ダイオキシンにもどる
t12803#連載 農薬等に含まれるダイオキシン
     1、市民によるパラジク中のダイオキシン調査#02-05


 −前略−

★(1−1)カンパのおかげで出来たダイオキシン調査
 環境庁によるダイオキシン環境調査の結果、有明海海水に高濃度の汚染が見られ、その発生源が三井化学大牟田工業所のジロロベンゼン類製造プラントであることが突き止められました。工場では、ハエ・カ退治の殺虫剤オルトジクロロベンゼンや衣料防虫剤・トイレタリーの原料になるパラジクロロベンゼンが製造されていたため、製品中にダイオキシン混入してくることが考えられました(記事t11106)。
 昨年1月、市民団体が厚生労働省に市販製品中のダイオキシン含有調査の実施を求めましたが、同省は、メーカーに対する指導をしただけで、独自調査を求める私たちに対しては、言を左右になかなか手をつける気配をみせませんでした(記事t11205)。
 そこで、てんとう虫情報115号で、お知らせしたように、市民のカンパよる分析調査が行なわれることになりました(カンパ募集記事)。賛同者も多く、最終的に165件約88万円のカンパがあつまり、加えて、「週刊金曜日」社からも資金提供の申し出がありました。その後、入手した市販品のダイオキシン分析は、環境総合研究所を通じて、カナダのマクサム社に依頼していましたが、先月、パラジク6検体について、分析結果がでました。
 いままでのメーカー側の調べ−すべての検体で検出限界以下(検出限界はダイオキシン・ジベンゾフランで10から1万pg/g、コプラナーPCBで100から10万pg/gの範囲)であったという−とは異なり、市販の衣料防虫剤すべてに、ダイオキシン類が検出されました。

★(1−2)ダイオキシン類実測値は最高140pg/g
 マクサム社の分析は、検出限界が、ダイオキシン・ジベンゾフランで0.1から0.8pg/g、コプラナーPCBで0.8から80pg/gの範囲にあり、メーカー側の分析より、精度が数段高いものであり、その結果を表に示しました。TEF(2,3,7,8-TCDD等価換算係数)が定められている17種のダイオキシンとジベンゾフラン及びコプラナー14種の合計値は0.011 から0.99pgTEQ/g(実測値で0.96から130pg/g)で、製品により大きな幅がありました。また、TEFがゼロであるダイオキシン・ジベンゾフランを含む全実測値は2.0から140pg/gでした。なお、表中には、()で、ダイオキシンとジベンゾフランについてWHOによる算出法(検出限界以下であったものは、限界値の2分の1が存在したものとして加算する)によったTEQ値を示してあります。
 製品によって、ダイオキシン類の同族体・異性体別の比率も、大きく異なっており、備考には、検出された同族体を記号で示しましたが、和紙防虫紙では3種のジベンゾフラン、衣料防虫剤では八塩化ダイオキシンと1種のコプラナーPCB、パラゾールでは1種のコプラナーPCBしか検出されませんでした。

  表 衣料防虫剤パラジク中のダイオキシン類濃度(pg/g)−省略−
★(1−3)パラジク製品の製造販売の中止を求めよう
 環境NGOのCWWIの調べによると、羊毛、絹、ポリエステルなどの衣料品に1.5〜20pgTEQ/gのダイオキシン類が検出されたということです。その汚染原因が、染料中の不純物にあるのか、塩素系クリーニング剤にあるのか、抗菌剤や防虫剤にあるのか、あるいは、ビフェニルのような染色助剤と塩素系漂白剤との反応によるのか明確ではありません。衣料に吸着したパラジクが塩素系漂白剤と反応して新たなダイオキシンが生成する恐れも否定できません。
 止めよう!ダイオキシン汚染・関西ネットワークの中南さんらが厚生労働省化学物質安全対策室に、衣料防虫剤のダイオキシン数値を示し、見解を質したところ、担当官から「影響があろうとなかろうと、不純物があるということは、気持ちが悪いでしょう」とか「ダイオキシンのような不純物については、初めにゼロありきであるべきだ」とか「主成分の方(パラジク)がよっぽど問題だ」などの発言があったとのことです。
 まさに、おっしゃる通りで、このことを深刻に考えるなら、衣料防虫剤やトイレタリー用のパラジクの製造販売は即刻中止すべきなのです。厚生労働省に、あの発言はその場しのぎのリップサービスにすぎなかったといわせないためにも、身の周りで、パラジク製品を減らしていく運動の強化が必要です。
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作成:2002-11-25