和の美術めぐり 2014-2016

(2011-2013 は こちら)

(2008-2010 は こちら)

(2005-2007 は こちら)

161122 円山応挙 展
根津美術館

     

 庭園の紅葉も楽しみました

早朝の地震でびっくりしましたが、暖かい天気になったので主人と出掛けました。

切符売り場は行列。ウィークデイなのに…たぶん先日の日曜美術館を見た方が多くいらしたのであろう。かくいう我々もそうなのですが。”写生を超えた”・・とチラシに書いてあり、その写生帖も楽しみに。

初期の画は中国風の絵画から学んだ中国風の人物や風景画。屏風絵が並んでいます。墨絵の《雨竹風竹図》屏風は雨竹の描写が素晴らしい。風竹の方はあまり風を感じなかったです。

《雪松図屏風》《《藤花図屏風》は琳派のような感じも見受けられます。

写生帖には学習のためのものと、清書の写生帖が展示。巻物になっていて草花・虫・鳥・動物などびっしりと精密に描かれています。

みかんの皮をむいたところ、栗を上から見た所、落ち葉の裏表、兎の正面から見た顔等・・・単なる図鑑とは違います。

軸の画では《龍門図》←が私は気に入りました。三幅対で真ん中の滝には鯉が登っているのが見えます。左右の泳いでいる鯉の姿も秀逸。

《七難七福図巻》も見ごたえがありました。応挙の秀作が揃った展覧会でした。

 
HOME
161118 高倉 健 展
東京ステーションギャラリー

三回忌を迎えた高倉健の追悼特別展の内覧会に行ってきました。

年ごとに高倉健の年齢・その歳に撮った映画・その年の社会の出来事が書かれていてビデオには作品の”さわり”が放映されています。ポスターも貼られています。

初期は結構楽しい明るい表情の作品が多く、次第に任侠ものに入ると暗く、残忍な荒っぽい作品・・この時期が長いです。

「黄色いハンカチ」あたりから心温まる作品が増えてきます。「南極物語」はいいです。

全体的に見て高倉健の役は暗く、いわく有りのシリアスな人物が多かったです。

生涯205本もの映画に出演した高倉健の映画暦と共に その時の社会の事件・出来事が書かれていたので「あーそんなことあったわ」と懐かしく思いつつ観覧しました。

 
HOME
161117 小田野直武―秋田蘭画展
サントリー美術館

 

秋田蘭画・・私には聞き慣れないものです。入ったところにその説明がありました。

@江戸時代半ばに誕生し、A東洋と西洋が混じった不思議な絵画B秋田藩の武士・小田野直武が中心的描き手C製作期間が少なく数も少いD江戸の豊かな文化を背景に成立。

確かに今まで見てきた江戸の画とは違います。奥行を感じ、構図が西洋的。

例えば直武の《不忍池図》は前面右にボタンの鉢が堂々と細密に描かれ、背景に薄く不忍池の風景が弁天堂も描かれています。

また、佐竹曙山《松に唐鳥図》も手前に はみ出すほどの松の幹が書かれ、背景には海と遠くに島が、船も描かれています。

写生帖には花や魚類が精密に描かれたくさんありました。

直武は平賀源内とも交流があったそうで、「解体新書」翻訳本の挿絵も担当しました。

この直武31才という若さで謎の死を遂げました。この秋田蘭画は司馬江漢につながっていきます。

 
HOME
161112 禅-心をかたちに 展
東京国立博物館・平成館

   

禅の開祖、達磨はインドで生まれて中国へ渡ったそうです。その禅が日本に伝わったのは鎌倉末期から室町のあたりです。

師から弟子へ教えを伝えるには不立文字で言葉に頼らず体験体得しかない。これが禅の基本です。

雪舟の《慧可断臂図》、慧可が左腕を切ってまでして弟子にしてほしいと達磨に願う図・・・ちょっとやりすぎの感が。

《羅怙羅像》はお腹の皮を広げて中には仏の顔が見えている。仏性・悟は自分の心の中にあることを伝えています。とてもインパクトのある像です。ちなみ羅怙羅は釈迦の息子とのこと…ちょっと怖い顔です。

禅宗の偉い僧の頂相、や座像、禅宗の寺に描かれた長谷川等伯や狩野派の襖・屏風、大徳寺に縁のある一休さんの書や持っていた笛や箱、鉢も展示されています

禅の精神が入った茶道の関係では国宝の《油滴天目》・三大茶入の一つ《新田茶入》も鑑賞できました。

 
HOME
161109 漆芸 名品展
静嘉堂文庫美術館

  

曜変天目と尼崎台       松本茄子と付く藻茄子

近年修復された漆絵屏風《羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風》を見るため行きました。

大きな二曲一双の屏風で左隻には中国玄宗皇帝と楊貴妃の花見の絵、右隻は光源氏と中将が紅葉を楽しんで踊っている絵を 漆のいろいろな技法を使って描かれたものです。   唐と日本、春と秋を対比させています。

漆と言ってもいろいろな技法があるそうです。そういう技法をすべて使って江戸初期に描かれたもの、 作者も不明です。

黒漆天目台(尼崎台)には国宝の曜変天目を載せていました。今までは曜変天目茶碗だけの展示で見てきましたが、台に載っている姿はしっくりと落ち着いた感じでした。         やはり一体して初めて完成された形なのですね。

また付く藻茄子茶入・・このつやは何と漆がかかっているそうです。

中国の堆朱、おおらかで優美な朝鮮漆器、色彩豊かな琉球漆器を鑑賞できました。

日本の漆器は尾形光琳の《住之江蒔絵硯箱》はじめ香炉、小箪笥、重箱…そして一番すごいと思ったのは印籠、小さいものながら細かい蒔絵が施されています。

漆芸家 室瀬和美氏が薄茶器中次を作成する工程のビデオも見ましたが、大変な作業で、夜光貝を細く切って漆で貼ったり、金粉をまいて研ぎだしたり、磨いたり…気の遠くなる作業を一人で黙々とされていました。        

漆工芸の素晴らしさを目の当たりにすると同時に、漆工芸を[JAPAN]と言うように こういう技法がずっと継承されていくことを願いたい気持ちになりました。

 
HOME

161103 月―夜を彩どる清けき光展

松濤美術館

  

いにしえより日本人にめでられてきた月。

絵画、文学 和歌 工芸品等に多く月がテーマになって表現されています。日本画では月は銀色で描かれます。

月に因んだ絵で有名なのは切手にもなった《月に雁》。歌川広重は《月と時鳥》を描いています。

勝川春章の《雪月花図》。三幅で、雪の美人は清少納言、月の美人は紫式部、花の美人は小野小町。

美人が机に片肘をついて月を眺め外は琵琶湖・・・とくれば石山寺の紫式部

花の色は移りにけりないたずらに、・・・・の小野小町

雪が清少納言というとは分かりませんでしたが、枕草子に御簾を上げて雪を見るという段があるそう。

月と兎の関係も、いろいろ説があるようですが、買ってきた図録を読んで一つの説はわかりました。

 
HOME
160930 鈴木其一・江戸琳派の旗手展
サントリー美術館

《元気になった主人》

《白椿と楽茶碗》

約9ケ月ぶりに主人と二人で美術散歩をしてきました。涼しくなって主人の体調も良くなってきたので、思い切って出かけました。

俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一に続く江戸琳派の旗手、.鈴木其一展です。ひところ琳派展が流行りの時があり、その時も鈴木其一の絵は何枚か見ています。

