行政・業界の動きにもどる
t12206#「化審法」、「ビル管理法」の見直し始まる−環境省、厚生労働省が検討会#01-11
 先月号で、環境省が設置した「農薬環境懇談会」について報告しましたが、その後、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)と、ビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)もそれぞれ法律改定を目指して検討会が設置されたことが明らかになりました。
 私たちは生活環境での化学物質汚染によって健康被害を受けている人が増えている中で、それを規制する法律を作るべきだとの立場で運動を進めてきましたが、私たちが問題提起したものを行政が先取りする形で検討を始めたと言えます。被害をなくす方向で検討されればいいのですが、どのような形になるのか不明でしたので、それぞれの担当者から岡崎トミ子参議院議員とヒアリングした内容をお知らせします。

★化審法に生態系保護を入れる
 化審法に関しては環境省環境保健部化学物質審査室の早水室長から説明を受けました。この検討会は「生態系保全等に係わる化学物質審査規制検討会」といい、第一回目の会議が2001年10月5日に開かれていま す。以下、要旨でお伝えします。
【検討会の目的】
 化審法は昭和48年に制定された。61年にトリクロロエチレンなど濃縮はしないが難分解性で有害な物質を規制するという改正をして、今年から環境省が共管になっ た。環境省は今までは意見を言うとか、要請をするだけだったが、今は殆どすべての審査、規制のところを環境省が共管ということで、かんでいる。
 化審法は今話題のPopsを25年前から規制していたということで、先見の明があった法律だと思うが、その後できた外国の制度に比べて問題点がある。
 その中の最たるものは生態系保全、生物への影響は何も見ていないということだ。日本だけが生態系保全をしていない。また8月に環境安全課からノニルフェノールの環境ホルモン作用の報告が出たがこういう物質を入り口のところで規制するところがないといけないのではないか。また、自然との共生という動きもあり、そういう背景の下に、化審法に野生生物や生態系保護などを目的とした審査の仕組みを導入する。
【メンバー】
 メンバーは11名。健康影響、法律、化学の学者、生態影響の専門家。産業界、NGOなど。NGOは弁護士でダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局長の中下祐子さん。
【情報公開】
 会議は原則非公開だが、議事要旨を公開すると同時に資料を公開する。議事要旨 は、一枚のペラではなくて、もう少し細かいことを出さないといけないかなと思っている。発言者無記名で、こんな意見が出たという形で考えている。
【スケジュール】  年度内に4,5回開催して、まとめる予定。第一回は10月5日にやった。2回目の検討会が11月25日の予定で、大体月一回のペースで考えている。
 化審法は3省の共管法律だが、生態系の観点というのは環境省が中心にやっているということで、とりあえず、環境省に検討会を設置することになった。
 入り口は生態系保全だが、出口は広がる可能性がある。化審法全体の見直しになるかもしれないので、どういうアウトプットにするかはこれから考えたい。  検討会が終わった後で、法律改正を意図しているので、その後は3省の審議会になる。審議は多分来年となると思うが、その後法律の改正ということになる。

★ビル管法も政令改定めざす
 ビル管法に関する検討会は「建築物衛生管理検討会」といいます。これについては厚労省健康局生活衛生課小林課長補佐から説明を受けました。第一回目は10月12日に開かれています。
 私たちが一番関心を持っているねずみ・こん虫等の防除の項目も当然検討課題に入っており、8月に厚労省が出した建物内への薬剤散布に関する通知のもとになった金田議員の質問主意書と政府答弁(記事t11901参照)が資料に入っています。小林課長補佐の説明によれば、ねずみ・こん虫駆除の見直しは通知の内容になるということでした。
【検討会の目的】  建築物における衛生的環境の確保に関する法律の中で建築物を衛生的に管理する観点から建築物環境衛生基準を政令、省令、告示で決めている。昨今、衛生や、環境に対する配慮とか建築物を取り巻く状況が変わりつつある中で、新しい管理基準のあり方について検討する必要があるのではないかという観点で、建築物衛生管理検討会を設置した。
 局長が開催する独立した検討会という位置づけで公開で開催している。
【メンバー】
 メンバーは建築衛生に関する有識者で13名。衛生学、空気の管理、水の管理、ねずみ・こん虫の防除の専門家など。
【スケジュール】
 来年の夏頃を目途にいただいた意見を踏まえて政令とか省令、告示等を変えていくということで考えている。
 事務局でまとめた論点をだが、
 1の空気環境の調整については、粉塵、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、湿度、気流の基準について見直す必要があるか、中央管理方式以外のところでも基準を設ける必要があるか、空気汚染=ホルムアルデヒド、VOC、細菌や真菌などについて基準を設ける必要があるか、また告示を見直す必要があるかどうかなどである。
 2の水の関係は現行基準を見直す必要があるか、お湯、給湯水の管理に関しては直接規定がないが必要か、雑用水の基準が必要かなど。ねずみ・こん虫の防除については、6ヶ月に一回ごとの定期的に防除の規定が本当に適切なのかどうか見直す必要があるのではないかと考えている。
 最後に空気と水と清掃以外に何らかの基準が必要かどうか、こういったところを専門家の先生方にご意見を伺いながら作業を進めていきたい。

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作成:2001-12-25