環境汚染にもどる
t11402#農薬の不法投棄で農家が書類送検−農薬回収問題等で農水省へ要望書#01-05

 廃棄物処理法の改定により、農薬空容器については、産業廃棄物として、農家が責任をもって処理することを義務づけられましたが、残・廃農薬についてはその処理方法が明確になっていません。農水省や農薬工業会がいうように、購入した農薬はすべて使いきれと指導することで、残・廃農薬の問題は解決するとは思われません。
 そこで、4月はじめに、農水省に下記に示すような要望を行ないました。

★神奈川県での残・廃農薬の回収状況−省略−

★残・廃農薬による事故・事件が続発
 神奈川県では、去る3月19日、小田原署が、農薬を不法投棄した農家の男性二人を廃棄物処理法違反で書類送検した旨の報道がなされました(神奈川新聞3月20日)。詳しい経過はわかりませんが、両人はそれぞれ昨年12月30日、本年1月15日に、ミカンの害虫駆除で残った液体農薬を小田原市内の路上に投棄したためとされています。  また、土壌くん蒸剤クロルピクリンの容器がゴミとして持ち込まれたため、昨年5月に長野市で、同年9月に愛知県吉良町で、ゴミ回収の職員や周辺住民の中毒被害がでていますし(記事t10205記事t11005)、本年4月11日には岩手県花巻市で不燃ゴミ回収の作業者2名が入院するという事故が起こっています。
 今後、農薬取締法を整備して、きちんとした残・廃農薬の回収システムを確立しないと、上にあげたような農薬による環境汚染や人体被害事件を防ぎ得ないのではないでしょうか。そのためには、まず実態を調査することが肝要だと思います。

★土中埋設された有機塩素系農薬の調査
 さらに、廃棄農薬といえば、UNEP(国連環境計画)で国際的な使用禁止条約が検討されている難分解性のPOPs農薬のことが気になります。日本での2,4,5−T、BHC、DDT、ドリン剤の登録は現在ありませんが、これら塩素系農薬による環境汚染の恐れがなくなっているわけではありません。1971年に農水省及び林野庁の指示(記事t02207)により埋設処理された薬剤がその後、どうなっているか、新たな環境汚染源とならないよう、現状を調査し、きちんとした対策をとることが必要だと思います。
この点に関しては、本年3月27日に開催された参議院環境委員会で、民社党の岡崎トミ子議員の質問に対して、以下のようなやりとりがありました。

【岡崎】かって農水省の指示で埋設されましたBHC、DDTに関してなんですが、三トン未満の埋設地については情報の把握がされずに大変心配です。ビニール袋に入れたまま放っておいた。それが、いつか土壌の中にでてくるのではないかというような心配もございますけれども、誰がどこに埋設したのか遡って調査するというお気持ちがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
【農水省】今、先生から御指摘のありましたBHC、DDTにつきましては、昭和46年に販売の禁止なり制限ということや、それを受けまして、毒物・劇物取締法の廃棄の基準に基づきまして国の補助事業などで地中埋設がなされたということでございます。この農薬の埋設状況については、より的確な把握に努めていきたいというふうに思っております。
【環境省】埋設されましたBHC、DDT等につきましては、環境への汚染拡大の防止という観点から重要な問題であると認識しております。農林水産省ともよく連携をとって対応してまいりたいと考えております。

★農水省への質問状
@全国各地で実施されている農薬空容器及び残・廃農薬の回収状況を問題点が何かわかるようなかたちで調査し、報告してください。

A農家が保有する残・廃農薬がどの程度あるか実態を調査し、報告してください。
 調査場所/農薬名/保有量/販売禁止農薬、登録失効農薬及び有効期限切れ農薬はその旨記載のこと

B殺菌剤PCNBの登録は2000年3月26日に失効していますが、地域毎に農家の保有状況を調査し、報告してください。

C登録失効農薬や有効期限が切れた農薬を使いきることは、薬効の点でも、また不純物や代謝物が保存期間中に新に生成ずる恐れがあるという点でも問題があると思います。

 これらの農薬を使用しないよう指導した上、回収を義務づける必要があると考えますが、貴省はどのようにお考えですか。

D農家だけでなく、街路樹・公園などで農薬を散布する防除業者が余った散布液を下水などに流してしまうことがありますが、この場合、空容器や残農薬、余った散布液の回収システムを作る必要があると考えますが、貴省はどうお考えですか。また、家庭園芸で個人が使用する農薬は産業廃棄物として扱われないようですが、この場合の空容器や残農薬の回収についてはいかがお考えですか。

E農林省農政局長の通達「有機塩素系殺虫剤等の処分について(46農政第2055号)」(1971年4月17日)によりBHC、DDT、ドリン剤などPOPs系有機塩素農薬が埋設されましたが、埋設個所の所在地毎に、農薬製剤名/埋設数量/埋設方法/管理状況/環境汚染状況について調査し、報告してください。
 貴省は、3トン以上の大規模埋設地を把握しているということですが、その所在を明かにするだけでなく、県や市町村が把握している小規模の埋設地もまとめて報告してください。調査結果をふまえて、POPs系農薬汚染が広がらないよう対策をお示しください。

F1971年にダイオキシンを含む2,4,5−T系農薬が林野庁の指示により、埋設処理されましたが、埋設個所の所在地毎に農薬製剤名/埋設数量/埋設方法/管理状況/環境汚染状況について調査し、報告してください。調査結果をふまえて、ダイオキシン汚染土壌等の無害化など対策をお示しください。

G神奈川県小田原市における農家の廃棄物法違反事件の経緯を調べて報告してください。いままでに、このような不法投棄事件があれば、発生年月日/場所/事件の内容を報告してください。
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作成:2001-08-23