今回の中で私が印象深かったのは何といっても《朝顔図屏風》です。光琳の《燕子花屏風》を真似した金地に青と緑で朝顔が鮮やかに乱舞しています。メトロポリタン美術館蔵で、琳派は明治時代に外人がその素晴らしさに気づき海外流出してしまったようです。

そういえばキンキラしていて外人の好み、明治までの日本人の趣味ではなかったのでしょうか。

其一の個性といえば「描表装」。表装の紙にも絵を描いていて、中には本絵の続きが表装にはみ出すものもあります。

疲れはしないかと主人に気を遣いながらの鑑賞でしたが久しぶりに二人で出かけられてよかったです。

 
HOME
160903 千家十職の軌跡展
三越日本橋本店

茶の湯の大成者、千利休から400年以上も続く千家の茶道。

その千家の好みの茶道具を制作する職人家を千家十職と言います。千家と共に代々繋がって釜師・塗師、竹細工師・表具師、箱物師、袋師、金物師、茶碗師、一閑張師、土風炉師が茶道具を制作しています。いわゆる千家のお抱え職家。

利休の時代からずっと継承しているので、それぞれの当代は十三代から十五代、ちなみに千家の当代は十六代。

千家十職のお道具は今や我々にはちょっと手が届かない道具なので、せめて鑑賞をという事で見てきました。茶道具は用の美が理想ですが、これらはそうめったにはお目にかかれない遠くの存在。

各家の代々の方は苦労されたと思います。現代にまで継承しているというだけですごいことと思いました。

 
HOME
160610 千利休と武将茶人展
細川コレクション 永青文庫

細川家家紋

戦国時代、利休の茶道は、戦国武将たちの心を深く揺さぶった。

細川三斎、古田織部、小堀遠州などの武将もこぞって茶道具に深く関心を持ち手にしていた。

今回は細川家伝来の茶入れ・茶碗・茶杓などの茶道具がいろいろ展示されている。

唐物尻膨ら茶入は秀逸。形は下が丸く張っていて真ん中に一本筋目が入っている。仕覆は南蛮裂で仕立てられたものが3つ。

一休宗純筆の《諸悪…》は勢いがあっていかにも一休らしい。三斎の茶杓もたくさん出ていたが、その中で《けつりそこない》という銘が気に入った。折ための裏に割れができてしまったのでこの銘が付いたのだという。

私も昔削ったものでスキー板のようになってしまったものがあるが、これも《けつりそこない》と付けようかしらと思った。

細川家の兜はてっぺんに山鳥の尾羽が何本も束で立てられて雄々しく見せていた。

別館では当代の細川護熙氏の手び練りの茶碗をみながら、熊本の銘菓《加勢以多》と共に飲み物を頂いた。

熊本地震で被害を受けた熊本城の修復の大変さに胸を痛めながら帰路につぃた。

 
HOME

160515 頴川美術館の名品展

松濤美術館

 頴川美術館(えがわびじゅつかん)の名品展。

長次郎の赤楽《無一物》が出ていました。釉がかかっていたそうですが、それが使ううちにすっかりとれてしまったのか、かせた感じのものです。しかし整った形で口べりも整っています。

後、益田鈍翁作の茶杓《三傑餅》が印象に残りました。三傑・つまり信長と秀吉、家康を指します。狂歌が筒に書かれていてそれが」面白いのです。

”織田がつき、羽柴がこねし天下餅、骨をおらすに くふは徳川”

茶道具の他、光琳の屏風や狩野派、長谷川派、池大雅・谷文晁・椿椿山,祖仙、応挙などの名画軸がたくさん鑑賞できました。

生徒さんが「この美術展15日までですよ」と教えてくださったので最終日に滑り込みました。

名品を数々見られてよかったです。

 
HOME
160429 国宝 燕子花図屏風展
根津美術館

連休初日、根津美術館で、"描かれた燕子花"と"生の燕子花"を鑑賞してきました。

国宝燕子花図屏風は過去に何回か見ています。見るたびに何か印象が違うのが不思議です。

庭園の燕子花も満開で、濃い紫色の花が周りの新緑に映えてとても美しい眺めでした。点茶席もあり、緑と紫のきんとん(銘かきつばた)と美味しいお薄をたっぷり頂きました。

今回良かったなと思ったことはお軸の絵に添えられ和歌が今の言葉でガラスケース表面に大きく書かれていたことです。変体仮名などで書かれている文字は読むのが難しいのでとても助かります。しかも英訳されているものもあったのには驚きました。

例えば、伊勢物語の燕子花の和歌《から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思う 》は以下です。

Since I have a wife familiar to me as the hem of a well-worn robe. I thinnk sadly of how far I have traveled on this journey.

 
HOME
160306 永楽と17代善五郎展
日本橋高島屋

千家十職の中に入っている当家は元は土風炉を造る家でした。

11代の保全が作陶を始め、《永楽》を拝領、陶号に永楽を使用することになりました。

永楽といえば金彩を施した、茶碗の内側にまでも絵が描かれている繊細華麗な茶碗というイメージです。  中でも「金襴手波濤鶴茶碗・銘天外》は見事です。(←チラシの茶碗)

華やかなものだけではありません。祥瑞や渋い伊羅保や雨漏り手等の写しもあります。

色彩も形も斬新な大きな花瓶、大皿もあります。  タケノコをイメージした、下に緑のぼつぼつを入れた皆具もそれらしく印象的でした。

また12支を表した立体的な水指も意表を突くもので面白かったです。私はサル年なのでサルの水指のハガキを買いました。(←)籠をしょっているサルです。蓋のつまみは桃。

 
HOME
160118 二人の15代・楽と萩展
日本橋三越アートスクエア

当代楽吉左衛門と萩焼当代坂倉新兵衛はともに15代。そして同い年で、ともに芸大卒です。

このお二人がお互いに制作方法を交換し、吉左衛門が萩焼を、そして新兵衛が楽を焼くといった面白いコラボレーションをされました。

手捻りと轆轤、登り窯と一つずつ焼く…といったように製法も焼き方も全く違います。単なる遊びでコラボしたのでなくお互いの窯へ通い、数年かけて習得しそれぞれの作品ができたのです。

作品はすべて茶碗。新兵衛さんの楽茶碗は黒楽でも内側にも景色とした釉薬がかかっていたり割り高台だったり、男性らしいへぎめを入れてあったりします。しかし、大きさはお茶が飲みやすそうないわゆる楽茶碗の大きさ。赤楽も朱というよりちょっと紫がかった赤色でした。

吉左衛門さんの萩茶碗は釉薬の掛け方がいろいろで、素地を一部残して掛けたり、刷毛目のように掛けたり、鬼萩のような物もあって、大きさも大きいものや小さいものちょっとひしゃげたものだったりしてバライエティに富んでいます。

楽と萩を比べると、萩のほうがいろいろ変化をつけやすい焼き物のようだと感じました。

お二人は随分思い切ったことをされたと思いつつ、さすが陶芸家の宗匠…ちょっと見ると区別がつかないくらいお互いの焼き物を焼かれていました。

 
HOME
   

2015年度の展覧会のベスト3



@ 若冲・蕪村展

A 乾山 見参!展

B 利休を超える織部とは?展

次点  肉筆浮世絵展

 

151222 肉筆浮世絵展ウエストンコレクション
上野の森美術館

       

