■生活習慣病  糖尿病と肥満症

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危険因子で最も大きいのは肥満です。
糖尿病の実態調査から、糖尿病が強く疑われる人の28.0%、糖尿病の可能性を否定できない人の26.9%が現在肥満でした。また糖尿病が強く疑われる人の52.7%、糖尿病の可能性を否定できない人の37.3%は、過去に肥満でした。最近においては、肥満した脂肪細胞がインスリンの働きを邪魔する作用を持つホルモンを出すことがわかっています。体重を減らし脂肪細胞を小さくすることによって このホルモンを減らし、糖尿病の発生防ぐとまでいわれています。
1 空腹時の血糖に関しても、内臓脂肪型の方が皮下脂肪型より高くなる
2 ブドウ糖負荷試験でも、内臓脂肪型の方が皮下脂肪型より高くなる
3 インスリンの感受性は、皮下脂肪型肥満に比べて内臓脂肪型肥満の方が、低くなっている
4 インスリンの分泌については、差が一定ではなく、発症時期や程度、継続年数によって違いが出る

NEngl J Med vo1346 No6,2002より



インスリンとは、糖の代謝や脂質の代謝にかかわるホルモンの一種で、膵臓で作られます。働きは、特に血液中のブドウ糖の量(血糖値)を一定に保つことです。血糖値を一定に保つために、血中のグルコース濃度を下げる働きをしており、不足すると、血糖値が上がります。
インスリンの血液中での働きを阻害することを「インスリン抵抗性」と言います。一言で言えば、「筋肉や肝臓でインスリンの作用が低下している状態」のことです。インスリン抵抗性が生じると、骨格筋や脂肪組織などでグルコースの細胞内取り込みが抑えられてしまいます。
インスリン抵抗性が生じると、細胞内に取り込まれなかったグルコースが肝臓でたくさん放出されることになってしまいます。このとき、膵臓からインスリンの分泌が少なくなると、血液中に糖が多くなり、血糖値が上昇して糖尿病が発症しやすくなるのです。

肥満になると、脂肪細胞が増えてしまうのは当然のことです。
@この脂肪細胞は悪役物質である
 TNF−α(腫瘍壊痕因子)を 分泌し、インスリンを受け入れ ようとする「受容体」の働きを 邪魔します。
Aまた、脂肪細胞は「遊離脂肪酸」 を作り出し、これは糖の利用を邪魔します。

@脂肪細胞が「遊離脂肪酸」を作り出します。 A「遊離脂肪酸」は糖の利用を阻害します。 つまり、「遊離脂肪酸」はインスリンが糖を取り込むのを阻害し、結果的に「インスリンの抵抗性」が生じてしまうのです。 肥満は「インスリン抵抗性」を生み出し、それによって膵臓がインスリンを多量に分泌しなくてはならなくなり、血液中のインスリンが増加して、高インスリン血症を発症します。こうした高インスリン血症により、糖尿病や高脂血症などの代謝異常を引き起こすと言うことです。

減量するとこんな効果があります。

エネネルギー代謝の総量が減って、インスリンの必要量も減少します。

 体重の減少によって、自分の体重を維持する必要エネルギーの量も減ります。その結果として、インスリンの必要量も少なくなるのです。また、膵臓にかかる負担も楽になります。また、膵臓にかかる負担も楽になります。 インスリンを受け入れる受容体の数が増えて、血中のインスリンの働きも順調になり「インスリン抵抗性」が軽減します。摂取エネルギーの減少によって、インスリン受容体との結びつきが強くなります。 つまり、インスリンを受け入れやすくなるといゝつことです。 肥満が長く続くと、こうした効果による改善も、みられにくくなってしまうので、早いうちに減量に取り組むことが効果を無駄にしないことになります。 たとえ、インスリンを注射していても、血糖の数値によっては改善が可能ですし、血圧も肥満の改善とともに下ってきます。特に運動・食事の習慣は、人生そのものをつくりあげ、変化させることが出来るのです。 細く長く生きるために、肥満の食事の習慣を改め直して、日ごろから運動するなどの習慣を確立させましょう。 また、食事で摂取しきれない栄養素は、補助として積極的にサプリメントを活用しましょう。 現在、インスリンを注射でなく吸入 (ぜんそく薬のように)という形で投与する研究が進んでいます。 

 


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