10月に開催された第2回目の研究会で、町会連合会や婦人会、造園業団体の代表とともに市民グル−プにも、意見を述べる機会が与えられました。そこで、アンケ−トの結果を踏まえて、『使用されている農薬には予防効果がないことが市民に十分知らされぬまま、ずさんな大量散布が行われていること』、『撒かれた農薬はアメシロ防除にはほとんど役立っておらず、むしろ健康被害や環境汚染が問題になっていること』を訴え、「生活空間での農薬散布は中止を!」と主張しました。意見陳述の際に、アンケ−トによる実態調査のまとめ(これを冊子にしたものが本誌109号で紹介されているパンフです)や、新座市教育委員会発行のポスタ−「校庭樹木の無農薬管理法」のコピ−等の資料も提出しました。

★研究会の基本方針は「原則として不使用」に
 この「研究会」は、当初はあくまでも農薬散布を前提としているようだったので、一体どういう結論が出るのかが気がかりでしたが、12月の最終会合で示された「基本方針」は「早期発見と捕殺による初期防除を原則とし、農薬使用は異常発生の場合に限る」というものでした。この基本方針に基づいて、正式の提言が今月中に提出されることになっています(街路樹等害虫駆除の安全性に関する研究会の報告書)。
 市側は「研究会委員の意見に沿うような形で前向きに検討していきたい」ということですが、まだこれで一安心というわけにはいきません。町会への補助金は打ち切るのか、それとも補助率を下げるだけなのか等々、市が来年度は具体的にどうするのか、まだ(2月上旬現在)不明なのです。
 「どうしても撒いてほしい町会もあるから、補助金の予算はある程度つける」という情報もあり、予算がつけば予算消化のための散布が行われかねないし、いままで「多くの市民から要望がある」として農薬散布を続けてきた市が、農薬は原則として不使用という方向転換にあたって、市民に対する説明・説得にどれだけ本気で取り組むか、まだまだ目を光らせている必要がありそうです。

★学校でも大量散布
 実は、問題があるのは町内会の一斉散布だけではありません。市の施設や市が管理 している公園・街路樹でも、やはりずさんな農薬散布が行われてきました。
 今年度、市は捕殺防除のための高枝切り用のはさみの無償貸し出しを始めたり、議 会でも、「薬剤使用の減少に努めております」「極力薬剤を使わない方法を心がけて いるところでございます」と答弁していました。
 そこで、市立の小中学校では農薬散布を止めたのかどうか、情報公開請求をして調 べてみたところ、散布していない学校がある一方で、まだ大量に撒いている学校がか なりあることが分かりました。ビオト−プづくりに取り組んだという小学校で1回 目、2回目ともに1400gも散布していたり、また、6月中旬にディプテレックス を2日がかりで2000g撒き、6月下旬にはスミチオンを800g、さらに8月下 旬にまた700gも撒いた小学校もあります。
 校庭面積の半分に木が植えられていると仮定して計算してみると、散布した学校の半数以上で、単位面積あたりの散布量が果樹園並みかそれ以上になってしまいます。これでも、「薬剤使用の減少に努めている」と言えるのでしょうか?
 その上、防除対象樹木の本数が2000本とか3000本という、とても信じられ ない数字が記載されていたり、教育委員会からの問い合わせに「2、3本の木に散布 した」と回答した学校の散布量が1回目に300g、2回目は200gとなっていた り、学校関係の文書を見るだけでも、相当にずさんな散布実態が分かります。

★住民監査請求−省略−

 30年間も続けられ、まるで年中行事のようになっていた町内会の農薬散布が、来年度から本当に止められるのかどうか、数年はかかるかもしれません。各地の取り組みからもお知恵を拝借しながら、粘り強くやっていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
           農薬散布を止めたい金沢市民の会:中垣たか子
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作成:2001-03-23