美人に囲まれて・・・

買った絵葉書から・・・

暮れも押し詰まった日、主人が「行きたい」というので付き合って行きましたが、ことのほか良い展覧会でした。そこで今年のベスト3の次点に入れることにしました。

アメリカ人でシカゴに住むR・ウエストン蒐集のものです。明治の混乱期に外国人が日本美術を買いあさった例はありますが、この方は現代の方。現在でもこのような貴重な日本美術品が外国に行ってしまっている事実に嘆かわしく思いつつ驚きました。

版画は沢山あっても、一点物の肉筆画は少なく大変貴重です。何といっても絵師は春章・歌麿・豊国・栄之・北斎・暁斎とそうそうたる浮世絵師、どれも色彩が華やかで衣装の柄も奇抜なものや細かな絵柄で丁寧に描かれた優品ぞろいです。

美人の髪形も時代とともに変化、顔はやはり面長・うりざね・色白・細身・上がり目。大首絵のように顔だけでなく、等身大図なので帯や髪を結んでいるしぐさや、手紙を読んだり書いたりするしぐさなど美人の日常が垣間見られるところが良いです。

北斎の《美人愛猫図》・春章の《納涼美人図》と《美人按分図》・藤磨の《美人戯犬図》が私のお気に入り。

130点もの美人肉筆画を鑑賞でき、思いがけなくすばらしい展覧会で、良い”和の美術鑑賞納め”ができました。

 
HOME
151211 金銀の系譜展
静嘉堂文庫美術館
     

朝は大雨だったが、急に晴天となり気温も12月なのにぽかぽか陽気。そこで久しぶりに主人と静嘉堂文庫へ出かけた。初めて車で行ったので道順でちょっと緊張したが、無事門を入って紅葉の美しい山道を登って、美術館真ん前に付けることができた。

100年おきに現れた宗達・光琳・抱一の美の世界が楽しめる。京琳派光琳の金地屏風《鶴鹿図屏風》に対して、江戸琳派の抱一は銀地に《波図屏風》(←)。国宝の宗達{源氏物語関屋・澪標図屏風は修復されたばかり。

寛永の三筆、近衛信伊、松華堂昭乗の美しい文字、仁清の壺と香合、またロビーには曜変天目と油滴天目が展示されています。

主人も数か月ぶりの美術散歩で、その意味で幸せな日であった。

 
HOME
151121 始皇帝 大兵馬傭展
東京国立博物館・平成館

2200年前、最初の皇帝を名乗り中国大陸統一王朝をたてた秦の始皇帝。

彼は国によって異なっていた度量や貨幣を統一したり、陶製の水道管を使いインフラ整備までしたという。

1974年たまたま農夫が井戸を掘ろうとして見つかった兵馬俑。その規模たるやすごいもので今でも発掘が続いているとか。

今回その本物が幾体か展示されていました。将軍傭・軍吏傭・歩兵傭・立射傭・跪射傭・・・・等。 服装や表情がそれぞれの立場をよく表しています。

レプリカが80体ほど整列していて雰囲気十分です。始皇帝が愛用した馬車のレプリカもありました。

紀元前にこのようなものを作り、国を発展させた権力者・中国文化の底知れない深さを感じました。

この一ケ月主人が体調を壊し、入退院を繰り返し、私は家と病院の往復を繰り返していましたが、ストレスもたまり今回久しぶりに上野に行って気分をリセットできました。

 
HOME
151012 久隅守景展
サントリー美術館

国宝《納涼図屏風》で有名な久隅守景の展覧会。江戸初期の絵師です。

しかし、この絵師の他の絵は見たことがありませんでしたので、見に行きました。

守景は狩野探幽に師事、探幽の姪と結婚しています。知恩院小方丈の山水図襖絵や四季耕作図屏風など、探幽の影響が大きいです。四季耕作図屏風は春から秋まで米つくりの一年を描いていてとても興味深かったです。

娘幸信と、息子彦十郎も画家ですが、彼らがいろいろと駆け落ちや、悪所通いなどの不祥事で、守景は狩野派から離れていきます。

国宝《納涼図屏風》は晩年の作品。当時としてはこういう庶民の様子を描いた風俗画というのは珍しかったことでしょう。

娘清原幸信は恋多き情熱家であったのに、画のほうはとても繊細、緻密、古風できれいな絵です。江戸初期に女子でしかもこんなに上手な絵師がいたのには驚きます。

 
HOME
151003 歌麿 英泉 北斎展
太田記念浮世絵美術館

礫川浮世絵美術館が閉鎖となったので、その美術館所蔵の名品を展示した展覧会です。主人のお供で出かけました。

歌麿の《当時三美人》、英泉の《美艶仙女香 はつ雪や》、北斎の《凱風快晴》・・・とそれぞれの代表作が展示されています。

江戸末期ベロブルーというベルリンブルーが染料に入ってきたので、青の色があせにくくなったそうです。それまでは露草で青の染料としていたためすぐ退色してしまったそうです。

展示室が暗い照明で、ちょっと疲れました。

秋晴れの土曜日の午後だったこともありますが、原宿・表参道界隈の人の多かったこと!渋谷どころではありません。中国人はもちろん、その他の外人も多かったです。びっくりしました。

 
HOME
150919 伊豆の長八展
武蔵野吉祥寺美術館
 

幕末・明治の鏝絵(こてえ)師、長八の展覧会。

左官業であった長八は漆喰で鏝(こて)を使って絵を描きました。写真で見ては、どういうものかわかりにくいですが、実際に見ると浮彫のようで立体的な絵です。

鏝もいろいろ種類があって、細かい線もうまく描かれています。漆喰に絵の具を混ぜて色彩もあります。

器用であった長八は狩野派に絵も習いに行っています。

漆喰で形作った人形も何点か展示されていましたが、気性、性格も分かるよう表情をうまく表しています。

このような鏝絵を見たのは私は初めてでした。

 
HOME
150919 根津青山の至宝
根津美術館

 

根津青山は 明治から大正時代、日本の古美術品が欧米に売られていく状況を見て憂い 収集に励みました。その収集品がまとめて展示されています。唐物道具絵画、から茶の湯道具、仏教美術、中国古代の青銅器などコレクションは多岐にわたっています。

国宝5点、重文42、重美9も含まれます。

そのいくつかは私は前にも見たことがありますが、良いものは何回見てもよいです。

茶道具にやはり目がいってしまいます。今回「松屋肩衝」が羽田盆に載って展示されていました。南宋時代の大ぶりの茶入で珠光・利休・織部・遠州が好みの仕覆をそれぞれ作っています。胴が張っていて肩はスカッと平ら、なだれも複雑でなんとも風格のある茶入れです。

香合もいろいろあり、藤田伝次郎と争った大亀香合の色違い緑でちょっと小ぶりのものもありました。

良い道具を手に入れるたびに茶会で披露されていたようです。

 
HOME
150918 月映つくはえ
東京ステーションギャラリー

1914年から1915年にかけて 20代の若き美術学生、田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎らが作った木版の雑誌《月映》にまつわる展覧会。

自分で絵を描いて、彫り、機械刷りをして本にしたのです。

版画はサイズはハガキ大位のものですが、色彩のあるものもあって、絵は象徴主義のもので、人間の内面の葛藤を表現、具象から徐々に離れて抽象的・デザイン的になっていきます。

