■生活習慣病  飲食と養生
 

飲食と養生

概念  食習慣  養生


中国医学の養生学の基本を紹介

人間は様々な方法で自然と調和をとりながら、生命の力を養い、暮らしてきました。飲食も、自然と人間を調和させ、生命の力を養う方法です。しかし、現代の食生活は、自然と調和し、生命の力を養う方法としては、必ずしもふさわしくないところがあります。それでは、生命の力を養うためには、飲食をどのように考え、どのように行えばいいのでしょうか。中国医学の養生学の基本を紹介します。

 朝食には、温かくて消化のよいものを食べる 中医学では、胃は、温かくて、ほどよく湿った状態に保つのがよいと考えています。中国では朝食に「朝がゆ」を食べる習慣があります。適度の温かさと水分を持つ朝がゆは、胃に負担をかけずに消化でき、効率よく栄養をとることができる理想的な食品なのです。 日本では温かいごはんに味噌汁を中心とした朝食を食べる習慣があります。これも体を温め、適度の水分を補う点で、冷たいジュースや牛乳を飲むよりも、理にかなっています。朝食には、温かく、消化のよいものを食べる。これが充実した一日を過ごすための第一のポイントです。 昼食には質のよいものを食べ、活動エネルギーを補う 人体の「気」は、朝、目覚めてから活動をはじめ、太陽の位置が1日のうちで最も高くなる昼に一番盛んになります。そして夕方から夜にかけてゆっくりになります。したがって昼には、午前中の活動で失われたエネルギーを補って元気を保つ必要があります。だからこそ昼食には、栄養のバランスに重点をおいた質のよいものを食べる事が必要なのです。 夕食のメニューは質素に 昼は「陽」、日の入りを境に「陰」になります。陰は睡眠によって疲れをとり、翌日の活動に備えるためにあるのです。活動するためのエネルギーがほとんど必要無いわけですから、食事も質素なもので十分なのです。夕食に高カロリーの食事を繰り返すと、やがて生活習慣病の原因ともなります。

 「育ち盛り」には、からだづくりになるものをしっかり食べる 10代はからだやこころが急速に成長する時期です。特に素問・上古天真論でいう女性の14才前後、男性の16才前後は、子供を産めるまでに発育するなど、人の身体はこの時期に決まるともいえます。 したがって、血液、筋肉、骨をつくるものをバランスよく食べることが必要です。しかし、冷たいものや、生もの、甘いものは脾胃の働きを損なうので、食べ過ぎない注意が必要です。

中高年は「からだを修理する時期」。バランスよく食べて、健康を保ち、老化を遅らせる。 女性は28才前後、男性は32才前後が、こころもからだも、最も充実した時期です。その後、女性は35才頃から少しずつ衰え、42才頃から顔にしわが増え白髪がでてきます。男性は40才で髪が抜け始め、歯が悪くなるといわれています。若い時が「陽」だとすると、「陰」の状態に変わっていき、必要な栄養の量も減ってきます。若い頃の食生活を続けていると、余った栄養が脂肪などとなってたまってしまいます。 この時期の食生活は、健康を保つ食材と、エネルギーを補う食材をバランスよくとることを心がけます。

 シイタケなどのキノコ類、魚、大豆、胡麻などは、からだを軽くし老化を防ぐとしています。穀類、豆類、植物性脂肪でエネルギーを補うようにします。 年をとったら腎と脾胃を養う食生活を 老年期には腎と脾胃を大切にする事が第一。脾胃が健康なら、腎の働きが補われ、生命力の消耗が少なくなるので老化の速度をおさえることができます。腎の働きを補う食材には、黒豆、大豆、胡麻、にんじん、山芋、くり、ぶどう、わかめ、牡蠣、はまぐり、などがあります。 脾胃のためには、生臭いもの、味の濃いもの、甘いもの、冷たいものを食べないようにし、決まった時間に腹八分目が大切です。

は、発散力を補う野菜を食べる 春は、芽ばえの季節です。温かくなるにつれて、冬の間、からだの中にこもっていた熱が発散されます。しかし、まだ風は冷たく、からだの発散する力も弱いので、発散力を補うものを食べることが必要です。 例えば、みつばやせりのような香草類、たけのこ、ほうれん草、ねぎといった新鮮な野菜です。また、夏に向け、からだの脂肪を落とすために、油っこいものや、味の濃いものはさけて、薄味のものを食べるように心がけましょう。

は、適度な水分を補い、からだをさっぱりさせるものを食べる 夏は、熱によって水分が消耗されるとともに、汗をかいて栄養も失われやすい季節です。水分を補って熱を冷やすとともに、いたわる事が大切です。きゅうり、なす、トマト、すいか、といった夏の野菜や果物は水分を補い熱を冷まします。また、夏は食欲がなくなり、冷たいものが欲しくなりますが、脾胃は温かい状態を好むので、水分のとり過ぎ、冷たいもののとり過ぎは良くありません。

は、バランス良く栄養を蓄える 夏の間に疲れた脾胃をいたわりながら、からだを潤すとともに、冬に備えて、栄養のあるものをバランス良く食べる事です。 秋は実りの季節で、米などの穀物、いも類、豆類、びわ、なし、ぎんなん、くりなどの木の実、さんま、いわし、さばなど魚といった旬の食材を中心にしましょう。

は体を温めるものを食べる 冬は寒さの季節。からだは縮こまり、血行が悪くなりがちです。 からだを温めるものを食べ、腎を補い、寒さを防ぐ事が大切です。冬には、にんじん、にら、ねぎ、かぶ、大根、ごぼう、れんこん、などの根菜類や、ぶり、えびなどの海の幸を鍋料理や煮こみにして、更に唐辛子、こしょう、にんにくなど、からだを温めるものを調味料として使うと、からだを養う力を高めます。

 


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