ダイオキシンにもどる
t11106#三井化学の工場排出物にダイオキシン−オルトジクロロベンゼンやパラジク製品は大丈夫か#01-02
 環境庁が99年度に全国で実施した公共用水域のダイオキシン環境調査で、有明海大和干拓沖3kmの海水に2.4pgTEQ/Lという高い濃度のダイオキシンが見出され$ました。その後、同庁と福岡県が汚染源がどこにあるかを追跡していましたが、大牟田川水系に問題があることがわかりました。中流にある護岸継ぎ目の目地にしみでた油玉からは39万pgTEQ/gの高濃度のダイオキシンが検出され、疑われたのは、三井化学大牟田工場、三井金属工業、三西容器製作の三者でしたが、工場からの排水等の調査から、三井化学が元凶だということが判明しました。

★蒸留残渣の中に100万pgTEQ/gのダイオキシンが
 同社(旧三井東圧化学)は、さまざまな塩素含有化合物を製造しており、ダイオキシン含有製品のメーカーとしてよく名前がでてくる会社です。なかでも農薬、2,4,5−T、PCP、CNP(水田用除草剤MOは三井のMと大牟田のOの頭文字をとった商品名です)、PCNBなどの原体を製造してきた企業であり、労働者がクロロアクネなどの職業病になったことでも知られています。水系汚染が進み、胆嚢ガンとの相関関係が明かになったCNPは、94年3月の製造自粛以後、回収してこの大牟田工場で保管されてもいます。
 同社と福岡県の調査では、下記のような検体からダイオキシン類が検出され、大牟田川の汚染の主たる原因は、大牟田工場の塩素化ベンゼンプラントからの排出物であることがわかりました。
  表   塩素化ベンゼン製造・使用施設からの検体調査結果
                                     (単位:pgTEQ/g)

    検体                 採取年月日     ダイオキシン検出値
                                      福岡県測定 三井化学測定
  オルトジクロロベンゼン粗製品   2000/08/26    67,000
  オルトジクロロベンゼン蒸留残渣 2000/06/26               1,000,000
  MDI粗製品              2000/09/06     0.12
  プロセス排水           2000/06/26                560pgTEQ/L
 塩素化ベンゼン類は、触媒を用いて、ベンゼンを塩素化することによって合成されますが、様々な数の塩素を有する同族体が同時に生成します。この粗塩素化ベンゼン混合物を分離精製することによって、ベンゼン環に塩素を2個有するパラジクロロベンゼンやオルトジクロロベンゼンなど製品や中間体として商品価値のあるものを製造するわけですが、塩素化化合物合成の常としてこの工程で、ダイオキシン類が副生したものと思われます。
 オルトジクロロベンゼンは、ハエ駆除用の防疫薬剤として使用されており、私たちが95年に調査した電車内消毒でも使用されていました(記事t03903記事t04001)。また、パラジクロロベンゼンは、衣料防虫剤やトイレタリーとして、広く私たちの身の廻りで使用されている物質です(記事t08903記事t10303)。私たちは、両者の追放運動に取り組んできましたが、いまだ販売・使用が止まないこれら製品の中に、ダイオキシン類が不純物として含有されていてはたまりません。
 そこで、止めよう!ダイオキシン汚染関西ネットワークの中南元さんの呼びかけに応じて、反農薬東京グループは、止めよう!ダイオキシン汚染関東ネットワーク、ダイオキシン九州ネットワーク、日本消費者連盟、日本消費者連盟関西グループらとともに、1月30日に、下記のような申し入れを厚生労働省に行ないました。

【要望書】
 時下ますますご清栄の段お喜び申します。
さて、ご存知のことと拝察致しますが、福岡県大牟田川水質のダイオキシンよる汚染の原因調査において、同川に隣接する三井化学大牟田工場で製造されているオルトジクロロベンゼン(ODCB)の粗製品から67,000pgTEQ/gのダイオキシン類が、ODCBの蒸留残渣からは、1,000,000pgTEQ/gのダイオキシン類がそれぞれ検出されました。このような高濃度のダイオキシン類は、同工場のジクロロベンゼン製造工程において、ベンゼンと塩素の反応によって生じ、分留等の操作により濃縮されたものと推定さています。また、同工場では粗ジクロロベンゼンから晶析によってパラジクロロベンゼン(PDCB)も分離しています。
 p−ジクロロベンゼンは衣料用防虫剤あるいはトイレの防臭剤として、家庭や公共施設において多用されています。一方、オルトジクロロベンゼンはくみ取り式便所の殺虫剤として使用されていると聞きます。市販のこれらの製品では、ダイオキシンによる汚染はないのでしょうか。不安に思う次第です。
 よって、パラジクロルベンゼン、及びオルトジクロロベンゼンを成分とする市販製品中のダイオキシン類の含量について調査し、結果を公表されるよう要請致します。なお調査に際しては、原体製造各社の製品が漏れなく網羅されるよう配慮頂きたく、その旨、念のため申し添えます。また、両物質を原料とする他の化合物が製造されている場合があれば、それらを成分とする製品についても、同様に要請致します。なお、ダイオキシンあるいはダイオキシン類とは、PCDDs、PCDFs、コプラナーPCBの三者を意味します。
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作成:2001-03-23