時代環境・境遇のせいかテーマが暗いものが多く、理解が難しいです。

田中恭吉はなんと23歳で結核で死去。藤森静雄も妹の病死があったりでこの3人で始めた活動は残念ながら数年で終えます。

 
HOME

150815 国宝 曜変天目茶碗と日本の美

藤田美術館の名宝展

サントリー美術館
 

藤田美術館の至宝で、日本に3つしかない曜変天目の一つが展示されているというので出かけました。

以前に、藤田美術館(お蔵です)で見たことはありますが、その時は懐中電気を貸していただいて照らして観たものです。良いものは何回見てもいいです。

今回は照明がうまくなっていて、外側にも星があるのが良く見えました。

あと、型物香合番付、大関の交趾《大亀香合←》や、茶入れも井戸茶碗、楽茶碗など名品が沢山ありました。ノンコウ赤楽「小町」はとても色と云い形と云い素晴らしかったです。

快慶作の《地蔵菩薩立像》は衣の色・模様も鮮やかで、穏やかな顔の御地蔵様でした。

南宋や明時代の水墨画、平安時代の書、絵巻物も素晴らしく、利休筆、松茸の消息もありました。藤田美術館は大したお宝を沢山持っています。

 
HOME

150812 利春信一番、写楽2番

フィラレルフィア美術館浮世絵名品展

三井記念美術館
 

 春信・写楽・清長・歌麿・北斎・広重等そうそうたる浮世絵絵師の名品展。

初期のものから浮世絵の歴史を通覧できるものでした。

私は春信のファン。顔が小ぶりでかわいい表情がいいです。題材も人間味があって好きです。一方役者絵や歌舞伎物はちょっと苦手。

初摺りに近いとてもよい状態の浮世絵がこれほどたくさんフィラデルフィア美術館にあったのです。明治時代のどさくさの時代によいものが大量外国に行ってしまったのです。

北斎の有名な《凱風快晴》もとても良い色調のものでした。

写楽の役者絵・大首絵は豪快です。背景に雲英摺りがはっきり見えました。

 
HOME
150809 利休を超えた織部とはー?展
湯島天満宮宝物殿

今年は古田織部没後400年にあたります。

千家は利休切腹後何年かして再興しましたが、古田家は織部切腹後断絶しました。それで織部については資料が少なく、謎が多いことになりました。しかし利休が茶道に君臨した9年より長く、織部は利休没後25年もの長きにわたって茶道に君臨していたのです。

織部といえば「ひょうげた」「やきそこない」の茶碗というイメージで、形もさることながら絵柄が幾何学的で意味が分からないような現代的なものが特徴です。このような茶碗が茶席をにぎやかし、天下に認められたようです。

しかしお家断絶してしまったので茶道織部流は続かなかったのです。

今回織部デザインの凄い水指を見ました。左写真(←)のように大振りで、ひどくデフォルメされた三つ足、X字のような大胆な赤の線。何か人の形のようで土偶を彷彿させます。

懐石膳に陶器物を使うようになったのも織部以降ということ知りました。

今回の展覧会で非常に多くの織部を見ること出来ました。お勧めの展覧会です。

 
HOME
150731 九谷焼の系譜と展開
東京ステーションギャラリー

  

        

初期の古九谷は青手といって濃い緑色と黄色。模様は地は細かい模様でその上に花や団扇など描かれている。以後五彩手といって紫・緑・黄・赤・青を使った九谷らしい九谷焼が出てきます。

再興後は金彩や染付のものも出てきます。幕末には伊万里のような輸出用の派手な色で日本的や中国的な画が細かく描かれる大形の一対の壺等も作られました。

現代の徳田八十吉は超モダンな一見ガラスのような九谷焼を作ります。

古九谷焼のルーツは石川県九谷か、九州伊万里かでいまだに決着がついていないとのこと初めて知りました。九谷と伊万里で交流があったようで、両地から破片も出てきているとのことで謎だそうです。

今回の展覧会で一番びっくりした作品は←粟生屋源右衛門の《透かし彫り葡萄棚香炉》。栗鼠や蜻蛉・蝶などが棚に付いています。

 
HOME
150719 金山康喜のパリ展
世田谷美術館

     

1950年代初頭、戦後の荒廃の中から芸術の息吹を求めてパリに渡った画家たちの展覧会。

その中で金山康喜は経済学を学ぶべくソルボンヌ大学に留学したが、もともと画を描くのが好きであったため、静物画を描き画家に転向しました。

コーヒーミル・ワイン瓶・鍋・ジャーなど本当にそこいらのものを描いています。

使う色彩が決まっていて、特にブルーは金山ブルーといわれます。上から見たような横から見たろうなピカソ的な視点です。写実ではありませんが、個性的です。

結核を患い、33歳で急逝します。睡眠剤で自死だそうです。若いのに残念ですね。

パリの画家仲間の佐野繁二郎は、彼の死を悼み「死んだ画家」←を描いています。

 
HOME
150706 乾山 見参!展
サントリー美術館

  

尾形乾山は兄の光琳とのコラボ作品が多いです。

今回の展示品を見て乾山の造形・絵画・文芸に秀でていることを実感しました。盃台(←)は素晴らしい造形です。このような造形は作陶するのが難しいのですが、羽の部分の裏にも水玉模様が描かれています。

蓋物〈←〉も何点か出ていました。蓋をあけると蓋表とは全く違った意匠が描かれています。しかもそれが州浜を表したり、武蔵野を表したり凝っています。智識がないと読み解くのは難しそう・・・。

それぞれの作品には裏に大きく「乾山」とサインがあり、ブランド化しています。商才にも長けていたようです。

井伊直弼も作陶していたようで、七種の蓋置や向付が展示されていましたが、とても上手です。驚きました。

 
HOME
150619 ドラッカー・コレクション展
千葉市美術館

マネージメント学で有名なピーター・F・ドラッカーが集めた 室町・桃山時代から江戸時代末期までの珠玉の水墨画の展覧会です。

2009年「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 」という本で、ドラッカーの名前が一躍注目されました。そのドラッカーが日本にあった水墨画をこんなにも集めていたとは…驚きです。

表装を綺麗にされたのか、古いものなのに みなとても小綺麗で良い状態です。

単なる風景でなく、大自然に溶け合うように小さく人間の営みも描かれた水墨画を好まれたようです。豆粒のような人物は簡単な線・筆さばきで描かれていますが、何をしているかちゃんとわかります。

”文人画”の章では、若冲・蕭白・芦雪・蕪村・大雅というそうそうたる画家の作品が展示されています。

”聖なる者のイメージ”という章では 仏画や人物画もあり、何と村瀬太い乙の《利休居士図》もありました.こんなところで利休の人物図に出会うとはおかしかったです。

 
HOME
150529 鴨居 玲展
東京ステーションギャラリー

鴨居玲の画は みな暗く、奇妙な顔の人間ばかり。ゴヤの画を彷彿させるものです。髪はもじゃもじゃ、顔の形・表情は無気味。特に目の描写がはっきりしない、にもかかわらずその人の内面を鋭く表している。

日本の画家でこういう絵を描いた人は鴨居玲だけではないでしょうか?、外国の画家の絵と見まごう絵です。

「おかあさん」という題の画←は母親から意見されている大きな息子の画。息子は鴨居本人らしいです。

繊細な神経を持つ破滅型の人生。最後は自殺されました。

鴨居の写真を見ると 大変彫が深い、”高倉健”風のハンサムな方です。

俳優になったら人気がきっと出たでしょうにと個人的には思いました。

 
HOME
150524 いぬ犬イヌ展
松濤美術館

  

蘆雪の「降雪狗児図」(部分)

