慢性関節リウマチは、現代医学では、自己免疫疾患のひとつと考えられています。特に中高年の女性がかかりやすい病気ですが、どのようにして病気がおこるのか、まだ完全にはわかっていません。
中医学では、からだの活動に必要な物質がうまく流れなくなるために、関節や関節に付属する組織が栄養不足の状態となっておこる病気と考え、診断と治療を行います。
中医学と現代医学、それぞれの立場から、慢性関節リウマチについて考えてみました。
発病因子の影響による症状が強く現れている場合、例えば、風・寒・湿の病邪が主な原因のときは、からだを温めて病邪を除き気血の流れを回復する「温陽宣通」の治療を中心に、気や血を補う治療を補助的に行います。また、風・湿・熱の病邪が主な原因の場合には、熱を冷まし、湿を尿に変えて出し、風を発散する「清熱・利湿・去風」の治療、痰濁やオ血による症状が強い場合には、血の流れをよくしてオ血を除き、痰濁を除いて経絡の通りをよくする「活血化オ・化痰通絡」の治療が中心になります。
からだの衰えによる症状が明らかで、気や血が不足しているときは、気と血を補う「気血双補」の治療を行います。また、腎の陽気が不足しているときは、からだを温めて陽気の働きを助ける「温養去寒・通滞」の治療を、腎や肝の精や津液や血が不足しているときは、熱を冷まし、精や津液や血を補って腎や肝の働きを助ける「益肝腎・補気血・去風湿・止痺痛」の治療を行います。
発病因子の影響による症状とからだの衰えによる症状がともにはっきり現れている場合は、発病因子の排除とからだの補助を同時に補う「攻補兼施」が治療の原則です。
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