子どもに首根っこをつままれている犬の何といえぬ表情・・・

昨年は「ねこ猫ネコ展」であったが、今回は「いぬ」。

犬は人間の最良の友といわれ、大昔から飼われていました。

古くは絵巻物にも描かれています。「犬追い物図屏風」・・犬を馬に乗って弓矢を持った武士が追って射るという遊び?らしい。

宗達・応挙・栖鳳の可愛い犬が勢ぞろい。蘆雪の犬←も印象的。浮世絵では美女の着物にまとわりつく犬、抱かれているすまし顔のチン。明治になると洋犬が入ってきたので、洋犬の画があります。

ブロンズ像もあり、中でも朝倉文夫の「「スター」は実物大の見事な犬。

安藤照のちいさな「ハチ公」の像もありました。

 
HOME
150510 速水御舟とその周辺展
世田谷美術館

  

 

大正期の画家・速水御舟とその師匠そして御舟と同じ画塾でライバル的関係であった画家たちの展覧会。

御舟は初期の南画風の絵から、花鳥画、琳派風の金を背景にした画、女性像・・・と画風、題材を変化させていきます。

ライバル的存在だった小茂田青樹との同じ題材の画が数枚、並べて展示されていました。左の猫の画と月の画などです。 

御舟も青樹も40歳、42歳とそれぞれ若くして亡くなりました。

 
HOME
150506 琳派のきらめき展
日本橋高島屋

池田孤邨「四季草花流水図屏風」

京都《細見美術館》からの展覧会。

王朝文化復興ともいわれる琳派、 宗達・光悦の上方(京都)絵師による琳派が、 抱一の江戸琳派につながります。 そして明治後期の神坂雪佳にまでなんと400年もの歴史となりました。

金箔の地に、花鳥画が色鮮やかに描かれ、たらし込み技法で深みを出しています。また構図の斬新さも見ものです。

四季の草花が、これは何の花と特定できるよう綺麗に丁寧に描かれています。

華やかなきらびやかな画で、心ゆたかになった展覧会でした。

 
HOME
150430 若冲と蕪村展(後期)
サントリー美術館

この展覧会は6期にわたって展示されるので、全作品を見るとなったら6回行かねばなりません。

最後の6期には国宝「夜色楼台」(←上)がでます。これは見なくてはとまた出かけました。

蕪村には三横物というものがあります。上記の国宝と、「富嶽烈松図」(←下)「峨眉露頂図」(←真ん中)。

 

 
HOME
150428 山口 晃展
水戸芸術館

   

品川発《ひたち》号に乗って、水戸まで行きました。常磐線が品川まで伸びたのでとても便利になりました。

地震情報の時に必ずTVに写る水戸芸術タワー(←)。100mもあり、間近で見ると高ーいです。

山口晃は 人物や建物などを大和絵や浮世絵風に緻密に描きこむ画風で有名です。発想が豊かで、現代の街と思ってみているとチョンマゲ姿のお侍さんが、昔の街と思っていると自動車があったりで古今が混然としています。

とにかく細かく細かく描き、《ショッピングモール》という作品はまだ制作途中のようです。美術館に寝泊りをして描き続けたそうですが・・・

NHK《新日曜美術館》でも紹介されて、自身が説明されていました。

画を描き始める前に、手ならしとして北斎マンガのようなものを描かれるようで、それも面白かったです。奇想天外な《続・無残之介》は劇画。

電信柱の模型を設え、13段の階段で上まで見られるようにしたり、変わったベンチを設えたり、また順路も決められていたり、ユニークな展示でした。

 
HOME
150422 若冲と蕪村展
サントリー美術館

    

蕪村の俳句

春の海 ひねもす のたりのたりかな

菜の花や 月は東に 日は西に

夏川を こすうれしさよ  手にぞうり

若冲と蕪村は同い年で今年生誕300年とのこと。おまけに京都でご近所同士であったのだ。

若冲は「動植綵絵」の極彩色写実絵画をはじめ、個性豊かな水墨画など描いています。

一方、蕪村は言わずと知れた俳人。しかし今回絵を描く能力も天才ということ知りました。 一見雪舟の画かと見まごうばかりの水墨画や、屏風の大作。俳画が多く、また、ユーモラスな漫画風の絵も描きます。書もうまく、まさに文人。

一番印象に残ったのは芭蕉の《奥の細道》を2巻の巻物で全文書きうつし、所々に挿絵もあるもの。実は今、私は書で《奥の細道》全文を書いているところなのです。

左の画は(←)芭蕉と曽良が旅に出発するのを皆が見送っているところの挿絵。

蕪村の「夜色楼台図」はなんと国宝です。とにかく今回の展覧会では蕪村の画力の素晴らしさに感服しました。

 
HOME
150422 畠山即翁の大師会茶会
畠山記念館

  

今回、久しぶりで畠山記念会に行きましたが、その隣にあった

「般若苑」跡地に、巨大な白亜の建物が建ち、びっくりしました。

表札には"TERASS SIROKANE"

とあり、門前にはガードマンが立っていました。

マンションでもなく個人の家だそうです。

 

《大師会茶会》というのは益田鈍翁が弘法大師筆「崔子玉 座右銘」を入手し、それを披露するために明治28年に開いた茶会から、現代にまで毎年続いている茶会です。京都の《光悦会茶会》とともに二大茶会と称されています

この茶会の席主になることは大きなステータスになるようで、昭和12年に畠山即翁が席を持った時の茶道具が見られる展覧会です。

「南楚師説 墨跡」が掛けられ、花入は「古銅象耳花入れ」。

茶碗は「井戸茶碗 銘信長」信長が所持していたものです。枇杷色で貫入があり、薄つくりです。

「瀬戸茶入 銘 滝浪」 これはなだれが滝のようです。

茶杓は「利休作  銘 落曇」 節がやや下の方にある華奢な感じのものです。これには秀吉が折ダメが気に入らずにかんしゃくを起こしたという話があるとか・・。

鈍翁自作の茶碗や、茶杓、香合、軸なども併せて展示されていました。

 

 
HOME
150414 動物絵画の250年展
府中美術館
  

2007年に開催した「動物絵画の100年 1751−1850」の続編です。

森狙仙の《猿》、応挙の《時雨仔犬図》《百兎図》、若冲の《鶏図》、虎の画はいろいろな画家が描いています。

蘆雪のユーモラスな《亀図》、若冲の《フグと蛙の相撲図》、谷文晁《駱駝図》・・・・。

この他、小禽、鯉、などの心和む動物画が沢山出ていました。

 

 
HOME
150302 岡本太郎の生命体展
岡本太郎記念美術館

  

 

青山にあるこの美術館に前から行ってみたいと思っていました。

渋谷駅構内の《明日の神話》の大きな画の前はよく通っています。

「芸術は爆発だ!」と云った岡本太郎の画や彫刻を目の当たりにして、主人は《元気をもらえるようだ》と云いましたが、私は《エネルギーを吸い取られるようだ》と感じました。それほど圧倒されるインパクトがあるものたちです。

今までの画家が描いたようなもの,例えば肖像画・風景画・静物画等は1枚もありません。とにかく強い筆使いで、色彩鮮やかにイメージだけで描かれた抽象画です。

その色彩感覚は私はけっこう好きです。またその発想力がすごいです。

庭にもいろいろな彫刻達が所狭しと並べてあります。中に頬づえをついた可愛い表情の太陽の子が…←。

岡本ワールドが見られる記念館です。

 
HOME
150213 茶道取り合わせ展
五島美術館

  

館蔵の茶道具を沢山展覧できました。

秀吉、利休、織部、道安の消息が出ていました。秀吉のちゃちゃ宛の消息には最後には宛先をおちゃちゃ、そしてその下に 「てんか」と書かれているのが印象的でした。

古伊賀の水指《破袋》は何回か見たことがあるのですが、今回若草色の釉薬もあること気が付きました。

茶入《安国寺》は高さ11cm、重さ174gという大きさで、仕覆がなんと9枚もありました。

黒織部の沓型茶碗《わらや》は←今回の中での私のお気に入りの茶碗。高台脇には朱でわらやと書かれていて宗旦の花押があります。

第2展示室には茶箱が沢山出ていましたが、実際に使うのには小さすぎるものばかりです。しかし、茶筅も薄器も茶杓も本格的に精巧にできていました。

 
HOME
150211 海老原喜之助展
横須賀美術館

  

暖かい日だったので主人と横須賀までドライブし、《エビハラ・ブルー》を見てきました。

《デュフィー・ブルー》は濃いめのブルーですが、《エビハラ・ブルー》は明るい空色。

画風がどんどん変化していきますが、私は1930年代の頃の《雪景》《曲馬》←の画が好きです。また、絵本の挿絵、本の表紙も数多く描かれたようでこれもよかったです。子供・馬・サーカスが好きなテーマだったよう感じました。

その後はデ・キリコを彷彿させる目鼻立ちのない人物画、またフォービズムの影響か強い色ざしの厚塗りの宗教画などテーマもだんだん難解になってきます。

デッサンも数多く展示されていて、その多くは最近発見されたものとのことです。

横須賀美術館は海を見下ろせる素晴らしい場所です。春を思わせる陽光を浴びて空も海もまさに《エビハラ・ブルー》、空気もおいしくドライブも最高でした。

 
HOME
150114 動物礼賛展
根津美術館

根津美術館所蔵の「双羊尊」(右)と大英博物館所蔵の「双羊尊」(左)が羊年の今年、この展覧会でふたつ同時に見られます。

これらは何と紀元前13−11年ころのものです。そんなに古いものなのに、とても良い状態です。大きさ・形は全く同じですが、根津の方がつやのあるブロンズ色、大英の方はつやのない緑青色になっています。

羊の表情は穏やかながら、微妙に違います。口をしっかり閉じている根津に対して、大英の方はやや口が開いたようで、「ア」「ウン」と云った感じ。

古代中国の動物の形がある酒器、鏡、香炉、また動物が描かれている絵画、屏風、香合・皿・置物・箪笥などが展示されていました。

青山荘室では新年の茶会の趣向のおめでたい意匠のものが並んでいました。

 
HOME
150104 川瀬巴水展
日本橋高島屋
   

大正から昭和にかけて新版画を作った巴水の版画が227点も展示されています。

東京名所をはじめ各地を旅行してそれぞれの景色を版画にしています。

昔のどこにでもある風景…今やどこにも存在しない懐かしい原風景。

巴水ブルー」といって、青の色がきれい。雪の風景ではしんしんと降る感じがでていますし、水辺の描写がまた素晴らしいです。

絶筆となった←《平泉金色堂》は静かに雪が降り注ぐ中、金色堂に向かう階段をとぼとぼ登っていく一人の僧侶の後姿が描かれています僧侶は巴水自身の後姿ということのようです。とても印象に残る版画です。

 
HOME
150104 古田織部展
銀座松屋

  

武将茶人、古田織部は利休亡き後、天下一の茶の湯名人として時代を動かした人です。織部のいた慶長年間は華やかで「かぶいた」桃山文化が花開いた時代。

織部と云えばその斬新で、奇抜な造形美が特徴。「ひょうげもの」と云われ、茶碗もシンメトリックでなく、歪んだ形で模様も幾何学的なものや格子文、網文、連珠文、鋸文など今までなかった模様です。

織部は指導者として美濃・志野備前・信楽・唐津・高取・薩摩などいろいろな窯元で織部好みの茶碗・花入れ・水指等造らせました。

左の←黒織部茶碗には高台脇に織部の花押があるそうです。

織部の茶杓はとても薄い作りで華奢で、銘はありません。

 
HOME
   

2014年度の展覧会のベスト3



@ 菱田春草展

A 超絶技巧 明治工芸の粋展

B 台北国立故宮博物院展

 
141223 仁阿弥道八展
サントリー美術館
       

11月に私の古稀茶会があったので忙しく、美術館にはなかなか行けませんでした。そして今日久しぶりに主人に誘われ出かけました。

道八という名前は聞いたことがありますが、どういう陶工かは全くわかりませんでしたが、今回作品をたくさん見て、《天才陶工》ということ実感しました。

道八の父親が初代ということで今回の方は2代目。江戸後期の陶工です。

いろいろ”と”写し”を作陶するのが得意で、楽道入の利休7種の茶碗や、仁清写し、青磁象嵌水指、乾山の色絵桜楓文鉢、伊羅保・三島・刷毛目・絵高麗など何でも上手に作られるのには驚きました。

しかし”写し”ばかりではありません。大型の炉蓋・手あぶり・人物像もリアルで、ユーモアもあり、またかわいい猿や猫、タヌキなどの動物の形をしていたりその創作力には感心します。

とにかく楽しい展覧会でした。

 
HOME
141029 存星展
五島美術館
  

中国からもたらされた貴重な漆器、存星の展覧会です。

存星の定義は必ずしも明瞭ではありません。「稀なるもの」で利休でさえ生涯に3点しか見たことがなかったそうです。

彫った模様に色漆を充填したものですが、そうとも言えないものもあるとか・・。

網目のような背景に植物・虫・鳥などを彫り物がありますが、技法はとても細かい仕事で色ざしも暗い赤…堆朱の赤とは違ってとても渋いです。

存星、存精、存性・・といろいろな漢字が充てられていました。

照明が暗い中、70点余りの細かい作品を観て疲れましたが、なかなか見られない貴重な展覧会でした。必見です!

 
HOME
141022 唐物って何?展
東京国立博物館本館
   

茶道では唐物という言葉は常に出てきます。「唐物点前」もあり、上級になると道具は茶入や茶碗など必ず唐物を使います。もっとも本物でなく写しの国産品ですが・・・。

鎌倉・室町時代に中国から到来し、将軍家や武家は飾り物として珍重し、唐物所有の願望は高まりました。

天目茶碗、茶入、花入、香炉、山水図、鉢、名物裂など。

古染付や祥瑞、呉須などは日本が注文して中国に作ってもらった和製唐物です。初めて知りました。

織田信長は戦功のあった武将に唐物を与えたという話がありますから、唐物は領地並みの価値があったといえます。

 
HOME
141022 日本国宝展
東京国立博物館平成館
  

”祈り、信じる力”をテーマにした国宝展です。

《玉虫厨子》←では玉虫の羽を見つけるのに苦労しましたが、係の方が教えてくださり、何とか・・。

合掌土偶・縄文のビーナスは再見だが何回見てもよいです。

大井戸茶碗《喜左衛門》《玳玻披ヒ天目》《卯の花垣》もオンパレード。

仏像で印象に残ったのは《善財童子立像》と正座している《勢至菩薩坐像》

《善財童子立像》は童子という感じはなく、左に傾いた立ち姿がユニーク。

 
HOME
141018 菱田春草展
東京国立近代美術館

 菱田春草は、創世記の東京美術学校を卒業後、岡倉天心・橋本雅邦らとともに日本美術院創立に参加。春草は私の大好きな画家のひとりです。

春草と言えば《黒き猫》…いろいろなバリエーションがあります。←

若いころに描いた《一字金輪像》や《梵天羅利像》の摸本は見事でした。

《寡婦と孤児》は戦争で夫を亡くした母子が悲しい表情で描かれて、そばに夫の鎧・刀が描かれています。なんとも印象に残る絵。

全体にやわらかい色彩で、風景、人物、鳥、シカ、キツネ、など繊細に描かれていて詩情あふれる絵で、これぞ日本画という絵です。

 
HOME
141002 竹久夢二展
日本橋高島屋

大正ロマンを代表する詩人画家、夢二の展覧会。

美術学校を出たわけでもない夢二は雑誌の挿絵・広告ポスター・本の装丁等手がけるうちに、世間に認められるようになりました。美女 環(たまき)を妻にして独特の美女画を書きはじめます。絵には詩が添えられているものもあります。詩情あふれる美人画です。

今までの日本画の典型的な美女の眼は、切れ長でした。夢二は、眼の大きくぱっちりとした環をモデルとしたためか、眼をはっきり大きく情感も表現した女性を描いています。これで夢二の美人画が個性的になったのです。

夢二は大層ハンサムだったので大変もてたようで、美人の彦乃やお葉とも付き合いモデルとします。夢二の描く女性はほっそりと憂いを含んだ表情をしています。

油彩画もありましたが、こちらはあまりぱっとしません。

会場は、大正から昭和初期生まれと思われる杖をついた高齢の女性が多く見られました。 なにか昔を懐かしんでおられるように思いました。

 
HOME
140808 台北国立故宮博物院展
東京国立博物館
    

書画・陶器・漆器・刺繍絵・本の神品至宝が100点以上も展示されています。

書では詩人の詩にその詩に対して跋といういろいろな人の感想が綴られていて巻物になっています。

乾隆帝の跋もあり、とてもきれいな素敵な字で書かれていました。徽宗の字は痩金体という細い字ですが、個性的です。

刺繍絵には驚きました。細い絹糸で細かく刺繍で画が描かれているのです。気が遠くなるような作業です。

《翠玉白菜》はもう展示替えになり見られませんでしたが、台湾に行った時に観ているのでまあよいでしょう。また今、書で勉強している《書譜》も展示替えで見られず、これは残念でした。

主人は初日に行き、カタログも買ってきてくれていたので、あらかじめ予習して出かけ、また主人の解説を聞きながら廻ったので 良く分かりました。

 
HOME
140719 水の音展
山種美術館

絵から感じる水の音に焦点を当てた暑いこの時期らしい展覧会。

川、瀧、海、雨などがテーマとなった画が並んでいました。

私が一番水の音を感じた画は、奥田元宋の《奥入瀬・秋》。よこ4mもの迫力ある大作です。奥入瀬の流れの音が聞こえるようでした。

奥村土牛《鳴門》←も海の色がよく出ていて素晴らしいです。瀧の画はいろいろありましたが、岩崎英遠の《縣泉》は、これも大きい絵で白糸の滝を書いたそうですが、いく筋もの滝が高い岩山から落ちてきている前に小さな人物の後ろ姿が淡く描かれてい、ていかに滝が凄いか対比させています。

千住博の《ウォーターフォール》←は初めて見た時ほどの感動はありませんでした。

面白い切り口の展覧会でした。

 
HOME
140531 近代の日本画展
五島美術館

 秋の茶会のため下見に生徒さんを連れて五島美術館に出かけました。

 ちょうど素敵な展覧会をしていたので、皆様と鑑賞してきました。

明治から昭和にかけての画家のきれいな花鳥風月画があります。

印象的な作品は、橋本関雪の《藤と馬》←の屏風です。右隻に雌雄の仲良しの馬が、左隻には仔馬が描かれています。藤と馬との取り合わせがちょっと違和感はありましたが、微笑ましい絵でした。

橋本雅邦・大観・栖鳳・古径・奥村土牛・等そうそうたる画家たちの綺麗な花鳥図でした。

また中国の書の道具、硯や墨、筆立て、筆、なども展示されていて、特に重そうな脚付きの細かい彫模様が施されている硯にはびっくりしました。

 
HOME
140505 超絶技巧!明治工芸の粋展
三井記念美術館

 明治の工芸は凄い!

並河靖之の七宝、刺繍絵画、正阿弥勝義の金工、それに安藤禄山の牙彫。  ←左の筍・蜜柑は本物そっくり!皮をむいてあるところも象牙とは思えないです。それに明珍《蛇》のような自在といって動く工芸品。とにかく驚きの連続でした。

このような精緻なつくりの工芸品は海外向けであったため、模様がびっしりで華美すぎるきらいはありますが、日本の技の力を目いっぱい発揮して作ったのでしょう。外国人はさぞびっくりしたことでしょう。

このような素晴らしい海外に流出した工芸品を村田製作所《ノーベル賞を輩出した会社》の村田理如氏が買い戻されたそうです。

明治の職人のすばらしい工芸品を見て、日本人として誇らしい気持ちになりました。

 
HOME
140502 下岡蓮杖展
恵比寿写真美術館

 連休の合間の日、《ロバート・キャパ展》を見に、久しぶりに恵比寿ガーデンプレイスに行きました。

 戦場カメラマンのキャパの写真は戦争の悲惨さ、破壊の愚かさをつくづく感じるものでした。戦争を知らない今の首相にもこういう写真展をぜひ見てほしいものと思いました。

 同じ写真美術館で《蓮杖展》もしていました。この方 もともとは画家ですが、江戸後期から明治時代にかけて写真の技術が入ってきてそれを学び写真師になりました。

 時代の風景・風俗を写した小さい写真が数十枚もでていました。小さいサイズながらピントがしっかり合っていて、被写体になった人も何秒かじっと動かなかったのでしょう。

画家であったので、画もたくさん展示されていましたが、なかなかすばらしい作品でした。絵画も写真もまた工芸品も手掛けられいろいろ器用な方だったようです。

 
HOME
140429 ねこ・猫・ネコ展
渋谷区立松濤美術館

   

中島千波《猫のひと時》

 猫は大昔から鼠を捕ることで人間に大事にされていました。現在では愛らしい動物として我々の生活に溶け込んでいます。そのネコづくしの展覧会です。

 休日なので孫二人とお嫁さんを誘って出かけました。古くはエジプトの猫のブロンズ像、中国南宋時代や、李朝の猫の画から、江戸時代・近代・現代の猫の画、それに朝倉文夫の猫のブロンズ像などがずらっと並んでいます。

 夏目漱石の描いた「あかざと黒猫」「見立女三の宮」堂本印象「母子」が印象的。

 同行した小学校2年の孫のお気に入りは←中島千波「猫ひと時」ということでした。 3才の孫は朝倉文夫「猫のブロンズ像」がお気に入りでしたが、みんなとお出かけしたことが嬉しかったようでした。帰り道のスキップ姿がかわいかったです。

 
HOME
140422 栄西と建仁寺展
東京国立博物館平成館

 

  

 栄西(ようさい)800年遠忌を記念した展覧会。

 建仁寺は京都最古の禅寺。栄西が開祖です。木製座像の栄西の頭は上に四角く伸びたユニークな形です。勉強し過ぎてこのような頭←になったとか??

 禅宗寺で四頭茶会を始めました。これは左の写真←のようなしつらいをしている部屋で、予め抹茶の入った天目茶碗を客に配り、僧が湯瓶と茶筅を持って入り、客一人ずつに湯を入れ、茶筅で泡立てて茶を点じて廻る方式の茶会です。

茶道具では《油滴天目》・《鸞天目》・茶入「残月」、茶の種を入れて持って帰ったという《漢柿蔕茶入》を見ました。

そしてなんと『喫茶養生記』の原本も。

建仁寺とその境内の塔頭に伝わる安土桃山時代の、山楽・友松・等伯の襖絵や軸、若冲・蕭白・蘆雪らの作品がずらっと展示されています。

最後の部屋にはこの展覧会の目玉、俵屋宗達の《風神雷神図》が展示されています。丁度本館には光琳の《風神雷神図》も展示されていて両方観賞できました。

 
HOME
140323 江戸絵画の19世紀
府中市美術館

  

主人の美術鑑賞がどんどん深まってきて、私ではあまり行く気にもならないと思われる難しい美術展にも同行するようになりました。今日は府中まで、私は運転手。

江戸時代は17世紀から19世紀にわたっています。その最後の方の化政文化の辺りに的を絞った展覧会。

開国の時期、西洋画の影響から、日本画に影や遠近法、立体表現も出てきます。また心の形も出てきます。心のままに描く絵画も出てきます。

構図の大胆さが現れている画は←北斎の《木曽の奥阿弥陀ヶ滝》

狩野芳崖《れい姫像》←は、よく見ると表情から性格まで想像できるような表現をしています。

変った切り口の展覧会でした。

手造り工作のコーナーがあり、材料はすべて整っていて、滝を立体的に造りました。

 
HOME
140315 中世密教と《玉体安穏》の祈り展
金沢文庫

 

前日にBS歴史館で「足利尊氏」を見ました。

足利尊氏は、鎌倉幕府を倒したあと、後醍醐天皇に反旗を翻し、室町幕府を開き、次々に、裏切りを重ねながら、ダイナミックに時代を動かした人物…という内容でした。

そこで後醍醐天皇の画像←が出ました。その絵が今、金沢文庫で展示されているというので、急きょ主人が《行くぞ!》というので同行しました。

天皇のご身体を守護し、健康を祈ることが国家安穏ということで、密教の儀式が行われていたそうです。

その儀式の際の文献や、道具等が展示されていましたが、ちょっと難しく、余り興味がわかず、後醍醐天皇の画(模写)だけをしっかり見てきました。

帰りは「称名寺」→「海の公園」まで歩き、何年振りかで砂浜を歩き、波打ち際まで行って青い空、青い海の絶景を楽しみました。金沢八景といいますからこの近辺は景色の良いところが数多くあるようです。

柴口からシーサイドモノレールで金沢八景駅に行き、京浜急行で帰りました。

春の陽射しをいっぱい浴びて、沢山歩いて、良い景色を堪能しました。

 
HOME
140228 描かれた風景展
静嘉堂文庫

古来日本では風景を愛で、旅をする事を好んでいました。そこで各所の風景画・名所絵が描かれました。

古いところでは、16世紀土佐光茂?作《堅田図旧襖絵》、これはもともと大徳寺の塔頭瑞峯院の襖の絵でした。それを屏風に造り直したようです。

《四条河原遊楽図屏風》も江戸庶民のいきいきと、楽しんでいる風景が細かく描かれています。大道芸人や大女、犬の曲芸、男装の遊女踊り、若衆の能など見物している状景。

富士山、二見浦、那智の滝、近江八景、東海道五十三次、江戸百景、六義園等の風光明媚な場所の画が展示されていました。

展示室の窓から見下ろすと、庭園の白梅紅梅の風景が美しかったです。

 
HOME
140130 KIZASHI-友禅の斬新・漆芸の大胆
銀座・ポーラミュージアム・アネックス

石井亨《富士山》

銀座に出たついでに寄りましたが、とても良かったです。

石井亨が斬新な友禅絵画を作っています。ビデオで作る作業も見ましたが、大変ないくつもの工程で作られます。「浮世絵が当時の風俗を描いているように、現代の風俗・都市の風景画として書いた」と石井氏は云っています。ですから良く見るとコンビニやファーストフード店の名前も入っている絵もあり斬新。

岩田俊彦は大胆な漆芸で絵画を作られています。漆芸を絵画のように壁に掛けるという大胆な発想。

展覧会の題の「KIZASHI」は現代における伝統芸術の「さきがけ」ともいえる表現に出会う…日本の美を再発見する兆し…ということのようです。

こういう新しい試みを若いアーチストが発信されることは頼もしいことだと思います。とかく現代アートはわけが分からない美しいとはいえないアーチストの自己主張のものばかりが多いですが、今回のお二方の作品は綺麗なもので素晴らしかったです。

 
HOME
140130 内田繁「利休を想う」展
銀座・一穂堂
 

ヨーロッパの美術館で好評を博した茶室の伝統美展。

竹で編みこまれて作られた3畳ほどの可動式・折畳式茶室は、中に坐ってみると檻に入った感じがしないでもありませんが、暫く経つと落ち着いた気持になります。左の写真のように夜、外に置いてローソク等の灯りで茶会をしたらさぞよい雰囲気でしょう。

下は畳でなく ふかふかの足に優しい絨毯です。壁には3色ほどの組み合わせの和紙の軸が掛り、、モダンな銀と銅の合金の棗、鉄かと見まごう陶器の水指と建水、花入れ、持つところを細い絹糸でびっしり巻かれた茶杓等、モダンな道具ばかりで設えられられていましたが、赤い椿の他は黒と白、茶で、すっきりとシャープな形のもので統一性はありました。

利休も当時としては前衛的な美を道具にいれました。

平成の《新わび・さび》の感覚?です。

ちなみにこの竹製茶室も売っているそうです。

 
HOME
140124 観山展
横浜美術館

     

 

下村観山生誕140年記念の展覧会。

東京美術学校1期生。横山大観や菱田春草と同期で、岡倉天心の薫陶を受けました。

狩野派の様式を基礎に大和絵が中心。題材も歴史にもとずいたものや、中国の仙人・文化人、花鳥風月が多いです。

11歳で模写した「唐子」はすでに天才ぶりを発揮しています。

イギリス留学時に模写したラファエロの《小椅子の聖母》や《まひわの聖母》は水彩画ですが非常に上手いです。

今までの狩野派様式を重んずるばかりのためか、題材はちょっと古臭く、発想力は感じられませんが、上品な落ち着いた画です。

 
HOME
140118 和歌を愛でる展
根津美術館

     

 お正月の気分も抜け、今年初めての展覧会散歩です。

書を勉強し始めてン十年、徐々に変体かなも少しは読めるようになりましたが難解です。流麗な仮名文字だけを絵の様に「美しいな」と観賞するのも良いですが、読めればなお一層楽しめます。

 今回の目玉は修復された「扇面歌意画巻」←。

百の和歌に因んだ画をそれぞれ百の扇面に描いてある巻物です。中には耳にしたことがある有名な和歌が沢山あります。一首ずつゆっくり読んでいきたいところ、やはり難解、知った和歌に出会うと嬉しいです。絵も細密で美しいです。

 茶道具では特に小堀遠州は道具に和歌から銘をつけています。和歌の素養がないと銘を聞いても???

 あと、硯箱の蒔絵では画の中にいくつかの文字がかくれていて、それを絵と一緒に見て和歌を読み解く・・・といった超高等な技法です。江戸の文化は洒落ていて、スノッブですね。

 ちょうど講演会があったので参加しました。学芸員の方がスライドで今回の展覧会を分かりやすく説明され大変勉強になりました。

 「扇面歌意画巻」の本を是非出してほしいと思い、アンケートに書いてきました。

 
HOME
eferutou,

 

c 2013 宗恒茶道教室

HOME